okamoto

友達っていいですよね。特に、三十路を過ぎたいま現在もなお交友関係が継続している友達に対しては、ひしひしとありがたみを感じるものです。10代20代の頃は毎日のようにメールし合い、週末ごとに顔を合わせていても、仕事が忙しくなったり家庭を持つようになると、段々疎遠になってゆくもの。

そういえば、筆者の知人の独身女性(30代半ば)が、こんなことを申しておりました……。

■歳とともに、友人関係は狭く深くなる
「結婚する際は、挙式はしたくない。呼べる友達が片手で数えられるくらいしかいないから」と話していました。彼女のようなケースは決して珍しくないと思われます。三十路を過ぎると、浅く広い友人関係よりも、狭く深い友人関係がメインになるものなのでしょう。

数少ない友人に何かあった際は、力になりたいと思うもの。失職や借金は、「新しい仕事を紹介してあげるよ」、「私の貯金を使って」というわけにはいきませんが、色恋関係で傷心の場合は、その気持ちに寄り添うことは出来ます。

■親友でも湿っぽい話はちょっと……
しかし、いかに親しい友とはいえ、失恋の嘆きや愚痴を延々と聞かされるのはしんどいものですよね。友がユーモアセンス抜群で、失恋をおもしろおかしく語ってくれるなら毎晩でも付き合いますが、失恋直後の人間のトークは湿っぽいのは世の常。「毎回同じ話しやがって、カンベンしてくれよ」と、不満に思うこともあるでしょう。そこで今回は、「友達の失恋話を聞く際の心構え」について考えたいと思います。

■友をフッた相手を非難しない
「こんなに好きなのにフラれた」、「こんなに酷いフラれ方をした」などの失恋話導入部は、どんなに話下手な人でも、それなりにドラマチックに語ることが出来ます。その雄弁な語り口につられて、つい「サイテーな人だね」と同調したくなりますが、それは火に油を注ぐようなもの。

人間とは勝手な生き物で、他者に否定されると、かばう気持ちが芽生えてくるのです。友は、いかに惨いフラれ方をしたとはいえ、「好き」という気持ちが100パーセント消えたわけではないので、「でも、出会った当初は素敵な人だった……」と、話を巻き戻します。むしろ、「でも貴方にとっては素敵な人だったんでしょ」と、友をフッた相手を肯定することで、「いや、よく考えると大したことないヤツだったかも。チョメチョメもヘタクソだったし」と、おもろい方向に展開する可能性が期待できます。

■テンション高めで聞く
先日、新宿で女友達とヤキトリを食べていた時のことです。彼女が携帯電話を修理に出した際、店側の対応が悪く散々な目に遭ったという話を聞かされました。一部始終を聞いた私は、店側の対応にたいそう憤慨し、「よし、今から文句を言いに行こう!」と、ヤキトリ屋を飛び出してタクシーを捕まえようとしたところ、「もういいよ、なんか笑えてきた」と、彼女の表情に笑顔が戻りました。

人間とは、やたら熱くなっている人を目の当たりにすると、不思議と冷静になるものです。筆者の友人女性も、聞き役である私のテンションが、自分よりも上がったことで、落ち着きを取り戻したのでしょう。これは、失恋話を聞く際にこそ、ぜひ応用して頂きたいテクニックです。たとえば以下のようなやり取りが考えられます。

友人 「毎日あったメールが段々減って……」
自分 「うおおぉォ……! 狂おしい~ッ!」
友人 「勇気を出して電話したんだけど留守で、折り返しもなくて……」
自分 「だあぁァ~ッ! 切ないぃ~ッ!」

やや誇張しすぎかもしれませんが、心意気としては、これくらいテンションを上げて臨みましょう。

■殺し屋を斡旋する!? 
これは、筆者が失恋した際の実話なのですが、元ヤンの後輩男性の、「俺のダチに殺し屋いるんですけど……殺っちゃいますか! 15万のところ、ミカコさんなら13万にマケときますぜ」という言葉が、一番元気になれました。皆さんも、親しいお友達が失恋した際は、「殺っちゃいますか!」のひと言でいかがでしょうか?

恋愛コラムニスト:菊池美佳子 Twitter / ブログ
Illustration:Rocketnews24