
恋愛リアリティーショーは世の中に山ほどある。
正直、毎シーズン追いかけるほど、詳しいわけではない。ただ、私は学生時代「あいのり」にどハマりした世代として、1話だけ見てみようかな……と軽い気持ちで再生してしまう癖がある。
そして今回、Netflixで話題の「ラヴ上等」にそのパターンでハマってしまった。
ちなみに、この記事ではネタバレはないのでご安心を。
・違う意味でドキドキする
「ラヴ上等」は、いわゆる王道のキラキラ恋愛リアリティショーとは毛色が違う。
公式の説明によると
「社会のはみ出し者として生きてきた11人の男女が、14日にわたり学校で共同生活を送り、衝突しながら本気(マジ)の愛を追求していく。日本初、ヤンキーたちの純愛リアリティショー」
とのこと。
参加者たちは、ヤンキーとして、それぞれかなり濃い人生を通ってきた人たちで、言葉遣いも感情表現も遠慮がない。恋リアを見ているはずなのに、トキメキよりも先に、「うわ、これは大丈夫なのか」「この空気、しんどい……」と違う意味でドキドキする。
会話に出てくるワードも、少年院や暴走族など、教科書的な恋愛ワードとは、ほど遠い。
私自身、ヤンキーや元ヤンとほぼ関わることのない人生を歩んできたので「悪さは一通りしてきた」という意味が分からず、思わずChatGPTに「具体的にどんなこと?」と質問してしまった。
全体的に衝撃を受け続けながら見ていたのだが、特に印象的だったのは、ホストの「てんてん」がメンバーに加わった時の空気感と、ショーダンサーの「あも」と塗装業の「Baby」の初対面シーンだ。
詳細はぜひ実際に見て感じてほしいが、どちらも視聴しているこちらの寿命が縮みそうな緊張感がある。「あいのり」でおなじみだった、新メンバーに駆け寄っていくような歓迎ムードとは、まったく別物である。
・スタジオ陣のコメントが、ちょうどいい距離感
スタジオには、この番組の企画・プロデュースもしているMEGUMIさん、ラッパーのAK-69さん、芸人の永野さんが並ぶ。このバランスが絶妙だ。
特に永野さんは、3人の中で一番、ヤンキー文化から距離があり、視聴者側の感覚に一番近い存在。正直、これまで永野さんの芸人活動にはそこまで注目していなかったが、コメントを聞いていると妙にホッとする。
一方、AK-69さんを見ていると、なぜか親戚と話しているような不思議な感覚になる。もしや、私にもラッパーの血が……と思って、調べてみたら愛知出身ということが判明。私は岐阜出身なので微妙なイントネーションの近さが、途中からムズムズと気になって仕方がなかった。
・牛郎や北鼻
ちなみに私は、勉強も兼ねて中国語(簡体字)をつけて視聴しているのだが、これがまた興味深い。
まず、タイトルの中国語訳は「不良一族尋愛記」。漢字ばかりで見ると少し物々しいが、なんだか良い。
ほかにも、ヤンキーは「小混混」、ホストは「牛郎」。出演者のベイビーの名前は、当て字で「北鼻」と表記されているのもなんだか面白い。
日本語の独特な言い回しや文化的なニュアンスを、字幕チームがどう処理しているのか。そこに注目して見るのも、個人的な楽しみのひとつになっている。
・いよいよ最終話直前。今からでも遅くない
そんな「ラヴ上等」も、いよいよ12月23日に、第8〜10話が配信され、完結を迎える。
恋リアとして見るもよし、人間ドラマとして見るもよし、文化や言葉の違いを楽しむのもよし。正直なところ、ここまで感情を持っていかれるとは思っていなかった。
軽い気持ちで1話だけ再生した結果、気づけば生活リズムが狂っていたくらいである。全10話なので、今から一気見でも追いつける。
ただ、思っている以上に感情を引きずり回される覚悟だけはしてほしい。ラヴ上等!
参考リンク:Netflix『ラヴ上等』
執筆:夏野ふとん
Photo:(C)Netflix