
「モルック」といえば、近年のサウナブームとセットで「フィンランド文化」として一気に認知度が上がった印象がある。ととのい、白樺、モルック……どちらかといえば、流行に敏感なサウナーたちがアウトドアで楽しんでいるイメージだ。
ところが先日、町内会の会報を読んでいて考えが一変。レポートに添えられていた写真を見て、思わず「ここでモルック?」と声が出てしまった。
・町内会の会報
町内会の会報が届くたびに、けっこう読み込んでしまう。回覧板のお知らせや行事予定だけかと思いきや、写真付きのレポートが載っていてこれが地味に面白いのだ。
先日届いた会報では、町内会長さんたちが地域防災力の向上を目指して防災体験学習施設を訪れ、風速30メートルの風水害体験をしてきたという報告があったのだが……
添付された写真を確認すると、スーツ姿のご高齢の男性たちが、手すりにつかまりながら必死に前傾姿勢を保っている。大丈夫かよ……と心配になるレベル。これぞ本気の防災。命がけのレポートと言っても過言ではない。地域防災力の向上にもつながるだろう。
さらに別ページでは、隣町で開催された綱引き大会の様子が紹介されていた。これがまた衝撃的で……想像の3倍は人数が多く、砂煙を上げながら大人たちが全力で綱を引き合っていた。ワールドカップ級の白熱度。
そもそもこんなに人がいたのかよ……本当に現場で見たかったし、なんなら参加したかった。近所でこんな熱い大会が繰り広げられていたとは。住んでいても知らないことばかりで、毎回発見の連続である。
・モルック
──そして、別の町会の活動報告に登場したのが「モルック」だった。
木製の棒を投げ、12本のピン(スキットル)を倒して得点を競うフィンランド発祥のスポーツ。写真を見ると、やはり参加者はご高齢の方が中心で和やかな雰囲気。
とはいえ表情は真剣そのもの。狙いを定め、静かに棒を投じる姿はもはやベテランの風格すら漂わせていた。
町内会のスポーツ大会といえばゲートボールが主流だと思っていたが、いま地域で広まりつつあるのはモルックだった。私が知らないうちに田舎が北欧化している……!
町会長さんのコメントによれば、モルックは「高価な道具が不要でルールも簡単。老若男女が一緒に楽しめる」のが魅力だという。たしかにその通りだ。得点計算もシンプルで体力差もそこまで影響しない。
サウナの横で遊ぶものだと思っていたモルックが、気づけば地域コミュニティの中心にいた。子供が遊ばなくなったゲームに両親がハマる、みたいな流れなのだろうか。モルックブームは町内会で静かに続いている。私も始めてみようかな。それではまた!
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.