
収穫の秋、ご近所さんからさまざまな食材をいただく今日この頃だ。先日はスダチ、最近では名古屋コーチンの卵。そしてついに、ローゼルまで頂戴してしまった。本当にありがたい限りである。
ローゼルについては以前も紹介したことがあるが、ハイビスカスの一種で、お茶にすると爽やかな酸味が効いていて美味しい。今回はとにかくたっぷり量があるので、以前は諦めていたジャムづくりに挑戦してみたい。
・予想外の生え方
鮮やかな赤、ぷっくりとした萼(がく)と包葉が可愛らしいローゼル。昨年、産直市場で初めて目にしたが、売られていたのは可食部である萼と包葉のみだった。
先日、家の近所を散歩していると、畑仕事をしているご近所さんに遭遇した。そちらのお宅には、育てるのが簡単ではなさそうな、一風変わった野菜や植物が多く植わっている。面白いなあと思って眺めていると、視線に気づいたのか「ローゼルは食べはります?」と声をかけてくださった。
なんと、あのローゼルまでも育ててらっしゃったとは……! 感動しながらも、図々しく「いただきます」と即答。すると、収穫がてら植わっている場所まで連れて行ってくださった。
そこでまた、びっくり。これまでローゼルの萼と包葉しか目にしたことがなかったが、想像とは少し違う生え方をしていたのだ。てっきり、イチゴのように実っているものかと思いきや、とんでもない。
まるで小さな木のようで、ごつごつとした武骨な赤紫色の茎を伸ばしていた。たまたまその日は白い花が咲いていたが、この花が咲き終わった後に赤い実(萼)になるらしい。ご近所さんはワイルドに茎を何本か切って、そのまま持たせてくださった。
萼や包葉と同様に、茎も若干トゲトゲしている。切り口はネバッとしていて、またひとつローゼルの新しい顔を知ることになった。
・ローゼルには驚かされてばかり
茎には20粒ほどの赤い実が付いている。それを10本ほどいただいたので、なかなかの大量だ。これだけあれば、しばらくはローゼル三昧の日々が送れることだろう。昨年は量がネックとなって挑戦できなかったジャム作りだって、余裕でできてしまうというものだ。
そうとなれば、さっそく取り掛かろう。ハサミを使って茎から実を摘み取る。茎はなかなかに頑丈で、ハサミを持つ手に少しばかり力を込める。一見すると食べ応えがありそうだが、内側の種を取り除いて使うため、それなりの量が必要になるのだ。
はじめは30粒ほどで良いかと思っていたが、萼(がく)と包葉だけになるとぐっとボリュームがダウン。追加でさらに2本、計40粒ほどを収穫し、ちまちまと種を取り除いていった。先にも触れたように、表面には優しいトゲがあるので、作業時には手袋を着用することをおすすめしたい。
この作業が一番大変と言えば大変だが、ここさえ終わればあとは楽ちん。鍋にきれいに洗った萼と包葉を入れ、砂糖を目分量でローゼルの半分ほど加える。ローゼルは酸味が強いことをこれまでの経験から知っていたので、心持ち砂糖を多めに入れてみたが、このあたりは好みで調整すると良いだろう。
弱火にかけて水分が出てくるのを待つ……が、あまりにも水気を感じないビジュアルに「本当にこれで良いのか?」と不安になる。しかしものの数分もすれば、粘り気のある赤い液体がじわじわと滲み出てきた。ローゼルにはペクチンという、とろみ成分が豊富に含まれているそうだが、これほどとは。
ローゼルに関して、知らないことばかりで本当に面白い。様子を見守りつつ時折かき混ぜながら、弱火にかけ続ける。30分ほどすると萼と包葉が柔らかくなり、とろりとした液状になってきた。適当なところで火を止め、レモン汁を小さじ1ほど加えれば完成だ。
出来立てを少し舐めてみると、これがまあ美味しい! あのしっかりとした酸味が、砂糖によってマイルドになり、とても食べやすく仕上がっている。瓶に移してしばらく寝かせ、翌朝の焼きたて食パンに乗せてみることにした。
冷蔵庫に入れていたため一度はキュッと固くなっていたが、ほかほかのパンに乗せるとじわっと溶け出してくる。良い塩梅になったところでひと口かじると、出来立てよりも味が馴染んで、より一層美味しくなっていた。
甘酸っぱくすっきりとしていて、ローゼルと知らなければベリー系のジャムと思うのではないだろうか。あのローゼルがこんな味になるなんてと、何度目かわからない驚きを味わう。ローゼルの面白さを存分に体感でき、たくさんくださったご近所さんには感謝しかない。
きらきら輝くルビー色のジャムを眺めながら、ちょっとだけ特別な秋を感じることができた。いやはや大満足。今後はこの季節になるたびローゼルをたくさん手に入れて、ジャム作りに励むのもありだな、と思っている。
執筆:K.Masami
Photo:RocketNews24.
▼種の部分は何かに使えないのかなと、いつも思う
▼水を一切使っていないのに、とろみが出て来るのが面白い
▼ローゼルの茎がしっかりしていて驚いた