ロケットニュース24

【お金の話】第3回お札は金と交換するための引換券だった

2010年12月6日

さぁ、これからお金の話をしよう。誰もが多かれ少なかれもっている「お金」であるが、「お金って何?」と聞かれると意外に答えられないものである。このコラムでは、誰もが知ってるようで知られていない、お金について話してみたいと思う。

前回は日本銀行が民間企業で、さらに株式上場しているというお話をした。けっこう意外な話ではあるが、今回は、なぜ上場されているのかについて語ってみたい。

・米ドルは12もの発行元がある
なぜ、中央銀行の株式を上場するのだろうか? それは世界的な中央銀行の歴史と仕組みにも関わることなのである。実は世界の中央銀行はほとんどが建前上の民営形態をとっている。あの米ドルを発行しているFRBも、実は民間銀行が出資する(政府のお金は一切入っていない)12の中央銀行の集合体なのである。実は米ドルには12種類の発行元があり、それがアルファベットで記されている(※1)。

米ドルの話はこれぐらいにして、日本銀行の話に戻すことにしよう。なぜ、一応は民間形態を採っているかというと、かつて紙幣は金の引換券だったからなのである。

・実は金の引換券だった紙幣
銀行が持っている現物の金、その金の量に合わせて、その引換券である紙幣を発行していたのだ。このような紙幣を兌換紙幣(だかんしへい)と呼ぶ。 そして、中央銀行と政府の財政を切り離すことで、中央銀行の信頼性を高めていたのである。ようするに、政府が勝手に中央銀行の金に手をつけられなくしていたのだ。さて、次回は、紙幣が単なる紙切れになったお話をしてみたい。
(文=経済評論家・渡邉哲也

※1 ドル紙幣の中にアルファベッドでどこの中央銀行が発行したか記載されている。かつて発行されていた肖像画が小さい紙幣では肖像画の左に、肖像画の大きい現行紙幣では左端とシリアルナンバーの左から二番目が発行元を示す記号となる。

A: マサチューセッツ州 ボストン連邦準備銀行
B: ニューヨーク州 ニューヨーク連邦準備銀行
C: ペンシルベニア州 フィラデルフィア連邦準備銀行
D: オハイオ州 クリーブランド連邦準備銀行
E: バージニア州 リッチモンド連邦準備銀行
F: ジョージア州 アトランタ連邦準備銀行
G: イリノイ州 シカゴ連邦準備銀行
H: ミズーリ州 セントルイス連邦準備銀行
I: ミネソタ州 ミネアポリス連邦準備銀行
J: ミズーリ州 カンザスシティ連邦準備銀行
K: テキサス州 ダラス連邦準備銀行
L: カリフォルニア州 サンフランシスコ連邦準備銀行

イメージ写真: ロケットニュース24.

モバイルバージョンを終了