
早いもので今年も新年度、エイプリルフールもとうに過ぎた。最近では企業公式アカウントがSNSで面白いやら寒々しいやらの嘘ネタを投稿するイベントになりつつある、あの謎行事。
さて今となっては昔のことだが、2023年の4月1日、「プッチンプリン」の公式アカウントがXに投稿した とあるエイプリルフールネタをご存知だろうか。
その名も「ンチップンリプ」、「カラメルとプリンの比率が逆になった」商品とのこと。投稿された商品画像を見る限りでは、本来プリンであるはずの部分が丸ごと黒いカラメルゼリーに置き換わり、そのトップに薄く申し訳程度のプリン生地が載った、まさに「逆プリン」と呼ぶにふさわしい代物だった。
なんで急にそんな昔の話を始めたかというと、筆者にこう依頼してきた人物がいるからだ――
「砂付近さんてお菓子作れたよね?」
「これ作れる?」
それというのがこの男。ロケットニュースの中澤先輩である。
なんでも去年の秋頃、台湾のセブンイレブンで嘘から出たマコト的に件のプリンが実際に販売されたらしく、それを報じるネットニュースを見て、筆者にお呼びがかかったらしい。んな無茶な。
まあ、とはいえ「逆プリン」を作るというアイデア自体はやぶさかではない。
だって美味しそうじゃないですか。プリンのカラメル部分なんてワールズベストオブもっとほしいアワードである。数ある嘘ネタの一つで終わらせておくわけにはいかない。というか日本で売ってくれないのはどういう了見なんだよ。もう作るしかなくなっちゃったよ。
・無理では
てなわけで軽率に自作を決めた筆者。ざっくり「カラメルゼリーを作った上にプリン液を薄〜く流して固めればええんちゃう」程度の心づもりでいたが、事はそう単純ではなかった。
ゼリーが基本的に「冷やし固める」ものであるのに対し、プリンという菓子は通常蒸して固めるものだ。蒸すということは当然熱が加わる。熱が加われば、当然ゼリーは溶ける。
めんどくせぇ……!
紆余曲折あって、
こうなった。
・比率が逆のプリン……?
詳しい工程はわりとめんどっちいので省くが、先にプリン生地を作って薄〜く流し固めてからその上にカラメルゼリーを流し、一緒に冷やし固めることでなんとかそれらしい(それらしいか?)形になった。
上下は逆のままだが、プッチンしない高級なプリンとかはカラメルが下なこともあるもんな。あとデカさとか形状の違いとかはもう、なんか、許してください。
うーーーーん……。
比率で言うとお世辞にも「逆」とまでは言えないが、ともかく概念的には近いものが出来たはずだ。
・職場に持っていく
せっかくなので職場に持って行ってみんなにも食べてもらおう。皆さん、プリンです!
「ワーーイ!!!」
「いただきまーーす!!!」
「……」
「…………」
……え……?
「ふーん……」
「……面白いね」「香ばしい」
いや普通か。頼むからもっとリアクションを取ってくれ。報われないから。筆者が。
「プリンがすげえ少ないね」
そうだよ。そういう仕様だよ。
「プリンに到達するまでの時間が長くて不安になる――が、プリンは来る」
セリヌンティウスみたいに。
どうすんだよ。これどうクロージングすれば良いんだよ。思ったより微妙なリアクションでちょっと泣きそうだよ。
あッ
こんなときこそ発案者の中澤先輩! なんかイイ感じのこと言って締めてください!!
「これさあ……カラメルはあの量だから美味いのかもしんない。これ食ったらプリンの方が美味しくなってきた」
……いや人に作らせといて何さらしとんじゃワレェ!!!!!!!
・ガチでそう
いや、そうなのだ。筆者は自作したからありありと分かるが、カラメルって要は焦がした砂糖水である。焦がした砂糖水を冷やし固めているのだから、苦甘い。一口二口なら大人の味と洒落込めるが、その苦甘さが固形で口内いっぱいに居座るのだ。最後に舌に当たるプリンのまろやかな味が救いに思えるのも道理である。いや、プリンもドカ甘いんだけどさ。
てなわけで、「ものには適量がある」ことを実感できた、非常に実りの多いエイプリルフールとなった。ご協力ありがとうございました。もうやりません!!!
参考リンク:プッチンプリン公式X
執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.
▼ちなみに制作過程はこんな感じ。卵と牛乳、砂糖を混ぜて……
▼濾しながら容器にうす~く流しいれて、
▼レンジでチン。本当は蒸した方がいいんスけどね。楽できるところは片っ端から楽しようと思って。
▼そのあいだにゼリーのもとを作る。アガー(海藻由来のゼラチン的なヤツ)を水に入れ、弱火でよく溶かす。
▼カラメルを作る。砂糖と水を混ぜて、これもレンジでチン。
▼茶色くなってきたと思ったら即取り出して、
▼さっきのゼリー液と混ぜる。すると熱いカラメルがバッチバチ跳ねる。マジで怖い。
▼粗熱を取り、さっきの薄焼きプリンの上に流す。
▼冷やす。
▼出来上がり。