
ツルッと食べてサクッと出て行く。その性質上、立ち食いそば屋のメニューはシンプルになりがちだ。特に、駅周辺の立ち食いそばになるとツルサク傾向が強くなるためか、トッピングは簡素なパターンが多い。
だが、足立区の京成関屋駅前にある立ち食いそば屋『雑賀屋』には、なんと松阪牛を使ったそばがある。その名も「松阪牛ホルモンかつカレーそば(※券売機の表記通り)」。盛りすぎィィィイイイ!
・駅と駅に挟まれた立地
名前を聞いただけでは、結局何が入っているのかピンと来ないこのそば。とりあえず『雑賀屋』に行ってみよう。
京成関屋駅は言うまでもなく京成電鉄の駅なんだけど、実は京成関屋駅の目の前には東武鉄道伊勢崎線の牛田駅がある。歩いて30秒くらい。広い駅なら1つにまとまりそうなほど向かい合っていて、その間に『雑賀屋』があるので、店へのアクセスはどっちの駅を利用してもそんなに変わらない。
・下町の駅前立ち食いそば
いずれにせよ、立地的にはまさしく駅に入る前、もしくは帰りに寄るようなスポット。下町の雰囲気が漂いまくっている外観に、2025年12月現在は和歌山ラーメンののぼりと暖簾が存在感を放っている。立ち食いそば屋ということを忘れそうだ。
入店して券売機を見ると、メニューも立ち食いそば屋であることを忘れそうなほどに色々ある。っていうか、立ち食いそば屋でしたよね?
ラーメンはもちろん、天丼、ソースカツ丼、鮪丼など、メニューがバラエティーに富んでいるだけでなく、比内地鶏玉子カツ丼(700円)とかそばよりもこだわっているような雰囲気すら出ている。なんか定食まで登場してるし、もはや立ち食いそば屋の治外法権だ。
・乱世
そんなカオスの中にあるカレーライスが松阪牛ホルモンカレーだった。つまり、松阪牛ホルモンかつカレーそばはこの松阪牛ホルモンカレーを使ったカレーそばに豚かつがプラスされた一品というわけ。ちなみに、税込850円でした。
注文してみると、やって来たのは全部乗せみたいなカレーそば。豚かつをひと切れ持ち上げてみると、これがまた分厚い。ぼってりとした松阪牛ホルモンすら脇役にする存在感。強い。
カレーそばは発明当時、そばの風味が消えることもあって老舗そば屋に受け入れられなかったという歴史があるが、それどころの話じゃない。なにせ松阪牛ホルモンカレーに豚かつまでアサインしているのである。乱世だ。戦国時代で例えると、島左近くらいのポジションにそばが追いやられている。
だが、なぜだろう? その姿勢に潔さすら感じるのは。食べていると、めくるめく肉々しさにこう思わされた。「何かを得るためには何かを捨てる必要があるのかもしれない」と。
・社長に聞いた話
ガッツリ食べたなあ。850円でそう感じさせてくれるこの一杯はやはり普通の立ち食いそば屋のそばとは違う。何かを振り切っていると言えるだろう。限界突破している。突破してはいけない壁だった可能性もあるけど。
ゆえに、好き嫌いは分かれると思われるが、なぜ立ち食いそば屋で松阪牛ホルモンなのか? しかも、豚かつをトッピングしない「松阪牛ホルモンカレーそば」は600円で「松阪牛ホルモンカレーライス」は650円だから価格も別に高くない。
社長の大橋さんに聞いた話によると、この一帯で色んな飲食店を展開していて、焼き鳥屋・もつ焼き屋もその中にあるのだそうな。近所でそこの素材を回したりも簡単なため、立ち食いそば屋だけではあまり仕入れられない素材もメニューとして使えるという。
なんとなく立ち食いそば屋という枠に収まらない雰囲気はそういう裏側からにじみ出ているのかもしれない。パッと見カオスだけど、ある意味「うちの戦い方はこれ」という独自さも感じる雑賀屋。これからも邪道上等で突き進んでほしいものだ。
・今回紹介した店舗の情報
店名 そばうどん 立ち喰い雑賀屋 本店
住所 東京都足立区千住曙町2-3
営業時間 7:00~23:00
定休日 年中無休(正月1日2日は休み)
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼つゆはカレー割合高めだった
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▼鮪丼まである