
家電がどんどん賢くなっている。材料を入れるだけで自動で時間計算して調理してくれるオートクッカー(自動調理鍋)も、すでに十分実用レベルになっていると聞く。ウィーズリーおばさんが杖ひとふりで調理をするハリー・ポッターの世界が、近いうち現実のものとなるかもしれない。
とはいえ最新のオートクッカーは市場価格7万円ほどするので、簡単に導入できるものではない。筆者も「なんかすごいらしいけど、うちには縁がないな」と思っていた。
ところが、レンタルをすれば高級家電も簡単に「お試し」ができるというじゃないか。パナソニックのサブスクサービス「foodable(フーダブル)」から、圧力調理もできる最新クッカー「ビストロ NF-AC1000-K」コースを月額2980円で利用してみた。
・パナソニックのサブスクサービス「foodable」
パナソニックの「foodable」は、同社の最新キッチン家電を月額料金でレンタルできるサブスクサービス。新品が届くので、知らない人が使ったリユース調理家電に抵抗がある人も安心だ。付加サービスとして食材のプレゼントがつく。
ただし長期の利用が前提となっており、今回の「ビストロ NF-AC1000-K」は最低利用期間36か月のしばりがある。終了後には買取か返却かレンタル継続を選ぶ。中途解約の場合は手数料7960円(税込)がかかるため、最初からそれも必要経費として考えておく必要がある。
気に入ったら「レンタル代がもったいないから、さっさと買おう」となる人もいるだろうし、カーリースのように「新機種が出たら乗り換えよう」という人もいるだろう。家電は処分も大変だから、「所有しない暮らし」は身軽で賢いかもしれない。
本体はおよそ30cm四方、約8kgの重さがあり「かなり大きい」という印象だ。ファミリーサイズの炊飯器を、さらに二回りくらい大きくしたサイズ感。事前に設置場所やコンセント位置を考えておくのが必須だ。同梱物はシンプルで、内鍋と羽根、蒸し料理用の板で構成されていた。
この羽根がポイントで、鍋底でくるくる回ってくれるおかげで、炒め物など「かきまぜ」が必要なメニューも自動化している。人間のように疲れたり、よそ見をしたりしないから、かえっていいかもしれない。
加熱開始などの基本操作はタッチで行う。スマートフォンのアプリが主役だが、スタートボタンは物理的にタッチする必要があるので完全な遠隔操作ではない。機能をフルに使うためにはインターネット接続が求められ、2.4GHz限定であるなどちょっとセットアップに苦労したが、一度設定すれば後はスムーズだ。
・さっそく使ってみたい
記念すべき1品目はジャーマンポテトにしてみた。「とにかくイモ系がほくほくして神」というクチコミを見たからだ。
ちなみに筆者は、大人として自分や家族に食事を摂らせる歴だけは長いが、料理はかなり苦手だ。興味も探究心もなかったし、未だに納豆と目玉焼きと豚汁を無限ローテしているほど。若い頃はだいぶ外食に頼ったけれど、そろそろ胃腸もガタが来ており、いいかげんレパートリーを増やしたい。
レシピは専用アプリまたは専用サイトで確認できる。所定の材料を投入し……と思ったらベーコンがなかったのでウィンナーにする。ボリューム感を出すため、勝手にタマネギも足してみた。レシピとは違うが、まぁいいだろう。
準備ができたら、手元のスマートフォンから本体に向けてデータを送信する。
すると本体に料理名が表示され、自動的に火力を調節しながら加熱・加圧される。この「ご希望の料理を作っています感」が近未来的! ドラえもんのひみつ道具「畑のレストラン」みたい?
しばらくすると美味しそうな匂いがただよってきた。完成を告げる電子音で、ロックを解除すると蒸気があふれ……
できているー!!
ジャーマンポテト自体は難しい料理ではないと思うが、ジャガイモがこんがりいい色に! 表面は揚げ焼きのように油がジュージューいっており、なかはホックホク。火が通ったか不安で何度も爪楊枝を突きさし、ついにはイモが崩壊する心配もない。
続いて作ってみたのは家庭料理の王様「肉じゃが」! 簡単そうに見えて「味がしっかり染み込まない」「ちょうどよい濃さにできない」料理の筆頭ではないだろうか。
レシピとはちょっと違うが、勝手に冷凍肉を使い、糸こんも入れてみた。基本を守るべき初心者ほど、レシピを無視して自己流にアレンジしたがるこの現象に名前はあるのだろうか。だって、そのとき家にある食材なんて人によって違うだろうし……
しかし出来上がりは十分に満足のいくもの! 中まで味が染みていて、どの野菜もホロホロ。普段より断然美味しい!!
減塩醤油を使っているせいか、ちょっと塩気が薄かったのはご愛嬌。しかしこのスマホアプリ、メモ機能がついており、未来の自分に向けて「醤油多め」などの自分用メモを残せる。また、みんなのメモが公開されているので「うちはこんな風にアレンジしたよ」などの人類の英知が集約されている。助かるー!!
・上手くいった料理、そうでなかった料理
全体的に「煮込み系」や「味しみ系」は驚くほど美味しくできる。野菜から甘みが出るので、中辛のルウを使ってもカレーが甘いほどだったし、回鍋肉などは特有のえぐみが消え、とてもマイルドになる。
スイッチを押したら、あとは何十分でも放置でいいので作業もラクだ。火加減を気にする必要いっさいなし。煮込みの場合は完成後に保温も可能なので、味が染み込むよう早めにセットするのがよさそう。
一方、高火力を要するチャーハンのようなメニューは、期待していたほどではなかった。一応パラパラにはなったのだけれど、米が細かく割れてくっつき、食感も軟らかい。クチコミでも「べちゃっとした」という声が散見された。同じく評価が分かれるものに「唐揚げ」がある。揚げ焼き程度はできるけれど、フライヤーの代わりにはならなそうだ。
・時短ではないけれど
感覚的なものだが、ビストロはいわゆる「時短家電」ではない。圧力のおかげで火が通りやすいなどの特徴はあるかもしれないが、たとえば野菜炒めの加熱時間は10分、ジャーマンポテトの加熱時間は25分と、「電子レンジ&フライパンでも同じだよね」というメニューがたくさんある。
また、食洗機非対応のため重くて大きな内鍋を手洗いしなければならないという手間もある。トータルでの作業時間はたいして変わらないように思う。
しかし、筆者のような料理下手にとって、大きさ・硬さ・質感の違う食材たちのジャストタイミングを見極め、確実に火を通すという一番難しい部分を機械任せにできるのは大きい。これまで、こっちの食材に合わせたら、こっちの食材は火が通り過ぎ……なんて失敗をよくしていたけれど、それがなくなった。
鍋につきっきりにならなくていいし、煮込み料理は本当に美味しくできるし、今のところ月額料金の価値は十分にあると感じている。「買い」に移行するかどうかはまた別の話だけれど。
食材を入れる順番など、感覚や経験則ではなくマニュアル通りにやるのがコツで、料理というよりも理科の実験をしている気分になるが、機械の操作に慣れている世代ならまったく問題ないと思う。逆に直感的にぱっぱと手を動かしたい人には向かない。
インターネット上のレシピは今後もアップデートされていく。上級者なら手動で「加熱○分」などの設定も可能。筆者はそこまでのレベルではないのでアプリから選んで送信している。
これまでやったこともないようなメニューに挑戦するのが楽しく、今のところ毎日使っている。失敗もあるけれど、自分好みの調味料の分量などが固まったら手放せなくなりそうだ。テクノロジーってすごい!!
参考リンク:foodable公式サイト
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.