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【闇の大人たち】第59回:超穴場闇世界遺産 イン・プノンペン

2011年12月31日

プノンペン市内、国立博物館の脇にひっそりとたたずむ王立芸術大学。未来の芸術家たちが静かに何かを学ぶ場所である。

敷地内には学生たちの作品が投げやりに展示され、人気の散歩コースとなっているのはあまり知られていない事実。悪天候のある日。私はひとり、芸大の中庭を散策しながら芸術を楽しんでいた。そんなとき……。

中庭の片隅に、スクラップバイクを加工したとおぼしき、不気味で巨大なオブジェを発見。台座には何やら、アンコール・ワットを彷彿とさせる繊細な壁画が刻み込まれていたのだが……。近くにつれ、オブジェよりも台座の彫刻に目が奪われ、視線は釘付け状態。なぜか? 何故かと申しますと──

そこに刻み込まれていたのが……。アプサラでもハヌマーンでもない、一般家庭のドメスティック・バイオレンス風景だったからだ!

壁画は四面に描かれ──
 
その1
ネックレスを奪われる老婆! 泣き叫ぶ妹! 引き出しをバールでこじ開ける不良少年! 転げ落ちる仏像!
 
その2
(たぶん)盗んだバイクでひったくりに励む不良グループ! その後ろでナイフ片手に通行人をリンチ!
 
その3
アジトに帰り、ズベ公たちと酒にまみれ、歌い、踊り、背徳行為にふけるギャングたち。
 
……そして最後に、逮捕され、牢獄で過去の罪を反省する風景が──。
 
現代社会に蔓延する罪と罰を余すところ無く表現した21世紀の乳海攪拌。アンコール・ワットには四回行ったが、ほぼ同程度の衝撃を受けました。わたし的世界遺産認定。皆さんもアンコール遺跡のお帰りに、ぜひお立ち寄りください。撤去されないうちに……。
(取材・文=クーロン黒沢

▼注目すべきは台座の方だ!

▼その1・カンボジアン・ドメスティック・バイオレンスの巻

▼母から無慈悲に札束を奪う。お兄ちゃんやめて!

▼黙々とバールで引き出しをこじあける弟!

▼その2・軍資金でバイクを買い、バイク強盗の巻。リンチもあるよ

▼その3・シメは友人宅での乱痴気パーティ!の巻

▼ガールフレンドもできたよ!

▼カラオケ、喫煙、飲酒、不純異性交遊。まさに非行の嵐!

▼その4・ジャジャーン! 非行の果てに……

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