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【辛口】占い業界の末端にいた人間が『地獄に堕ちるわよ』全話を見た正直な感想→「物足りない」

28分前

占い界の女帝・細木数子の半生に迫るNetflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』

先日、前半の第4話まで見た感想を「まるでヴィランの朝ドラみたいだ」と書いた

実は私はかつて占い業界の末端で働いていた。週刊誌の暴露などで有名になった細木数子の裏の顔がどれだけ描かれるのか、ゲス根性で見始めたにもかかわらず、数子に肩入れしてしまうまさかの展開。

では、5話以降の後半の展開はどうなったか……? ゲスな人間は一体何話から見ればいいのかについて正直に書きたいと思う。

・数子が占い師になるのは超後半

前半の第4話までで描かれたのは、戦後の経済成長とともに、貧しさからしたたかにのしあがり、銀座の女王にまで上り詰め、そして男に騙されて地獄へと転落した数子の半生。

ざっくり後半の展開を伝えると


第5話 ヤクザの奴隷地獄からの再生
第6話 細木数子が唯一愛したヤクザとのラブストーリー
第7話 島倉千代子の借金騒動、関係者からの証言①
第8話 占い師デビュー、関係者からの証言②
第9話 最終回、自伝小説を読んだ数子の反応は……?


なんと第6話まではすべて細木数子が自ら語った苦労とサクセスストーリーであり、ダーク細木の話が関係者から暴露されるのは7話からなのである……。

さらに、占い師デビューは8話! つまり我々がよく知る「細木数子」が誕生するのは第8話からということになる。お……遅くね!?

それだけ、占い師になるまでの細木数子の人生が濃かったということであり、夜の世界や裏稼業と渡り歩いてきた経験が占い師として活かされたということでもあるのだが……。

Netflixのドラマはだいたい1話が1時間ちょっとあって、テレビドラマに比べると密度が濃いので、予告で使われたショッキングなシーンが出てくるまで、めちゃくちゃ引っ張られることになる。


・後半で数子の虚像が暴かれるが…

かの有名な島倉千代子の借金騒動が出てくるのは第7話からなので、ダーク細木のストーリーだけを見たい人は7話から見始めても十分かな……というのが、全話見た正直な感想である。

しかし、6話までで、数子の語りによって広げられた大風呂敷が7話以降の証言で綺麗にひるがえされ、ダークな伏線がすべて回収されるか……といったら、意外とそうでもない。


第6話まで続いた数子の語りによる苦労話と成功譚に比べて、裏の顔を描いた部分が圧倒的に足りない……というのが正直な感想である。後半、なんとなく駆け足になってしまっている印象は否めない。

さらに、数子の非道っぷりの描写が物足りなく、そもそも細木数子に裏の顔があること自体は週刊誌の暴露などで世間に知れ渡っているので「なにぃ〜!? だ、騙された〜!」という衝撃も足りないのである。

いつ、裏の顔が出てくるか、裏の顔が出てくるか……と待ち構えていたのに、出てくるのは聞いたことがあるエピソード。島倉千代子の件にしても、先祖供養を名目に墓石を売っていた件にしても、その騙しのスキームや被害者の地獄みたいなものはあまり詳しく描かれないというか。


・イケメンで薄まるヤクザの怖さ

あとはヤクザや裏社会の人間がかっこよく描かれすぎている点もちょっと気になった。細木数子にしても島倉千代子にしても、ヤクザとうっかり関わったことで地獄を見ているわりに、ヤクザが色男ぞろいである。

まず、数子が多額の借金を負う原因になる詐欺師の男を演じるのが中島歩なのだが、背が高い精悍な体つきに、なんといっても信じられないくらい声がよい。昔風のスーツやオールバックが似合う色男で、うっかりこっちも騙されそうになる。


さらに細木数子の最愛の男として出てくるのが生田斗真。横顔の骨格が美しすぎて、ヤクザの親分にしては色男すぎる。細木数子を演じているのも戸田恵梨香なので、ラブシーンなどが綺麗なのだ。


そんな色男たちと戸田恵梨香が恋をするわけなので、決して、ドラマが面白くないわけではない。第9話まで完走したことを考えると、面白い作品だったと思うのだが……。

あまりヤクザを悪く描くと都合の悪いことでもあったのだろうかと勘繰ってしまう。


・短期で占いの女王に上り詰めた理由

物語の後半でようやく占い師デビューする数子だが、それまで銀座や赤坂で水商売をしていた女性が、ほんの短期間で占い界の大御所になった部分にはなるほど……と思わされた。

夜の銀座でつちかった人身掌握術や財政界とのつながり、島倉千代子の興行で理解したエンタメの本質、大物に取り入るスキルなど、細木数子が人生で得たダークスキルの集大成が占い師としての成功に繋がっているのだ。

私は大学卒業後、占い系の編プロで6年ほど働いており、占い業界の末端にいたことがある。

当時は携帯占いサイトの全盛期で、『地獄に堕ちるわよ』の最後の最後に出てくる「月額会費だけで毎月70億を稼いでいた細木数子の占いサイト」は業界で有名だった。

とはいえ、占い業界だと細木数子は異端的な扱いで、日本占術協会の会員などにも入っていなかったと思う。占い業界は横のつながりが強いのだが「うーん、細木先生のことはよく知らないな……」とみんな口を濁していたのも印象的だった。

その理由が第8話〜第9話の流れを見てちょっと理解できた。

劇中でも言われるが「占いは人の人生を変えてしまう」という恐ろしいものだ。

占いは転ばぬ先の杖であり、人を恐怖で脅したり、不幸を予言するようなことは言ってはいけない……というのは暗黙のルールである。

あの「地獄に落ちるわよ」といった断定的な占いが世間からウケたことに関しては、真面目にやっている占い業界にとってはけっこうなダメージだったので、しっかり批判してほしかった。

・人は多面体、だがしかし……

作中の細木数子は、終始、どこか魅力的な人物として描かれ、最後まで憎みきれない。悪人には悪人になる理由がある。そして、悪であっても人を惹きつけるような人間には魅力なり人間味がある……。というのはよくわかる。

しかし、これだけ詐欺が横行する波乱の世の中で、こうした作品を出すなら人が甘い言葉に騙されないように厳しく描くこともできたのではないか……と思ったのも事実。

ドラマは面白かった反面で、結局、2026年になっても私たちは細木数子の手のひらの上で転がされているような気になったのであった。


参考リンク:Netflix『地獄に堕ちるわよ』プレスリリース
執筆:御花畑マリコ
Photo:Netflix

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