日本においては銃を所持するだけで犯罪だ。もちろん、簡単には手に入らない。しかし、特別な審査を経て銃の所持・発砲を許されている男性がいる。その男性とは、熊本県在住の68歳の猟師。
彼は若い頃から銃を所持していたそうだが、多忙な仕事の日々で全く発砲するチャンスに恵まれなかった。それが今では長年勤めた会社を定年退職し、銃ひとすじの残り少ない余生を送っている。
――猟師って儲かるのでしょうか?
猟師「ちっとも儲かりません。ボランティアです。むしろ儲けなどは考えていません」
――どんなボランティアなのでしょう?
猟師「害獣を駆除するボランティアです。害獣を射殺して捕獲することを駆除といいます」
――いつ駆除をしてるのですか?
猟師「10月1日から3月31日までの6か月間だけです」
――なぜ寒い時期に駆除するのですか?
猟師「生態系を維持するために暖かい半年間は保護期間。寒い半年間が駆除の期間と定められているからです」
――ではこの時期は毎日駆除するのでしょうか?
猟師「行政から要請が入った場合のみです。きちんと駆除できる頭数まで決まっていますので、乱射はしておりません」
――ところで害獣って何を指すのでしょうか?
猟師「シカとイノシシです。」
――狩りの方法について詳しく教えてください
猟師「方法は2つあります。1つ目は犬を使い害獣を獣道までおびき出して撃つ方法。2つ目は犬と害獣をケンカさせて気を引かせたところで撃つ方法です」
――なるほど……犬を使って狩りをするのですね
猟師「チームで駆除しないといけないほどに危険な作業なのです。それに犬は狩りのパートナーですから」
――駆除した害獣はどうするのですか?
猟師「仲間たちと解体して食べています。余りは冷凍保存や、犬の餌にします。表向きには捕獲した害獣は土に埋めるなどの処分をするようにと言われています」
――どうやって食べるのですか?
猟師「イノシシの場合なら必ず焼きます。焼肉ですね」
――なぜ、焼くのでしょうか?
猟師「イノシシは雑食のために肉自体にウイルスに感染している場合があるからです。シカは草食ですので生でも食べられます。シカの刺身やユッケ、あとレバーは本当においしいですよ」
――美味い肉の見分け方を教えてください。
猟師「人間の若い女と同じです。若いメスが美味しいですよ」
――なぜメスなのでしょう?
猟師「メスのほうは筋肉が固くなくて肉が柔らかくて美味しいからです」
――ところで弾の威力はどのくらいなのでしょうか?
猟師「至近距離でなら害獣の頭が吹き飛びます。原型は残りません。弾にも色々種類がありますが、中には肉をえぐりながら貫通する弾もあります。つまり体に穴が空きます。その時点でもう助かりません。人間が被弾した場合も同じです」
――私もいつか猟銃の所持がしたいです
猟師「警察や公安委員会からの気が遠くなるほどのたくさんの審査と時間が必要です。あと、実技試験もありますし、精密な身辺調査や精神鑑定もあります。もちろん、全ての審査の過程で少しでも異変があれば安全上の理由から猟銃の所持の許可はおりません、簡単じゃないんですよ」
――ちなみに猟銃はどのようにして保管しているのですか?
猟師「猟銃は丁寧に分解し、壁に固定されたロッカーにカギをかけて保管しています」
――厳重ですね
猟師「もしも猟銃が盗難に遭った場合、悪用されないためです。分解していればシロウトは組み立て方を知りませんから」
――でも組み立て方を知っている猟銃マニアが盗んだ場合、すぐに発砲できますよね?
猟師「弾は別の部屋の目に付きにくい場所にカギ付きロッカーで隠すように保管するのです」
――隠し場所にも気を遣いませんか?
猟師「弾の保管場所がいつの間にか息子の『あまり見られたくない本』の隠し場所になっていたことがありました。実は本人もロッカーに何が入っているか知らないのです」
――最後に面白い話があったらぜひ教えてください
猟師「そこまで面白くありませんが、手負いのイノシシから逆襲を受けたことがあります。ですので、猟銃の台尻(だいじり)でヤツの頭を強打してやると背を向けて逃げ出しましたので後ろから追いかけて脳天をめがけて撃ちました」
・最後に
以上の取材でわかったことは、この猟師が日々行っている駆除は大変危険であるということ。そして、猟師の世界とは、ふざけ半分が通用しない真剣勝負の男の世界なのだ。
Photo:RocketNews24
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]