近所に住むノラ猫が部屋に上がり込むようになったのは、ここ一週間のことです。次第に秋も深まり木枯らしが吹くようになって、私の心も寒々としてきた頃、彼らのうちの一匹が突然窓の外から飛び込んできたのでした。

白黒模様のその猫は、自分から入り込んできたはずなのに驚いた様子で「ここはどこ?」といった表情を浮かべ、私と目が合うと慌てて「間違った」と言わんばかりに飛び出していきました。その日から、私とノラ猫たちの交流が始まったのです。

自己紹介が遅くなりましたが、私はiPhone4の発売日に3日間も並んだのにドコモの通話料を支払っていなかったばかりに買えなかったライターの佐藤です。築30年のアパートの1階に住んでいまして、「アラフォー」と言えば聞こえがいいかも知れないのですが、独身を気取るには寂しさ漂う36歳。現在はインターネットニュースの記者をしながら、しがない生活を送っています。

私が今の部屋に暮らすようになったのは、今年の1月のことでした。それまでは同じ建物の2階でルームシェアをしていましたが、現在の部屋が空くことになり建物内で引越しをしたのです。バス、トイレ別で家賃は6万5000円。6畳一間に4.5畳のキッチン。ひとりで暮らすには十分な広さ。時折聞こえる隣のおじさんの声を気にしなければ、かなり快適な暮らしです。

猫を目撃するようになったのは、1階で暮らし始めてからのことでした。かねてからこの界隈にノラ猫が住み着いていることは知っていましたが、2階にまで猫が上ってくることはなかったのです。それが1階で暮らすようになって、彼らの姿を頻繁に目撃するようになりました。

猫が飛び込んで来てからというもの、相次いで猫の姿を見かけるようになり、その数がかなり多いことにも気付きました。白黒の柄のものもいれば、三毛猫もいます。トラ柄、ブチ、真っ黒などなど。
とにかく窓を開けていると彼らが私の様子を伺うようになっていったのです……。

写真:ロケットニュース24