人気お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん、そして「キングコング」の梶原雄太さん、それぞれの母親が生活保護を不正受給していた疑惑が取りざたされている問題であらたな進展があった。
2012年6月12日に行われた衆議院予算委員会で、自民党の馳浩議員が小宮山厚生労働大臣に現行制度の問題点を指摘。そのなかで人物名は明かさなかったものの、梶原さんの母親と思われるケースを取り上げたのである。馳議員の指摘によれば、母親の住むマンションの隣のマンションに、自衛官の兄が住んでおり、扶養義務をはたさずに生活保護を受給していた可能性があるという。
馳議員が紹介している人物(芸人さん)は梶原さんと見て間違いないだろう。というのも、馳議員は、「家族そろって2012年3月にテレビ出演していた」、「芸人さんの母親が「おかんの(じゃこ入り)塩こんぶ」のイメージキャラに抜擢されていた」と説明しており、この二点が梶原さんの母親と合致している。これらを考慮して梶原さんが当初説明していた、生活保護受給のいきさつを整理しよう。
■梶原雄太さんの母親が生活保護を受給することになった経緯
・母親は、祖母の介護と失職が重なって生活が困窮
・福祉事務所に相談し、受給をすすめられた
・梶原さん自身は母親の住むマンションのローンを負担(月額40万円)
・2012年8月にローンを完済し、打ち切る予定だった
・1年3カ月で140万円を受給(祖母の死後、母親は務めに出るようになり減額)
以上のような状況である。これに対して、馳議員が不動産登記情報などを取り寄せて確認したところ、以下の点が判明した。
■馳議員が確認した実態
・母親のマンションの隣のマンションには兄が住んでいる
・母親のマンション購入の後(3年後)、兄がマンションを購入
・兄は自衛官で、本来は扶養義務を有する
したがって、兄が母親の扶養義務をはたすのが妥当ではないかとしている。馳議員は「事実だったから、これはマズイと思った」とし、不動産登記情報や居住しているとされるマンションの写真を入手したそうだ。
そして馳議員は、生活保護の認定をした段階でこれらの状況を踏まえて認定されたことは「違法ではないか?」と、小宮山大臣に質問すると、大臣は「厚労省としては福祉事務所に問い合わせがあった個別のケースについて、詳しく把握していないのでコメントは控えたい」と説明。ただ、現行制度に問題があることを大臣も認め、法改正が必要であることを語っている。
また、馳議員も「この行為は違法ではない」として、「(受給の)抜け道と思わざるを得ない」と指摘しているのだ。現在209万人が受給していると言われている生活保護、本当に必要とされる人が受給できていない問題もあるようだ。馳議員が「抜け道」と指摘した点が速やかに改善され、必要な人の援助になることを願う。