首都・台北の中心部に堂々そびえる巨大ターミナル・台北駅。台北の電脳街といえば、ちょっと離れた場所でリニューアルした巨大電脳ビル・光華商場が「アキバ」の代名詞だが、台北駅の周辺にも小ぶりながら数々の電脳ビルが点在し、マニア向けのショップも少なくない。
台北駅前のランドマーク、新光三越のすぐ脇に建つ「NOVA」という極彩色の漢字看板にまみれた毒々しいビルも、そんな電脳中心のひとつだ。
入ろうとすると、防寒具に身を包み、大きなキャリーバッグを抱えた少女たちが、正面玄関横の地べたに放心状態で座り込んでいた……。真冬の、しかも風の強い夜だというのに、体育座りで何をしているのだろうか!?
立ち止まって観察すると、皆さんお尻の下にダンボールを敷き、枕、毛布、折り畳み椅子持参の娘もいる。そんな椅子の上にマンガ同人誌……。
後から知ったことだが、まさにこの日、台湾最大の同人誌即売会「ファンシーフロンティア」が催されていた……らしい。日本でもコミケ後には地べたで収穫物に読み耽るオタクの姿を良く見るが、彼女たちもひょっとしてコミケ帰り? 思い違いであればいいが、さておき、肝心のNOVAは健全なPCショップばかりで、残念ながら怪しいものはこれっぽっちも見当たらない。
NOVAから新光三越をはさんだ反対側にある「Kモール」という電脳ビルは、等身大の巨大ガンダムが飾られたガンダムショップや、台湾新幹線をはじめ、ローカル鉄道のNゲージモデルを扱う鉄道模型専門店など、電脳よりも趣味の店メイン。面白いことは面白いが、消化不良感は否めない。
もっと怪しいビルはないのか? ないのか! こうして私は台北随一のオタクビルと評価の高い「某所」に走ったのであった──。
(取材・文・写真=クーロン黒沢)