千葉幕張メッセで開催しているカスタムカーの祭典、「東京オートサロン2014」(2014年1月10~12日)。その会場で興味深いカスタムカーを発見したのでお伝えしたい。
・車中泊を余儀なくされたときに
車に求められる機能は移動や輸送だけではないはずだ。ときには、長期間滞在することもある。それがキャンプのような娯楽であれば、良いのだが、被災して車中泊を余儀なくされることも想定される。そんなときに、神奈川県のディーラーであるオートワンの「PICCOLO」シリーズは威力を発揮するに違いない。4人乗りの軽バンで、4人が身体を伸ばして就寝できるからだ。その秘密はポップアップルーフにある。
・阪神淡路大震災から製造
このカスタムシリーズは、日本RV協会(キャンピングカー・ビルダー、ディーラーの組織)に加盟する同店が、阪神淡路大震災以降に製造販売を始めたものだ。担当者の話によると、実は東日本大震災のときに、同店のカスタムカーで半年生活を送った家族がいるという。
・車で大型家電を使えるモデル
通常の軽車両では、暖をとるのにも不安が付きまとうのだが、このシリーズには心強いツールがいくつも隠されている。たとえば、電化に特化したモデルの「給電くん」の場合、ソーラーパネルと100ボルト出力を装備しており、走行中でも停車中でも炊飯器を使用してご飯を炊くことができてしまう。
・ポップアップルーフで大人4人が足を伸ばして就寝
ポップアップルーフを搭載すれば、天井のルーフに床を敷くことで、大人4人が足を伸ばして寝ることができる。通常の車両でもシートで寝ることができるのだが、フルフラットにならない限り、身体の疲れは残ってしまう。おまけに長期車中泊となると身体を壊すことにもなりかねないだろう。
・埋め込みシンクで炊事もOK
さらにすごいのは、バタフライシンクと呼ばれる後部壁面に埋め込める流し台だ。車での滞在時に、炊事はほぼ不可能と言って良いだろう。キャンプ場や公園などで水場が借りられれば良いのだが、そのような場所が確保できなかったときにこのシンクは役立つに違いない。そしてもうひとつ、このシリーズが災害時に真価を発揮するのが、FFヒーターである。
・エンジンを停止しても暖をとれる
FFヒーターとは、エンジンを止めた状態でも車内を暖められることができる燃料式ヒーターだ。これは、燃料(ガソリン)と車外から吸入した空気との混合ガスに、グロープラグで着火して、温風を送るという仕組みだ。
FFヒーターは、8~10時間使用してガソリン消費は1リットル。もしもアイドリングをして暖をとろうと思ったら、乗用車の場合、1時間で1リットル弱と考えられている。しかも二酸化炭素を排出し続けるため、環境にも負担をかけることになるだろう。
このほかにも、車中宿泊に特化したカスタマイズがいくつも施されている。「暮らす」ことに限りなく特化したカスタムカーなのではないだろうか。
参考リンク: オートワン
Report: 佐藤英典
Photo: Rocketnews24
▼フロントのシートは前方に倒して机に
▼リアを全部倒すとフルフラットになる
▼車両のいたるところに収納があり、
▼たとえば、食料を備蓄することも可能
▼壁にあるシャワーは伸縮自在。戸外にヘッドを持ち出してシャワーを浴びることができる
▼シャワー下の扉を跳ね上げると、シンクになる。これで炊事もOK
▼大型家電が使用できるモデルであれば、電子レンジまで使えてしまう
▼ルーフを上げて、
▼天井部の床を敷くと大人二人が寝ることができる。これで4人が足を伸ばして就寝可能に
▼これがFFヒーター。エンジン停止中でも暖かい風が出ている