
昭和生まれの私にとって、黒電話やラジカセは懐かしいものである。
しかし、令和を生きる小学生の娘たちにとっては、使い方すら想像できない未知の道具らしい。
先日、熱海の「ホテルニューアカオ」に試泊させていただいた際、レトロな館内に黒電話やラジカセなど、昭和を感じるアイテムがいくつも置かれていた。
それらを見た娘たちは、「これ、どうやって使うの?」と興味津々。そこで、すぐに答えを教えず、「どうやって使うと思う?」と逆に挑戦させてみることにした。
果たして、令和を生きる小学生は昭和・平成のアイテムを使いこなせるのか。公衆電話や、実家に残る謎の道具にも挑戦してもらったところ、予想外の使い方が次々と飛び出した。
・久しぶり、昭和レトロコーナー
以前、紹介したようにホテルニューアカオのキッズスペースには、子ども向けの遊具だけでなく、黒電話やラジカセなどを並べた昭和コーナーも設けられていた。
また、館内には射的などを楽しめるレトロなゲームコーナーもあり、昔懐かしいゲーム機がズラリ。
以前訪れた「岐阜レトロミュージアム」で見かけたものもあり、我が家にとっては嬉しい再会でもあった。
ちなみに、プリクラだけは超現代的。
個人的には、角が丸い小さなシールが出てくる横長のプリクラ機まで置いてあったら完璧なのに……と思った。これが伝わる人は、おそらく同世代の読者である。
・黒電話がDJ機材に!?
まず娘たちに挑戦してもらったのは、黒電話だ。
私の祖父母の家には黒電話が置いてあったため、実際に使ったことがある。ダイヤルの穴に指を入れ、数字ごとにストッパーまで回して、元の位置に戻るのを待つ。
しかし、娘たちは黒電話を普段見ることすらない。まずは次女に「どうやって電話をかけると思う?」と聞いてみた。すると、ダイヤル部分を上下に細かく動かし始めた。
その姿は、まるでDJである。先日のDJ体験に引っ張られているのだろうか。黒電話をターンテーブルに見立てるとは、さすが令和キッズである。もう一度挑戦してもらうと、今度は数字の穴に指を入れ、ダイヤルを回すところまではたどり着いた。ただ、かなり惜しい。
例えば「1、2、3」と入力する場合、ダイヤルが元の位置に戻るのを待たず、そのまま指を隣の数字へ移動させてしまう。スマホのように、数字を連続して入力できると思ったようだ。なるほど。
続いて長女の番だ。
次女の挑戦を見ながら、「このやり方ではないらしい」と考えていた長女。しばらく黒電話を観察したあと、ダイヤルの穴に指を入れ、ストッパーまで回した。
そして、ダイヤルが元の位置に戻るのをきちんと待ってから、次の数字へ。なんと、1回目で正解である。正直、もう少し珍回答が欲しかったところだが……。
ただし、実際に操作した長女からは、「えっ、でもすごく時間がかかるね」との感想が。ダイヤルが戻るのを毎回待たなければならない黒電話は、令和キッズにとって想像以上にのんびりした道具だったようだ。
・続く昭和への挑戦
続いて挑戦したのはラジカセ。
娘たちは、カセットテープを見る機会もほとんどない。ましてや、それを機械に入れて音楽を再生する方法など、知るはずもないだろう。
私が小学生の頃は、カセットテープにラジオや音楽を録音していた。友達と交換日記ならぬ「交換カセットテープ」のようなこともしており、声を録音して渡し合っていたものだ。
そのカセットテープは今も残っているが、恥ずかしすぎて、とても再生する勇気はない。娘たちはラジカセのボタンを観察しながら、私と一緒に使い方を確認。黒電話ほど奇抜な操作は飛び出さなかったものの、ガチャッと物理的にボタンを押すこと自体がおもしろかったようだ。
今は、アレクサに呼びかければ、すぐにラジオも音楽も楽しめる。だからこそ、この手間が、娘たちには新鮮な体験として映ったのかもしれない。
ちなみに、近くに置かれていた昔のテレビについては、私も正しい使い方がよく分からなかった。
それにしても、私はこの昭和コーナーの居心地が妙に良かった。やはりギリギリとはいえ、昭和生まれだからだろうか。なんだかんだ、私も昭和の女なのである。
・公衆電話なら使える?
ここまでいろいろ試したところで、ふと疑問が浮かんだ。黒電話ほど昔のものではないが、公衆電話の使い方はわかるのだろうか。
まだスマホを持たせていない子どもにとって、公衆電話は災害時や緊急時に使う可能性もある。この機会に、実際の公衆電話へ連れて行き、テレホンカードだけを渡して電話をかけてもらうことにした。
2人で相談しながら、受話器を先に取るのか、カードを先に入れるのか、苦戦しつつも、意外にも無事に電話をかけることができた。
これで、もしものときにも少し安心である。娘たちが特に気にしていたのは、通話中にテレホンカードの残度数が結構なペースで減っていくこと。
確かにこれ焦るよね。今はLINEで無料通話できるけど、昔は電話代も気にしながらしゃべってたのよ。
さらに、受話器についているクルクルとしたコードも不思議だったらしい。考えてみれば、最近は掃除機もイヤホンもゲームのコントローラーも、どんどんコードレスになっているもんね。
電話機と受話器がコードでつながっていること自体が、令和キッズには珍しいのだ。
・最後は読者のみなさんにもクイズ
最後は、昭和や平成の家庭で使われていた、ある道具を見せてみた。細長い棒の先に、穴の開いた円形の板がついている。
実家に今も残っているものなのだが、読者のみなさんは、これが何に使う道具か分かるだろうか。
娘たちの回答は、「トイレが詰まったときに使うもの?」。なるほど、いわゆる「スッポン」に見えなくもない。だが不正解である。
正解は、湯かき棒というお風呂のお湯を混ぜるための道具。
昔のお風呂は、お湯を沸かす際に、上の方だけ熱くなり、下がぬるい状態になることがあった。そのため、この道具を使ってお湯を上下にかき混ぜ、温度を均一にしていたのだ。
実家には今も残っているものの、使う機会はほとんどない。それでも、なんだか捨ててしまうのが惜しく、母には「捨てないで」と伝えている。
・「知らない」からこそ面白い
黒電話をDJ機材のように操ったり、お風呂を混ぜる道具をトイレのスッポンだと思ったり。大人から見れば間違いでも、令和の子どもならではの発想が面白かった。
もしかしたら、アレクサやスマホも、いつか「これ、どうやって使うの?」と聞かれる懐かしのアイテムになるのだろうか。
そう考えたら、なんだか鳥肌が立ってきた。
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.