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細木数子を描いたNetflix『地獄に堕ちるわよ』を見た正直な感想 → これってヴィラン版の朝ドラ…?

約1時間前

2000年代初頭、テレビ番組で引っ張りだこだった占い界の女帝・細木数子

その細木数子の半生を描いた作品が制作される……ということで公開前から大きな話題となっていたNetflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』が2026年4月27日からついに公開された。

細木数子の功罪については広く知れ渡っており、一種のヴィラン(悪役)ものとして、どんなに悪どい話が展開されるのか……と、ゲス根性で楽しみにしている人も多いと思う。何を隠そう、私もそんなゲスな視聴者の一人である。

ワクワクしながら見始めたのだが……ん? なんか思ってたんとちゃうな? 今回は第4話まで見た感想を正直にお伝えしたい。

・ネトフリ日本お得意のノンフィクション系ドラマ

村西とおるの『全裸監督』、ダンプ松本の『極悪女王』など、実在する人物の半生をテーマにしたドラマはネットフリックスの得意分野で、ヒットを飛ばしてきた。

焦点を当てるのはダークな人物であり、テレビでは放送できないような過激なストーリーはもちろん、潤沢な予算によって、昭和やバブル期の日本を忠実に再現している点なども魅力のひとつ。

独自に編み出した「六星占術」で巨万の富を得て、黒い噂も絶えなかった故・細木数子の半生を描くとなれば、興味を駆り立てられるというもの。

予告映像では、まだ若い戸田恵梨香が細木数子を演じ、代名詞である「アンタ、地獄に落ちるわよ」のセリフを言い放っていることも話題となった。どんなにショッキングな展開が待っているのかと期待させられるような、過激な場面が展開されるが……。


・第1話から見始める

ドラマは細木数子の自伝小説を担当する編集者と作家の魚澄美乃里(伊藤沙莉)が、2005年の人気絶頂期の細木数子の元を訪れるところから始まる。

細木数子はテレビの収録で、結婚したがる女芸人(ヒコロヒー)に対して「あんた自殺するわよ」と挑発的に言い放ち、女芸人が怒って帰ってしまう。

収録帰りの豪華なリムジンの中で、作家が「細木先生の原点ってなんですか?」と尋ねると、細木数子は車窓から東京の街を眺めながら「飢えね……」「60年前、この辺りは一面焼け野原だった……」と回想し始め、いよいよ自伝が始まる。


場面は変わって、終戦翌年の1946の東京・新橋。貧しい細木一家がリヤカーを押しながら焼け野原となった街を歩く……というシーンに。細木数子はまだ小学生である。一家は戦後のどさくさの中で、新橋のガード下で飲み屋を始める。

そこで、細木の母は海外のビールと偽った麦茶を仕入れてしまい、借金取りに金が返せなくなってしまう。

借金取りに「今の時代、騙すより騙されるやつが悪いんだよ!」と吐き捨てられたり、母が「悪い事をしたら地獄に落ちてしまうんだよ」と数子に諭すシーンなども出てきて、なるほど、これが細木数子の原点になっているんだろうな……と思わされる。

主人公の幼少期からスタートして、戦後の焼け野原から復興していく様と主人公の成長を映す……というドラマの展開、完全にNHKの朝ドラと同じである。


・ヴィラン版の朝ドラが続く

こちらとしては細木数子の悪どいシーンを期待して見ているのだが、このヴィラン版の朝ドラみたいなターンがとにかく長くて、なんと第4話まで続く。4話が終わった時点で、まだ数子は占い師にすらなっていない

戦後の復興とともに、細木数子が貧乏の屈辱から雑草根性で立ち上がり、キャバレーのナンバーワンから新橋のクラブのママ、銀座のクラブのママ……と、男から騙されたりしつつものし上がり、そして巨額の借金を負って転落する姿が描かれる。


違うところといえば、朝ドラは悲劇が訪れるたびに主人公が清く正しく成長していくのに対して、『地獄に堕ちるわよ』では細木数子が屈辱を糧にしてダーティーな手を使ってでも成り上がっていく……という点である。

あと、朝ドラでは出てくる男たちが主人公を支えてくれるのに対して、『地獄に堕ちるわよ』ではことごとく数子を騙して金とか純潔とかキャリアを奪っていく。


・「信頼できない語り手」としての細木数子

まあ、4話までの細木数子の成り上がりストーリーは面白いっちゃおもしろいのだが、ややありきたりな苦労話でもある。銀座のクラブのママに聞いたら、この程度の話は転がっていそうな気がするほど……。

騙される数子を見ているうちにだんだん「数子、かわいそう! がんばれ!」みたいな気持ちにさせられるから不思議である。

ここまででは思ったほど、数子の悪い部分は描かれず、むしろ「思ったより数子いいやつじゃん」と思わされる部分が多い。これこそ細木数子の人たらしな部分かもしれない。

しかし私が見たいのは細木数子が人の心と金を操っていく裏の顔の部分である。

4話までの数子のサクセスストーリーと不幸話はあくまでも、数子が自ら語った話である。人を騙すことに長けており「騙される方が悪い」と言ってのける数子は本当に「信頼できる語り手」なのか? という疑問が残る。もしかしたらここまでは大いなる伏線なのかもしれない……。

・第5話からいよいよダーク数子に

第4話で絶頂からの転落が描かれ、第5話からついに私たちが期待するダークな細木数子物語が始まるようだ。

折り返し地点の5話あたりからようやく、有名な歌手・島倉千代子との金銭トラブルの話などが出てくるらしい。

ちなみに、予告の文章などを見ると、数子が占い師になるのはなんと6話

正直言って、伏線にしたってここまで長すぎる! と思ったのは事実。いつまでも数子が占い師にならず、期待するようなシーンが出てくるまでに長いので、途中で離脱してしまった人も多いのではなかろうか。

しかし、途中で見るのをやめてしまったら「細木数子って苦労人でけっこう可哀想」って感想で終わってしまうのである。

ここまで物語を引っ張れるのも「細木数子は黒い噂がある」というのが広く知れ渡っているから……かもしれないが。

どんでん返しを期待しながら、第5話から最終回まで一気に見たいと思う。

参考リンク:Netflix『地獄に堕ちるわよ』プレスリリース
執筆:御花畑マリコ
Photo:Netflix

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