コンパクトデジタルスチルカメラ市場では動画撮影のニーズが高まり、2011年7月の地上アナログ放送の停波を控え、デジタルフルハイビジョンテレビの普及が進んでいる。そうした背景を踏まえ、ソニーが新たな製品を投入する。

ソニーは、暗所でも高精細な静止画撮影ができる新開発の1220万画素裏面照射型CMOSセンサー『Exmor R』を搭載したデジタルスチルカメラ サイバーショット『DSC-WX5』と『DSC-TX9』を8月7日より発売すると発表した。価格は、いずれもオープンプライス。

両機種は、『ハンディカム』などにも採用されているAVCHDでのフルハイビジョン動画(1920×1080/60i)撮影機能や、どのようなシーンでも最適な設定で高画質な静止画を撮影できる『プレミアムおまかせオート』を搭載した。加えて、世界で初めて手軽に3Dの静止画撮影が楽しめる撮影機能を実現した。実は、今回の新製品『DSC-WX5』と『DSC-TX9』には、フルハイビジョン以外に面白い機能が備わっている。それは、ズバリ!『3Dの静止画撮影機能』だ。

3D撮影ができるデジタルカメラというと、富士フイルムの『FinePix REAL 3D W1』を思い浮かべる人が多いだろう。『FinePix REAL 3D W1』は、3D撮影を実現するために2つのレンズを使用していた。人間の目と同様に、2つの異なる映像を同時に得るためだ。それに対して『DSC-WX5』と『DSC-TX9』は、1つのレンズしか搭載していない。どうやって3Dをするのだろうか。

実は、両機種は、スイングパノラマ技術を応用し、スイング中に複数の視点からの画像を抽出・生成することで、3D静止画撮影を実現しているのだ。左眼用と右眼用の画像を撮影した画像から選び出しているといえば、わかりやすいだろう。

撮影モードには、『3Dスイングパノラマ』と『スイングマルチアングル』の2種類があり、『3Dスイングパノラマ』では、16:9・スタンダード・ワイドから撮影したいサイズを選ぶことができ、撮影画像を3Dテレビ『3Dブラビア』などに接続することで、大画面上で3D画像を楽しむことができる。

また、『スイングマルチアングル』では、3Dテレビ「ブラビア」などに表示する画像に加え、15の視点からなる多視点(マルチアングル)画像の計2枚の3D画像を生成する。この多視点の画像は、カメラ本体を傾けることで、カメラ本体の液晶画面上で疑似的な3D鑑賞が楽しめる。ソニーは、新しいデジカメに3Dという新しい機能を取り入れ、3Dテレビ『3Dブラビア』との連携を提案している。はたして、ソニーの戦略はユーザーに受け入れられるだろうか?

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