昔は行列ができるほど大人気だったのに、さまざまな理由で閉店してしまった美味しいラーメン店はいくつもある。ラーメン好きならきっと何店もそんなお店の名前を言えると思うが、十数年前に道路拡張のために閉店した白山通り沿い豊島青果市場のすぐ横の『巣鴨ラーメン』はあまりにも有名だ。
あの絶品ラーメンは、多くの市場で働く人や地域住民の胃袋を満たしたものだが、いまとなってはもう幻の味となってしまった。だが、そんな巣鴨ラーメンの元店員である伊藤さんが埼玉の奥地・秩父でラーメン店を開業。いまでは街一番の人気ラーメン店になっているという! これは巣鴨ラーメンのいちファンとして行かねばなるまい! ということで秩父へクルマでひとっ走り、さっそく行くことにしたぞ。
・お店は『ベスト電器』の駐車場横にある
お店の名前は「らーめん屋 いとう」。電車で行く場合は秩父鉄道秩父本線「御花畑駅」が最寄り駅だ。お店はベスト電器ヤオ秩父店と駐車場が共用らしいので、クルマやバイクでも非常に行きやすいと思う。秩父は蕎麦も有名だが、意外とラーメン屋も多いようだ。
・店にはあの『巣鴨ラーメン』の香りが
クルマを停めお店に入ると、あの懐かしい巣鴨ラーメンの香りがっ!! お店は綺麗な木目のカウンター席になったが、あの味は果たして守られているのだろうか!? さっそくラーメン(600円)とたまご(100円)の食券を購入。ラーメンが出来上がるのを待つことにした。
・あの味は守られていた!というか更に美味しくなっていた!
数分後お待ちかねのラーメンが到着! 背脂たっぷり、醤油の良い香りはまさにあの『巣鴨ラーメン』だ。一口スープをすすると「おおおおっ!」とカナリ感動。まごうことなき巣鴨ラーメンのスープである。麺も巣鴨ラーメンそのものだ。夜遅くに市場横の小さなお店ですすったあのスープと麺……また違う場所で出会うことができ、感動もひとしおだ。更にあの頃より美味しいと感じたのは記憶が美味しさを増幅させていたわけではなく、店長の丁寧なラーメン作りがあってこそだと思った。
知らない人にもカンタンに説明すると、巣鴨ラーメンは濃い目の醤油スープとコクのある背脂が絡んだ細めの麺が特徴の、一昔前に流行した「背脂チャッチャ系ラーメン」である。現在も巣鴨ラーメンは場所を変え「すがもらーめん」として巣鴨駅前にあるのだが、私は「らーめん屋 いとう」のほうが市場横にあったあの味を継承していると感じた(もちろんすがもらーめんも美味しいが)。
秩父まで東京から行くと電車でもクルマでも2時間ほどかかるため、休日以外に行くのはなかなか難しい。しかし、あの市場横にあった巣鴨ラーメンのファンは、ぜひ一度行ってみることをオススメする。あの伝説の味わいに、また感動することだろう! 懐かしくも本当に美味しい、素晴らしい一杯だった。
訪問店舗:らーめん屋 いとう
所在地:埼玉県秩父市中町3-16 ベスト電器ヤオ秩父店横
photo:Rocketnews24.