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【漫画家必読】極限ギリギリのシメキリ直前に感じる「手塚治虫先生降臨モード」の徹底解説と発生条件

2014年10月24日

ごく一部の漫画家が極限状態のとき限定で体験しているとウワサされているのが、“神との交信” ならびに “神とのシンクロ” である。漫画界の神といえば……そう! 日本漫画界のスーパーレジェンド・手塚治虫先生に他ならない。

そんな手塚先生の魂が自らの身体に舞い降りることを「手塚先生降臨モード(てづかせんせいこうりんもーど)」と私(筆者)は勝手に呼んでいる。

はたして手塚先生降臨モードとはどんな状態なのか。そして、どのような発生条件下で降臨するのか? そのあたりを今回は徹底的に解説してみたい。あまり褒められたものではないが、“いつもギリギリな漫画家” ならば、絶対に読んでおいて損はない。

・スーパーサイヤ人的な状態になるのが手塚先生降臨モード

まずはどんな状態になるのかを説明したい。手塚先生降臨モードに入ると、まず「筆に迷いがないペン入れ」が可能となる。たとえ下書きをしていなくても、ボンヤリと「正解の線」が見えてしまうのである。ゆえに、超絶マッハに仕事が終わるという寸法だ。

また、たとえネームやラフを描いていなくても、自らのマンガの登場人物が勝手にセリフを話し始め、そのままペン入れしながらストーリーは展開して行き、気がづいたらオチまで付けてくれていた……といった “奇跡の一発描き” も可能な状態になるが、編集者が泣くので絶対にやってはならない。せめてネームくらいは見せるべきだろう。

・何が起きても動じない集中力

さらに集中力が極限まで研ぎ澄まされ、よけいな雑音は一切耳に入らなくなり、自分のオナラの音にもまったく気付かないほどの集中力を維持できるようになる。小学校の図工の時間に、時が過ぎるのも忘れて作品を作っていた……みたいな状態だ。

だが、スマホで設定したアラーム音にも気づかないので「15分だけ寝よう」としたところ「ガッツリ8時間寝ていました」的な地獄展開になったりもするので注意が必要。いや、そもそも手塚先生降臨モードであればベッドに寝転ぶなんて展開にはならない。なったとしたら、それはまだまだ手塚先生降臨モードになっていない証拠とも言えよう。

ふいに尿意や便意を感じても「少しくらい漏らしてもいいか」と、何かにキマったようなマッタリ系の思考回路になりつつも、あと1ミリで漏らすというタイミングで「このコマを描いてからトイレに行く!」と、ギリギリ土俵にノコッタノコッタできる火事場のクソ力(くそぢから)が発揮できるのが手塚先生降臨モードたるゆえんなのだ。

・間違いやすい “降臨” もある

また、気分転換のために窓を開けたら、東京・東長崎の「トキワ荘通り」の景色が見えてしまったり、出前のラーメンを持ってきてくれた中国人のオッサンが「松葉のお姉さん」に見えてしまったり、何を食べても「ンマーイ!」と言ってしまったりする場合は、単に『まんが道(藤子不二雄A)』の読み過ぎからくる幻覚なので注意しよう。

ちなみに現在も東長崎には中華料理「松葉」さんが健在であるが、ラーメンが美味いのはもちろん、実はチャーハンと唐揚げが激ウマであることを付記しておきたい。マジで美味い。そして、店内に飾られているサイン色紙にも注視していただきたい。

・魂を呼び寄せるシャーマニズム

それはどうでもいいとして、要するに「手塚先生降臨モード」になると、人間のパワーを超えた超絶スピーディーなマンガ執筆が可能になるわけだ。別に何かのクスリをキメているわけでもなく、“ナチュラルに天空から手塚先生のパワーを体全体で感じてしまう” という、ある意味シャーマン的なスピリチュアル現象である。

──漫画家ならば、いつなんどきでも降りてきて欲しい漫画界の神・手塚先生。だが、おいそれと「じゃあ降りましょうか」なんて手塚先生が言うはずがない。空から「そんな簡単に降りてきてたまるか!」という声も聞こえてくる。生半可な気持ちで手塚先生を降臨させようとしたら廃業に追い込まれる可能性もあるので気をつけて欲しい。

ということで、いよいよ次ページ(その2)に、「手塚先生降臨モードを発生させるための条件」を書くとしよう。手塚先生の力を借りないと締切に間に合わない漫画家は必読だ! だがしかし、漫画家を担当する編集者のみなさんは、次ページに書いてあることを絶対に読んではならない。漫画家ならびにクリエイターのみ(その2)へGOだ!

情報提供: マミヤ狂四郎
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.


【漫画家必読】極限ギリギリのシメキリ直前に感じる「手塚治虫先生降臨モード」の徹底解説と発生条件(その2)

なまはげよろしく「マンガ担当の編集者はいねがー。いねがー」……よし、いないな。このページを読んでいるのは漫画家ならびにクリエイターのみ! では、さっそく説明しよう。以下が今まで謎に包まれてきた「手塚先生降臨モード」発生条件の全貌だ!

・その1「単なる “シメキリ” では降臨しない」

あまり大きな声では言えねーが、単なる「シメキリ」での手塚先生降臨は不可能だ。全然ギリギリではない。手塚先生としては、おそらく「その程度でで私は降りるわけにはいきませんよ……」といったところだろう。それでは一体いつ降臨してくるのか? 答えは……編集さんからの “デッドライン” という単語がキモとなる。

言わずもがな、“デッドライン” とは生きるか死ぬかの境目であり、「これを超えたらマジで死ぬ=本が出ない」的な、超絶ギリギリな状況を意味する “死の宣告” である。プロの漫画家ならば、絶対に編集さんにそんな死神みたいなことを言わせてはならない!

──シメキリを守るのがプロである。シメキリを守れない漫画家なんて絶対に許してはならないのだ……と言いたいところだが、ときに一か八か博打を打つ余裕をもった心も大切という声もある。いずれにしても、発生条件として必須なのは “デッドライン” という言葉、ならびに “生死を共にする覚悟をした決死のカミングアウト” なのだ。

・その2「あえて自分を追い込む」

デッドラインを聞いてから、すぐに執筆を開始できるような漫画家は優等生だ。もしも私が編集者だったら、そんな人と仕事をしたい。いやむしろ、すべての漫画家がそうあるべきだ。だがしかし……「手塚先生降臨モードの条件」としては、優等生になればなるほど遠ざかっていく──ことを覚えておいて欲しい。

手塚先生降臨モードになるためには、「人間の限界を超えた状況」まで自らを追い込むことが必須。たとえばデッドラインまで1日切っているのに “あえて部屋の掃除” をしてみたり、“あえてシンクを激落ち君でピカピカに磨いたり” するのは常識中の常識だ。

偉大なる漫画家・島本和彦先生が『燃えよペン』で描いたように、スーパー緊迫した状況で “あえて寝る!” という追い込みも、実はかなり有効である。絶対に編集さんに悟られてはマズい緊迫した状況下、Twitter や Facebook、はたまた instagram などを更新し始めるのも、すべては「手塚先生降臨モード」を発生させるためなのだ。

・そのほかの必須条件

ほかにもいろいろと手塚先生を降臨させるためには厳しい条件がテンコモリ。以下に箇条書きで記しておくので、ぜひとも参考にしてほしいが、絶対に真似しようと思ってはならない。なぜならば、こんなことばっかりやっていたら仕事がなくなるからだ。

●常識的に考えて「絶対に人間技では終わらない時間しか残されていない」状況。
●真夜中3時頃に編集さんからの催促メールで失禁するくらいの追い込まれた状況。
●明け方4時頃の編集さんからの電話でショック死(即死)するほどに緊迫した状況。
●栄養ドリンクを何本も飲んだけど全然気合いが入らない、体力の限界に達した状況。
●メガシャキ飲んで5分後には眠くなっているくらいの睡魔に襲われた状況。
●眠眠打破を飲んでも5分後には眠眠しているような、極限のネムネム状況。
●この期に及んでパソコンなり作業道具が軒並み調子悪くなる物理的に最悪な状況。
●もうどんな言い訳も通用しないほどに編集さんからのメールが怖い文面になっている。
●今までの自分の執筆ペースも計算したうえで「ぜったいに無理」と絶望的な状況。
●でも「諦めるわけにはいかん! まだ俺は漫画家として生き続けたい!」との決意。
●とりあえずベレー帽や手塚治虫先生的なメガネ(降臨セット)を身につけてみる
●無意識で「俺ならできる……俺ならできる!」と最低100回はつぶやく悟りの境地。
●15分の休憩するところを2時間くらい寝てしまい「ギャーッ」と飛び起きた直後。

──これらの条件を満たした時のみ、伝説の漫画家ナチュラルトリップ「手塚治虫先生降臨モード」は発生するのである。くれぐれも念を押して言うが、絶対にマネをしてはならない。信用を失うことマチガイナシだ。

ただし、最初からシメキリ1日前に「タイトですけど明日の夜10時がデッドラインです」と、手塚治虫先生降臨モードにならざるを得ない状況でイラスト発注してくる、掟破りの逆ギリギリな週刊誌の編集者もいるので、いかに土俵際で「のこった」できるかが、漫画家として生き残りのカギとなる。絶対に、絶対に逃げ出してはならない。最後の1秒まで戦い続けるのがプロの漫画家、白いリングに闘いを刻むファイターなのだ。

情報提供: マミヤ狂四郎
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.


▼東京・東長崎「松葉」にて

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