昨年、ついに日本を抜き、GDP世界第二位に躍り出た中国。どの業界も勢いのある国だが、その中でモラルのない業界10つが紹介された。

第10位:タバコ業界
よく知られているように、タバコとは人体に百害あって一利なしだ。この業界には巨額の税収及び就職問題を解決する以外はいかなる存在価値もない。もちろん、喫煙はストレス解消、リラックス作用があるが、それに伴う代償は実に劣悪だ。死に至る病を得てまで得なければならないものだろうか。

他のモラルのない業界との違いはこの業界で働く人は一部を除いて、モラルがない訳ではない。ただ自分の仕事をしているだけなのである。

第9位:健康食品業界
原料を水で薄め、大金をはたいて誇大広告を打ち、原価の数十倍の値段で地方都市や農村で売る。これこそ中国の健康食品の典型的な販売方法だ。健康業界はまだましな方である、というのも効果はないが少なくとも商品には有毒物質は含まれないからだ。詐欺以外の何ものでもないが、業界側は「我々の商品は誰も殺したりはしない」と開き直っている。

第8位:株・投資業界
株・投資業界は最も直接的に金銭を扱う業界である、それゆえに最も典型的な利益至上主義の業界であると言える。業界内は金であふれ、拝金主義が横行しいる。そこには「モラルの欠如」という言葉は全く通用しない、なぜなら元々「モラル」という概念がないからだ。インサイダー取引の横行も我々市民の想像以上だ。

金に魅了された無数の優秀な人材が株・投資業界に群がっている。しかし、忘れてはいけないのは、この業界でのサクセスストーリーは無数の他人の苦しみの上に成り立っているということである。

第7位:不動産業界
不動産業界はタバコ業界とは全く正反対だ。タバコはタバコそのものが人体に悪影響を及ぼすのに対し、不動産自体は全く悪くはない、悪いのはそれに従事する人間である。

この業界の人間の品位の差が実に激しい。ひどいものは本当にひどい。本来なら不動産業界内での自浄を期待するところだが、市場は上昇傾向にあり、値上がり、手抜き工事、ニセモノ販売……などなど、以前と全く変わりない。まさに馬鹿につける薬はない、と言ったところだ。

不動産業は内需拡大の鍵、とよく言うが、高すぎる家を買うことは内需拡大どころか、購入者と何代先の子孫の家計を傾けさせることだろう。

第6位:芸能界
この業界の多くの人間は腹黒く、悪いことと名のつくことは何でもやる。ここでは「モラル」という言葉は笑い話だ。「虚栄」、「堕落」、「手段を選ばない」……これらは全て芸能界の代名詞である。

「虚言」は彼らの基本行動であり、麻薬や覚せい剤は彼らが気楽に遊ぶための常套手段だ。このような「闇のルール」が多くある業界で、多くの若者の未来が踏みにじられてきた。

この業界の特性は民衆の、特に若者の興味を引きやすく、多くの若者の悪いお手本となってしまうことだ。最近では、多くの親が子どもを芸能人にするため心血を注いで教育するが、最後は風俗業界もしくは愛人にくらいにしかなれない。これこそ悲劇と言わず何と言おうか。

だが、決して忘れてはならないのは、実に真面目で、高いモラルと高い教養を持ち合わせている芸能人もいるということ。こういう人がより多くなることを願う。

第5位:食品業界
食品業界こそ「モラル欠如」そのものである。管理が行き届かないところには必ず悪巧みをする輩がいて、私達が毎日体に入れる有害物質の量は全く計り知れない。野菜や果物の全面的な管理は非常に困難だ。

例えばとある農村のネギ畑では、薄めた劇薬が撒かれていた。農家の言い分としては、「ネギは太く長い方が見栄えが良いため使用してしただけのこと」としており、1ムー(※中国の単位:15分の1ヘクタール)だけで何瓶も使うとのことだ。残留農薬の問題を指摘されると、この農家は実に「素直」に「大丈夫、自分達は向こうの畑のを食べるから」と農薬を使用していない方の畑を指差した。

この業界にももちろん良心的な企業もある。例えば数年前ある乳製品メーカーは原料高騰のため破産しかかった。それは、製品に何も混ぜ物をしなかったからだ。しかし食の安全が注目されるようになった現在、そのような企業が報われるようになっていくだろう。

第4位:製薬業界
中国の製薬業界は独特だ。第一に新薬が多い。第二に薬品工場が多い。この二項目なら世界一だ。しかし、中国の研究開発力が強いというわけではない。

中国で医薬品販売において最も重視されるのは、宣伝と医師の買収である。開発は二の次で、古い処方や、外国で開発されたジェネリック医薬品が「新薬」として売り出される。

これらの状況の前提には業界と医薬品監査局の結託がある。先日死刑になった医薬品監査局の局長は任期期間中数万種以上の薬品を、ひどいときには1年間で1万種以上も認可してきた。内情を知る人物によると、新薬の申請部門には賄賂を持ってきた人であふれ、賄賂さえ贈れば、3分で認可が下りたという。笑い話にも程がある。

第3位:医療業界
中国の医療業界のレベルはピンキリである。患者の立場が弱いのをいいことに、悪徳病院は誰にもはばかることなく、医療の名を借り、堂々と詐欺を働いている。

中国東北地方でもベスト3に入る有名病院に入院した人によると、入院したときに同室の患者に「支払いの際は必ず明細書を確認した方がいいですよ」というアドバイスを受けたそうだ。

「有名病院でまさかそんなことが」と思っていたそうだが、念のため確認したところ、どの項目にも訳のわからない費用が加算されていた。彼はひとつひとつの項目につき病院側と争い、最後には事が大きくなることを恐れた病院側が折れ、請求額の半分を返金してきたという。

良心的な病院もあるにはあるが、まだ大都市にしかなく、また圧倒的に数が少ない。地域密着型の良心的な病院の設立が待たれる。

第2位:民間石炭採掘業
この業界は黒いと言われるがそれは、仕事環境だけでなく、生存環境のことも言う。

多くの経営者はヤクザを用心棒とし、未公開株を使って地方政府を買収しているらしい。基本的に納税をせず、従業員が死亡すればすぐさま埋めて隠してしまう。そして、売り上げは即刻国内外の隠し口座に送金、会社には「余裕」がないように偽装する。そうすることにより、事故が起きた場合の賠償を免れようとしているのだ。

彼らは金の使い方を知らないため、往々にして豪邸や高級車等に費やされる。そんな金がありながら、作業場の設備や従業員の保険には金をかけたがらない。

自分達の贅沢のために使った金が、ひとりひとりの従業員のまさに汗と血の結晶であることを考えたことがあるのだろうか。

第1位:教育業界
教育業界の腐敗は、教育の金銭化と産業化が諸悪の根源である。金のために「敬愛すべき」教師はあっという間に落ちぶれてしまった。子どもの成長には子どもと親と教師との関係が深く関与していることが研究で証明されているが、現在の学校教育はどうだろう。

幼稚園では賄賂を渡さなければ子どもは誉められもせず、小学校では賄賂を渡さなかったためにクラスメイトの前で恥をかかされ、中学・高校では進学率のために体育の授業と課外活動が中止になり……誰も子どもに人としての素養の教育を施さない。結果として「もやしっ子」や「試験マシン」を作り上げるのである。

大学は学生募集を達成するため、多くの「半人前」を無理矢理「就職させる」。これら一連の「教育」は子ども達の心に傷を残し、人格さえも変えてしまうだろう。結局金のために子ども達が犠牲になっているのだ。

食品業界のモラル崩壊が人の健康を脅かしているなら、教育業界のモラル崩壊は人の人格と精神を破壊していく。身体の病気は病院で治すこともできるが、精神となるとなかなかそうもいかない。また、最も憂うべきはそれが青少年の身に起こっており、そういう人材が将来国を背負うことになるということだ。

目先の利益に目がくらんだ教育業界のモラルの欠如は、結局は未来の国の根幹を揺るがすことになる。それが教育業界の堕落がワースト1に挙げられる理由なのである。

イラスト:ロケットニュース24
参照元:看中国(中国語)