
先日、2025年の新語・流行語大賞の年間大賞が発表され、高市首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が選ばれた。
どちらかと言うと、特に働く大人たち寄りのフレーズかと思う。一方で、小学館の「JS(女子小学生)研究所・コロコロコミック研究所 共同調査」からも、2025年小学生年間トレンド調査の結果が発表されている。
そこには「イタリアンブレインロット」や「ちろぴの」など、大人世代からすると、あまり馴染みのないワードがずらり。一応、女子小学生の娘を持つ母ではあるが、ランキングを見た瞬間に思ったのは「……すみません、もう一度ゆっくり説明してもらっていいですか?」だった。
というわけで、いくつか気になるトピックをピックアップして、娘にも聞きながら、令和の小学生カルチャーを追いかけてみた。
・イタリアンブレインロットとは何なのよ
低学年女子の下半期流行語1位に選ばれたのは「イタリアンブレインロット」。
私がこの言葉を最初に耳にしたのは、やはり小学生の娘からだった。「イタリアンブレインロットって調べてみて」そう言われたものの、最初の私は、ずっと何かのパンの名前だと思っていた。
給食でよほどおいしいイタリアン系のパンが出て、家でも作ってほしいという話なのだと、本気で勘違いしていたのである。
実際に検索してみると画面に並んだのは、パンどころか、動物や物体が合体したような謎のキャラクターたち。
そもそも「ブレインロット(Brain rot)」とは、直訳すると「脳が腐る」という意味を持つスラング。ネットの世界では、意味はないのに頭から離れない、奇妙で中毒性のあるコンテンツを指して使われている。ちなみに2024年オックスフォードの流行語に選ばれているらしい。
中でもイタリアンブレインロットは、動物や物体などを無理やり組み合わせたAI生成キャラクターに、イタリア語っぽいナンセンスな名前をつけたミームで、2025年初頭にTikTokを中心に一気に広まったようだ。
文脈もストーリーも特にない。ただ、強烈なビジュアルと語感だけが残る。そのわからなさこそが楽しまれているらしい。
しばらくすると、今度は、イタリアンブレインロットの歌がクラスで流行し始めたらしい。 娘いわく、「なんかね、面白い浮気の歌があるらしい」と。
なんじゃそりゃと思い、調べてみると、YouTubeには「トゥントゥントゥンサフールに恋している」という動画がずらりと並んでいた。
気になる方は、実際に検索してみてほしいが、夫がいるのに、他の複数キャラクターにも恋しているよということをひたすら歌っている、とにかく意味不明な歌である。ただ、なんかメロディーがとてもとても素敵で耳に残る。
気づけば派生動画を何本も再生し、頭の中では「トゥントゥントゥン」がぐるぐる回っている。なるほど、これは確かに「ブレインロット」という名前にも納得である。
・身体能力低下が否めない
つづいて、注目したいのがナルトダンス。
これは、大人でも結構、TikTokなどで見たことある方も多いのではないだろうか?
調べてみると、実はアニメや漫画で有名なNARUTO(ナルト)にあまり関係がない。中国の方がナルトのコスプレをして特徴的なダンスを踊った投稿をSNSにあげたのがきっかけで拡散。
娘によると、男子を中心によく休み時間に踊っているらしい。平和だ。
娘にレクチャーを依頼して練習してみたところ、「まず手をこうしてクルクルで……ちがう~ もっと高速!!」「腰も! なんかちがう~」と、めちゃくちゃスパルタで指導された。
いや、私それなりに運動神経はよかった方だし、ダンスも好きだよ……。でも、アラフォーの今、記憶力と身体能力が明らかに低下していることを痛感。
・まったくわからん
そのほか、「ラブブ」や「マインクラフト」、「○○界隈」といった言葉は、まあわかる。
一方で、よく見るYouTubeチャンネルとして男女ともにランクインしている「ちろぴの」は、正直なところまったくわからなかった。
実際に動画を見つつ、調べてみると「ちろぴの」とは、マインクラフトなどのゲーム実況で人気を集めている男女2人組のYouTuberらしい。掛け合いのテンポがよく、見ていて安心感のあるやり取りが特徴で、小学生を中心に幅広く支持されているという。
ちなみに同じくランクインしている「HIKAKIN」については、もちろん知っている。このあたりのわかる・わからないの差もまた、世代の境目をはっきり感じさせるポイントだ。
・1位はSnow Man、2位はミセス
推しランキングでは、女子1位が9人組アイドルグループSnow Man、2位はMrs. GREEN APPLE。
大人からしても、納得の2組ではある。そして例にも漏れず、我が家の娘も最近Snow Manファンになった様子。一方の私は完全なる嵐世代。
なぜか対抗するように、家では最近、嵐の曲ばかり流していた。すると案の定、娘たちも嵐の曲を気に入ってくれた。……のだが、同じくらいSnow Manの曲も家で流れているため、気づけば私まで「カリスマックス」と口ずさんでしまっている。
ママ友の中にも、きっかけは小学生の娘だったが、今は自分の方がはまっているという人もいたりと、Snow Manの勢いは確かに実感。
・まとめ
全体を通して見てきて感じたのは、令和の小学生カルチャーは、意味よりもノリで成立しているものが多いということだ。
もっとも、振り返ってみれば、私たちが子どもの頃も同じだったのかもしれない。ちなみに、私が小学生の頃は、ハロプロに夢中だった。ミニモニ。の「ミニモニ。テレフォン リンリンリン」を思えば、当時もやはり意味よりノリの世界だったのだと思う。
いま自分が見ている景色は、きっと当時の大人たちが見ていたものと、そう変わらないのかもしれない。
参考リンク:PR TIMES
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.