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【考察】コロッケそばのベースはカレーそばが合理的だと思う理由 / 立ち食いそば放浪記:第377回「コロッケそば補完計画」

約1時間前

コロッケをそばにトッピング。衣に染みこむつゆとじゃがいもの微妙な野暮ったさが愛おしいコロッケそば。立ち食いそばファンにとってはもはやお馴染みのメニューかと思うが、決して王道にならないそばでもある。食べない人はずっと食べない。また、食べない人の価値観を変えられるほどのハーモニーでもない。

好きも嫌いもどっちも分かる。私(中澤)は長年コロッケそばのそういうところに未完成感を感じていた。だが、近年、そんなコロッケそばについて、私の中である仮説が急激に浮上している。それは「コロッケそばってベースをカレーそばにした姿が完成なのではないか?」という説だ。

・邪道と邪道

ポテトコロッケ版のコロッケそばの発祥は定かではないが、少なくとも駅そばチェーン「箱根そば」が昭和40年代に販売し始めたことは知られている。意外と歴史が長いのだが、今もたまにアリかナシかの議論を見かけるので、これは現在進行形の邪道そばと言えるのではないだろうか。

一方で、カレーそばは一説には、明治41年に『朝松庵』の2代目店主が発明した「カレー南蛮」が発祥とされる。この話については朝松庵4代目店主の角田米子さんに聞いたのだが、デビュー当時はそば業界に受け入れられなかったそうだ。まさしく明治期の邪道そばである。

言わば、コロッケそばのベースをカレーそばにするというのは邪道と邪道のタッグ。ではなぜそれが完成系だと思うかと言うと、そばつゆがカレーつゆになることにより、じゃがいもが活きるのである。



・誰もハミらない世界へ

実は私の母親がまさにコロッケそば嫌い勢だったのだが、煎じ詰めるとその原因は「そばの味からじゃがいもがハミってる」ということだった。母親はコロッケにはウスターソース一択だったため、コロッケに洋食として対峙する人はコロッケそばについて「ちょっとちゃうなあ」と思うのかもしれない。

だが、カレーそばには当たり前だがカレーが入っている。カレーだと、じゃがいもはメインの具。ゆえに、じゃがいもとそばの間に橋がかかるのだ。

さらには、カレーがそばつゆでサラッとしているため衣にも馴染みやすく、そばつゆのアイデンティティーを否定することもない。じゃがいもとそばの橋渡しにカレーが必要なように、カレーとコロッケもまたそばつゆに橋渡しされるのである。


個の概念を消滅させ、コロッケそばの魂を一つに統合し、カレーのスープへと還すことで、苦しみのない完全なそばを目指す。これぞコロッケそば補完計画。


──という説を友人に力説したところ「意味が分からない」と言われたのだった。ヒトの可能性は無限。コロッケそばの選択は合理性だけではないということか。その野暮ったさこそを愛するのもまたコロッケそばの道なのかもしれない。ゼーレのシナリオ通りだな。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼記事中のコロカレーそばは千歳烏山『ファミリー』のもの

▼メニューにはないけど、カレーそばコロッケトッピングは税込650円

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