紙のように薄く軽い特徴を持ち、省電力ながら自由に画面の書換えができる「電子ペーパー」は、環境にやさしい電子メディアとして期待されている。電子書籍端末などではモノクロの電子ペーパーが主流となっている中、富士通研究所では、いち早くカラー電子ペーパーの開発および実用化に取り組み、2007年に富士通フロンテックは世界初のカラー電子ペーパーを搭載した携帯情報端末「FLEPia(フレッピア)」をすでに製品化している。
しかし、大きな課題が3つあった。電子ペーパーについてはさまざまな研究開発が行われているが、1.カラーで明るい表示を実現すること、2.明るさとコントラスト比を向上させること、3.画面の書換えを高速化すること、の両立を図ることが難しく、表示性能についてはさらなる改善が期待されていた。
そういう背景のなかで、富士通研究所は2010年5月7日、世界最高水準のカラー画質を有するカラー電子ペーパーを開発したと発表した。同社はパネル構造と画面の書換え方式を大幅に見直し、明るいカラーの表示と、コントラスト比7対1(従来比3倍)、画面書換え0.7秒(従来比2倍高速化)の性能を達成した。これにより、電子ペーパーとして世界最高水準のカラー表示とスムーズな画面切り換えが実現できるようになったわけだ。
今後、紙に変わる媒体として、電子書籍端末や公共の場所での広告などの需要が増えてくる中で、カラー表示が可能な電子ペーパーには期待が寄せられている。近い将来、カラー電子ペーパーは、紙の代わりになれるだろうか。
Photo by 富士通研究所 press release.