
私(夏野)は工場見学好きであるが、裁判傍聴も好きだ。普段見えない社会の仕組みや、人間模様が垣間見えるのが非常に興味深いのだ。
そんな私が以前から気になっていたのが市議会傍聴である。
裁判所よりもずっと身近な議題を取り扱っているのに、実際に見たことは一度もない。
そこで一般質問の日程を確認し、人生初の市議会傍聴へ行ってみた。
・意外と気軽に参加できる
裁判傍聴と同様、特に予約などは不要で、当日その場に向かうのみ。
私の向かった議会では、受付で住所と名前を記入し、傍聴券を受け取るだけ。席は自由席だった。
会議は午前10時からだったが、私が到着したのは少し過ぎた頃。この時点で傍聴者は7人ほどで、その後さらに4人ほどやって来た。
高齢の方が多いかなと予想していたが、主婦仲間のようなグループや、20代くらいに見える男性の姿もある。
・ポスターの人たちが目の前にいる
議場に入ると、まず独特の空気に圧倒された。
地域によって違いはあると思うが、私が見た議会はかなり厳粛な雰囲気。正面には市側の席があり、その向かいに議員席が並ぶ。なかなかの人数である。
普段は選挙ポスターや広報誌でしか見ない議員たちが、目の前にいる。
あ、この人、こんな雰囲気なんだ……
ポスターでは、爽やかな印象だった議員さん達。もちろん、写真そのままの人もいれば、まったく違う雰囲気の人もいて面白い。
そして開始からしばらくして、私はあることに気付く。
……あれ? 寝てる人、いる?
いや、もしかしたら目を閉じて深く考え事をしているだけかもしれない。……ずいぶん長考ではあるが。
しかも、選挙の時には熱意あふれる公約を掲げていた人だったりするから、なんとも複雑な気持ちになる。
・眠くなるのも分かるが…寝ちゃダメだ!
とはいえ、冷静に考えると事情も理解できる。
会議は朝から夕方まで続く。私が見た日は一般質問の3日目。ずっと同じ姿勢で座り続け、この独特の緊張感の中で集中力を維持するのは相当大変そうだ。
もっと短時間で効率的に進められないのかなぁとか、途中でみんなでラジオ体操でもしたらいいのにとか、傍聴席から余計なお世話ばかり考えてしまった。
まぁ、行政には行政の事情があるだろうし、私自身が内部を知っているわけではないが。
・身近なテーマだからこそ興味深い
議員からの質問テーマは、主にこんな感じ。
ごみの出し方の問題。
高齢者の移動手段。
駅前の活性化。
どれも普段の生活に直結する話ばかりだ。いつもこうやって1つ1つ、市民の声を届けてくださる議員さんたちに感謝である。
一方で、せっかちな私は途中からこう思い始める。「いや、今その話必要?」「さっきも同じこと言ってなかった?」「結論はどれ?」と。
サクッとした会議に慣れている人なら、同じ感想を抱くかもしれない。ただ、それと同時に、議員って大変だなとも実感した。
議場全体が張り詰めた空気の中で、自分の意見を述べ続ける。発言は記録に残る。私がこの空気の中で質問しろと言われたらかなり緊張すると思う。
・夏野の知らない世界
今回、市議会を傍聴してみて、そこは思っていた以上に知らない世界だった。そして、知らない世界であると同時に、自分たちの暮らしに一番近い世界でもあった。
ネットニュースやSNSだけでは伝わらない空気や緊張感、人が実際に議論を重ねて物事を決めていく過程を目の前で見られたのは、新鮮な体験だった。
議会について詳しい人から見ればツッコミどころもあるだろう。これは、あくまで初めて傍聴した一市民が見た景色である。
最後に、議場で頭の中に浮かんだことを、そのままメモとして残しておく。
・え? こんなに議員いるの?
・あの人、めちゃくちゃ存在感あるな
・前置き、結構長いな……
・何気に、副市長をお見かけしたのは初めてだな
・傍聴席から意見したくなるが、もちろん我慢
・やっぱり眠そうな人はいる
・椅子、めっちゃクルクル回す人がいる
・特定の議員の質問だけ聞いて帰る傍聴者もいる
・消防局長もずっと同席しているんだ
・トイレで抜ける時は入口で一礼するんだ
・そもそも、こんなに長時間やってるんだ
・こうやって自分たちの暮らしが決まっていくのか
ということで、もし機会があれば、1度だけでも傍聴してみてほしい。自分たちの暮らしがどう決まっていくのかを、自分ごととして考えるきっかけになるかもしれない。
執筆:夏野ふとん
イメージ画像:ChatGPT