心の痛みをごまかすために身体を傷つけることを「自傷行為」というが、これは人間だけに現れる症状ではない。ストレスを感じたら、自分に噛み付いたり毛を引き抜いてしまう動物もいるのだ。
そんななか、飼い主を失った悲しみからくるストレスで毛をむし取り、ほとんど毛がなくなってしまった一匹のオウムが注目を集めている。見た目は痛々しいものの、“すっかり回復して陽気に歌って踊る姿が微笑ましい!”と話題になっているのだ。このオウムの様子は、動画「Singing Parrot!」で確認できるぞ!
・自傷行為で毛をむし取ってしまうオウム
自傷行為で毛をむし取って羽毛がなくなってしまったのは、米ユタ州の動物レスキュー施設「Best Friends Animal Society」で暮らす15歳のオウム、キング・オーだ。
最初の飼い主にすっかりなついていたキング・オーは、飼い主が亡くなると悲しみからくるストレスにより、足の爪で毛をむしり出したのだ。新しい飼い主は、ペットの自傷行為をどうしたものかと途方に暮れ、同施設に助けを求めに来たのである。
・寿命が長いオウムは何度も飼い主が変わる傾向が
オウムの寿命は平均40~60年と非常に長いため、途中で飼い主が変わってしまうことが何度かある。キング・オーの世話をするジャクリーン・ジョンソンさんによると、「7~11回ほどオウムの飼い主が変わるのは普通」だとのこと。オウムにとって、毎回新しい環境や飼い主に適応するのは相当なストレスとなるに違いない。
・歌って踊る陽気さを取り戻したキング・オー
2010年にシェルター施設へ預けられたキング・オーは、現在はすっかり元気を取り戻し、音楽に合わせて陽気に鳴き声を上げてダンスを踊るようになったという。
動画を見ると、従業員の歌に合わせてリズムを取りながら身体を上下に揺らし、手拍子に合わせて歌うように鳴き声を上げている。すっかり施設の暮らしにも慣れて、毎日を楽しんでいるようである。
・羽毛をむし取る行為がクセに
スタッフからたくさんの愛情を注いでもらって、歌って踊るまでに回復したキング・オー。だが爪で毛をむし取るのはクセになってしまったようで、元気になっても相変わらず毛がないのだそうだ。
毛がない姿を見るとかわいそうになってしまうが、スタッフから大事にされているのは動画からも十分うかがえる。施設には100羽の鳥が保護されているとのことで、たくさんの仲間達も一緒で、キング・オーが寂しさを感じることはなさそうだ。
参照元:YouTube、The Oregon Herald、The Featured Creature(英語)
執筆:Nekolas