カップ麺は数々あれど、これぞカップ麺の王道といえるのが日清のカップヌードルではないだろうか。当然ながら、お湯を注いで3分待ち、ふたをとってズルズルとすするものなのだが、お湯でなくても作れることをご存知だろうか? 麺が柔らかくなり、スープが溶けてくれさえすれば、何だって良いのだ。

そこで挑戦したのが、パスタのイカ墨ソースで作ったカップヌードル。真っ黒なスープと麺、見た目はきれいとは言えないのだが、これが驚くほどおいしいのである。

記者がこの発想に行き着いたのは、偶然のことである。給料日前日のある日、夜食を食べようと財布を見たところ152円しかなかった。マクドナルドでハンバーガー1個食べられるのだが、使ってしまうと翌日電車に乗れない。

仕方なく部屋をあさったところ、カップヌードルとイカ墨ソースが出てきた。これで腹を満たせると思ったのだが、1つ問題があった。水道が止まっていたのだ。これではカップヌードルも食えない。そこでイカ墨ソースで作ることになったのである。

ソースを温めて、水を入れるのようにカップに流し込む。そして3分待ってふたをはがしたところ、まず見た目に衝撃を受けた。第一印象は沼だ。ドロドロとした黒い沼、とても食べ物とは思えない。匂いはというと、ソースに混ざったトマトの匂いが多少するだけ、そのほかは一切せず、湯気が立ち上っているだけだ。

見た目に圧倒されそうだったが、試しに一口。すると、予想以上にうまい! ソースとスープの味が渾然一体となり、大変濃い味がする。たとえるなら、ピザとハンバーガーを同時に食べるような重量感を感じる。しかしながら、ソースの風味とヌードルのしょうゆ味が畳み掛けるように押し寄せてくるではないか。

イカ墨ヌードルでもっともおいしい具材は、カップヌードルの立役者であるダイスミンチ(肉)ではない。おいしいのは、キューブ状のタマゴだ。普段であればあまり見向きもされないタマゴだが、スポンジのようにイカ墨を吸い、旨みの詰まった逸品に仕上がっているのである。

ドロドロの沼をかき分け、おいしさを探索しているうちに完食してしまった。興味のある方は、是非お試し頂きたい。組み合わせの妙に驚くはずだ。ただし、カロリー・塩分ともにかなり高くなるので、食べすぎには十分にご注意を。

写真:ロケットニュース24