大阪でも、そして東京でも……ここ数日で大きな動きがあった「不起立界」。何のことだか分からないという人のために簡単に解説すると、卒業式や入学式のとき、「起立」をしない教職員のことをさす。起立以外にも、君が代の「不斉唱」や、君が代伴奏の「不伴奏」、国旗掲揚などもふくめた「ひのきみ問題(日の丸・君が代問題)」などのシリーズがあるが、もっともメジャーな不起立行動は、椅子にピタリとお尻を密着させた「不起立」である。

一体なぜ起立しないのかについては、不起立教師それぞれの思想やポリシーがあるが、一番多い意見は「戦争時の日本みたいだから」といった感じである。起立するのがかったるいからではない。ある教職員は、君が代斉唱と起立などを児童・生徒に強要すると「戦争につながる」との考えを持っており、一筋縄では解決できない問題なのである。

それはさておき、本誌でもたびたび登場する不起立評論家の漫画家マミヤ狂四郎氏。以前の記事で「新たな不起立ワザ」が誕生するおそれがある、と危惧していたのだが……このたび、その禁断のワザを描き下ろしてくれたのでご報告しておきたい。

画像を見てお分かりの通り、立っているのか座っているのか分からない状態になっている。ここからは考案者である漫画家マミヤ狂四郎氏に分かりやすく解説してもらおう。
 
マミヤ「不起立教師にとって、起立するのはご法度です。だけど処分を受けるのも嫌だったりもする。また、不起立を貫きたいけど、児童や生徒に迷惑をかけたくないと思っている、『使命』と『良心』の間を行き来する人造人間18号(ドラゴンボール)のような先生もいます。そんな中途半端な不起立教師が、もしかしたらやってしまうのではないか……と私が危惧しているのが、この『中起立(ちゅうきりつ)』スタイルです」
 
――こ、これは……たしかに起立はしているけど、オシリはピタリと椅子に密着している。背もたれの部分ですが、椅子にしかと付いている!
 
マミヤ「背もたれに腰掛けている=座っているとも考えられるし、中腰で立っているとも考えられる。さらに、コブラのように背筋を伸ばせば、そこそこ頭の高さも稼げます。教え子たちからも『あ、●●先生、立ってるな』と見られます。ちょっと立ち方は変だけど、お尻を付き出す姿勢で立つ人って、よくいるじゃないですか。そんな人だと思われるだけです」
 
――このスタイルが流行してしまったら、不起立をチェックする校長先生や教頭先生も判断に迷ってしまいますね……。
 
マミヤ「危ういのは、東京よりも大阪です。笑いの本場、大阪です。処分が厳しい『君が代条例』もありますし、大阪の不起立教師は、必ず何かの秘策を考えているはずです。絶対に、この『中起立』は悪用しないでいただきたい。絶対に。絶対に……」
 
長きにわたり不起立界をウォッチしてきた不起立専門家も危惧する「新たな不起立方法」、『中起立スタイル』。いずれにしても、厳粛かつ平穏な卒業式・入学式が大阪府でとり行われることを切に願う。卒業式の主役は先生ではない。児童と生徒なのだから。

イラスト・情報提供:マミヤ狂四郎

▼これは完全なる抜け道である。絶対にやめてほしい。