昼でも夜でも、晴れていても雨が降っていても、天上はいつでも美しい。私たちが見える範囲から、気の遠くなるような無限の彼方まで、その美しさは続く。
そんな神々しい光景を見つめ続けているのが、ハッブル宇宙望遠鏡だ。これまで何度も宇宙の風景を撮影してきたが、今回公開された画像も不思議な美しさをたたえている。それは、惑星が誕生した後に発生すると考えられているデブリ円盤だ。
・宇宙に浮かぶハッブル宇宙望遠鏡
地上約600km上空に浮かび、軌道上を周回する「ハッブル宇宙望遠鏡」。これまでも何万光年の彼方で輝く星などの姿を発見しては、地上にいる私たちにその美しさを届けてくれた。
・デブリ円盤とは?
そんなハッブルが今回捉えたのは……恒星の周りを取り囲む「デブリ円盤」。なんだかあまり馴染みのない名前だが、これは惑星形成後に、微惑星同士が衝突することで発生すると考えられている破片(デブリ)の集まり。恒星の周りを円盤状に取り囲むことから、このような名前がついたという。
ということで、太陽系外惑星が形成された後の光景である、デブリ円盤の姿をこの度ハッブルが撮影したのだった。
・実際は画像の10万分の1の明るさ
1995年から今まで、4000個もの太陽系外惑星、及びその候補が選出されてきたが、デブリ円盤を捉えることができたのは約24例だけとのこと。というのも、デブリ円盤の明るさは恒星の10万分の1なので、とても明るい恒星の近くではかすんでしまって、姿を捉えることができないからだ。
・見えない重力でデブリ円盤の形が複雑に?
幸運にも撮影に成功したデブリ円盤の画像を比べてみて、研究者らは驚いた。なぜなら、どのデブリ円盤もパンケーキみたいに平たい形だと予想されていたのだが、実際はバラバラだったからである。それぞれ、想像もしていないような形で、複雑な模様を帯びていたりしたのだった。
その理由として、中央の恒星の周りをまわる見えない太陽系外惑星の重力が、影響を及ぼしているのではないかと推測されているが、詳細は不明となっている。
・私たちの太陽系でも同じ光景があったかも
さて研究者たちは、私たちが住む太陽系でも、惑星誕生後に同じような光景が見られたのではないかと考えているという。
今回の研究リーダーは、「これは、私たちの住む太陽系でも繰り広げられていた光景かもしれません。特に、HD181327 周辺のデブリ円盤で起こったと推測される惑星衝突は、地球と月の関係が出来上がった過程と似ている可能性があります」と話している。
惑星形成の現場ともいえるデブリ円盤は、宇宙研究の中でもホットなシーンだということで、今後も新たな情報が期待できそうだ。しかし、この白みがかったブルーの美しいこと。これまでも数多くの大変美しい天体ショーが公開されているが、それらに比べて今回の映像はとても渋くて素敵である!
参照元:NASA、Twitter @NASA(英語)、JAXA
執筆:小千谷サチ
Image : NASA/ESA/G. Schneider/U. Arizona
▼これがHD181327だ
.@NASA_Hubble images dusty junkyard of leftover planet-debris surrounding stars: http://t.co/n0sINFeHii pic.twitter.com/9DzOz1UaZf
— NASA (@NASA) November 7, 2014
▼どれもキレイだなあ