科学の進歩はとどまるところを知らない。人類はそのテクノロジーにより地球の外にまで到達してしまった。もうすでに「発見」の時代は終わったといわれて久しい。だが、地球上にまだ誰一人足跡さえつけていない場所があるのをご存じだろうか? そう、地球上でもっとも深い場所「マリアナ海溝」である。

最深部は1万メートル以上! 世界最高峰のエベレストでさえ約8800メートル。エベレストを入れてもまだまだ足りないくらいの深さだ。そのマリアナ海溝へ『タイタニック』や『アバター』で知られるジェームズ・キャメロン監督が、人類初の単独探検に出発し無事に帰還を果たした。その映像が公開されたぞ!

これまでに行われたマリアナ海溝の有人探査は、1960年のスイスのジャック・ピカール氏とアメリカのドナルド・ウォルシュ氏によるものが人類初にして唯一のもの。その後、無人探査は各国により何度か行われているが、有人は実に52年ぶり。しかも単独探査は初めてである!

ご存じのとおり、水中では10メートルごとに1気圧の水圧がかかる。1万メートルの深海では、1平方センチあたり1トンもの力がかかる計算だ。危険を感じてもすぐに帰還できる距離でもない。まさに命がけ。この海底探索には準備に7年もの歳月がかけられた。キャメロン監督が乗った一人乗りの潜水艇も特別に設計されたものである。海底の水圧で潜水艇は約7.6センチもへこんでしまったそうだ。

キャメロン監督は「海底はまるで荒れ果てた地のようでした。世界とは完全に隔絶されていた。私は自分が全人類から切り離されたように感じた。海底に行ったのは確かに今日起きた出来事でしたが、まるで他の惑星に行って帰ってきたような気さえします」と感想を述べている。確かに映像から地上では経験できないほどの無音の世界が広がっているのがわかる。

また海底といえば、SF小説などに出てくる奇怪な形をした海底生物がいるのではと期待される。しかし実際は未知の生物どころか、何かが生息している痕跡さえ見られず、見えたのは3ミリメートル程度のエビのようなものだけだったそうだ。

だが、彼はがっかりなどしていない。広大なマリアナ海溝の探検はまだ始まったばかりだ。監督は再度、探査に赴くことに意欲的だという。キャメロン監督には我々が到達できない世界を映像を通して見せてほしいものだ。

参照元:Youtube NNGJapan新浪新聞 (中国語)、National Geographic (英語)