日本やアメリカのパクリだらけだと言われていた中国のアニメ業界。しかし、近年ではオリジナル作品も多く輩出。『喜羊羊(しーやんやん)』シリーズは中国の国民的アニメと言っても過言ではないだろう。
そんななか、中国のアニメ・漫画の情報サイトが「 “模倣” のなかで進化する中国アニメ」というタイトルで掲載したというコラムが注目されている。コラムのなかで、「中国産のアニメは “パクリ” ではない、“模倣”と呼ぶべき」と主張しているのだ。
・中国の官庁サイトにも掲載
このコラムは、中国のメディアに転載されただけでなく、2013年8月には日本の文化庁にあたる中華人民共和国文化部のサイトにも掲載された。その内容は概ね以下の通りである。
・コラム「 “模倣” のなかで進化する中国アニメ」の内容
現在、多くの中国アニメが疑いをかけられている。低年齢化、完全パクリ、コピー、オリジナリティがない……まるで中国国産アニメを攻撃するかのようだ。たしかに、目下、中国産アニメは日本やアメリカには敵わない。だが「模倣」のなかで進歩しているのだ。国産アニメを見る中国人の増加が証拠である。
最近、テレビや映画でいくつかの作品が「パクリ」の疑いをかけられた。たとえば2011年に公開された映画『魁抜(クイーバ)』は、若者に既視感を与えた。あるネットユーザーは同作の雰囲気とキャラクターが非常に日本風だと感じ、『ドラゴンボール』にソックリだと思ったそうだ。
また、7月にテレビアニメ『高鉄侠』のワンシーンが公開された際、ネットユーザー達から「日本の 『超特急ヒカリアン』を完全にパクっている」という疑いをかけられている。
中国の視聴者は日本や韓国風、欧米風のアニメに慣れ親しんでいるが、中国産アニメはこれらと雰囲気が似ているだけで、すぐに「パクリだ」と言われる。なぜ「模倣」と別の言葉に置き換えられないのか。
我々は中国国産アニメが遅れているという現状を正視しなければならない、しかし、同時に希望を持って中国産アニメの将来性を見る必要があるだろう。中国のアニメ関連企業は進歩しつづけている。彼らもどうすればより良く、よりオリジナリティがある作品を作りだせるかを考えているのだ。(抄訳ここまで)
・「パクリ」か「模倣」か
このコラムでは、「パクリ」は、コピーやわざわざ似せて作った紛らわしい作品を指すようだ。 「模倣」は「真似ること」を示しているようである。よく「 “学ぶ” は “真似ること” だ」と言われる。アニメや漫画に限らず既に世に出た良いものから影響を受けたり、ヒントを得たりして、ものづくりを始めることはよくあることだ。誰もそれ自体をとがめはしないだろう。
しかし、中国には、もとのアニメや漫画の人気を借り、コピーやパクリ商品で利益を得ている業者がいることも確かだ。また明らかに似ているとして、視聴者から批判の声が出るケースもある。コラムに登場した『高鉄侠』は『超特急ヒカリアン』とキャラが似ているだけでなく、ストーリー展開も丸のまま同じだと炎上したこともある。
コラムの言いたいことがよくわかるし、中国のオリジナル作品にも期待をしたい。だが一方で、「パクリ疑惑」のある作品全てにこのケースがあてはまるとは思えないが……あなたはどう思うだろうか?
参照元:中華人民共和国文化部、YouTube
執筆:沢井メグ
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
▼以前、「『ヒカリアン』をパクった」と大騒ぎになった『高鉄侠』、シンクロ率の検証動画
http://www.youtube.com/watch?v=4_ZbRRFqXhA
▼2012年以降、フルCGアニメになってたようだ
http://www.youtube.com/watch?v=GxR8UMQ-l6E
▼こちらが『ドラゴンボール』に似ていると言われた中国アニメ『魁抜(クイーバ)』
http://www.youtube.com/watch?v=tBDKKvBPyRA
▼『魁抜2』
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]