
2025年11月14日の中国政府の渡航自粛勧告から1カ月が経過した。日本各地の観光スポット、浅草・京都・奈良あたりでは、中国からの渡航客は減ったものの、外国人観光客が減っているわけではないので、人出は以前と変わらない。
とくに中国人観光客の利用が多い、上野アメ横の中華屋台では利用客が減っている様子なのだとか。
では、これから年末商戦を控える築地場外市場はどうか? もし仮に客足が減ったとしたなら、インバンド向けの飲食メニューの価格にも変化があらわれているはず。実際に見に行ってみると、その影響よりも何よりも、トンデモない価格で販売しているラーメンを見つけてしまって、そっちの方に驚いたよ!
・年末の築地はどうなってる?
築地はかつて「東京の台所」と呼ばれていた。2018年に築地から東京都中央卸売市場が豊洲に移って以降、市場としての機能を失ったものの、現在も場外市場には多くのお店が軒を連ねており、以前と変わらずに日本中の美味しいモノが集まる場所として、国内は元より海外でも広く知られている。
ここも東京の観光名所のひとつである以上、中国の渡航自粛勧告の影響は免れないはず。ってことで、年末の差し迫る12月中旬のある日に来てみました。
東京メトロ日比谷線の「築地駅」で降り、外に出ると築地本願寺は改修工事中。本堂ほか、4基建造物の保存修理を来年12月まで行っているそうだ。
そこから場外市場の方へ向かって歩こうとしたところ、すでに多くの観光客の姿が目に入る。時間は午前11時頃だ。全然普段と変わらんねえ~。
晴海通りを渡って、アーケードの方に進むとますます混雑。
ホルモン丼の老舗「きつねや」の前あたりは、人をかき分けて行かなければ、前に進めないほど。
そこから波除通りから見える景色はやっぱりいつも通り。ガードマンが警笛を鳴らして「車が通りま~す!」と言って、通行人を歩道に移動させる様子まで、平常運転。どうやら、渡航自粛勧告の影響はほとんどないと見て良いだろう。
ちなみにチラホラと中国語らしき言語が聞こえてくる。それが中国人のものなのかどうかはわからないけど、中国からの渡航客もいないわけではない感じである。
・インバウンド価格に変化は?
そういえば、中国からの団体客が大幅に減ったことを受けて、京都のホテルで値下げの波が広がっているらしい。ひょっとすると、築地のインバウンド需要を見込んだ飲食店の価格も多少は下がったりしていないかな?客足自体が減っているわけではないから、それほど影響はないかもだけど、一応チェックみよう。
パッと目に入った海鮮屋のメニューを見ると……、値段は下がってねえか。むしろ、私が今年初めに訪ねたときよりも若干高くなってる気がする。海鮮系の丼ぶりは小盛でも2000円~だ、気軽に食えねえ……。
この「うに虎」という店はミニ丼ですら2000~3500円。
「皇帝」ってヤツは2万2000円ですぞ。インバウン丼、健在!
築地で気軽に美味い魚を食べられることは、もうないのかなあ。昔は早起きして「魚でも食いにいくか」って感じで来る場所だったはずなのに……。
「安くて美味いもんを食いたかったら、市場へ行け」って、若い時に旅の途中で教わったなあ。あれはもう今の時世で通用しない。どこに行ったら安くて美味いもんを食えるって言うんだ、チキショー……。
・600円のラーメンだと!?
……途方に暮れた私(佐藤)の目に留まったのは、何気なく置かれた立て看板だった。
「本日特別価格 ラーメン600円」だと!?
え? 600円? この辺の相場は丼ぶり1杯2000円だと思うんだけど、1000円以下ってマジなの? そもそも築地に限らず、今日日(きょうび)ラーメンを普通に食っても1000円くらいすると思うんだけど、1000円でお釣りが来るって、ウソみたいなんだけどな。
どうやらこのお店で食えるようだ。
このお店「麺屋NOBUNAGA ‐SHOGUN‐」というらしい。京橋と茅場町にもお店があり、夜は完全予約制でコース料理の提供も行っているそうだ。
さて、入店してメニューを見ると、表に出ていた「NOBUNAGAラーメン」は本当に600円だった。ちなみに普段は税込980円で提供しているようである。
980円でも築地の相場からすれば安いなあ。と思いつつも、ページをめくると次ページにはしっかり築地メニューがあった。「和牛と黒トリュフの金箔ラーメン」は税込9500円! 600円のラーメン15杯食える~ッ!
そんなわけで、私は600円のNOBUNAGAラーメンと、それだけでは何だか申し訳ないので、「博多明太高菜飯」(税込450円)をお願いしました。これ2つで1050円はお得でしょ?
スープは魚介のきいた鶏白湯。旨味がしっかりしているのに、後味はあっさりしていて、ひと口飲むとクセになる美味しさ。独自製法で48時間煮込んでいるのだとか。
歯ざわりの良いオリジナルのちぢれ麺とスープの相性はバツグン。鶏チャーシューまで入っていて、600円で頂くのが申し訳ないほどの珠玉の1杯だ。アクセントのレモンの酸味も〇。
今回の600円での提供はゲリラ的に行っているようだが、毎月1日(1月を除く)は「NOBUNAGA DAY」としてこのラーメンを500円で提供しているらしい。気になる人は、公式ページで情報をチェックしてくれ。
すっかりインバウンド向け価格が当たり前になった築地において、このお店は最後の聖地なのかもしれない……。
・今回訪問した店舗の情報
店名 麺屋NOBUNAGA ‐SHOGUN‐
住所 東京都中央区築地6丁目23-2GRAN PASEO銀座築地1階
時間 11:00~14:30、17:00~22:00(ディナーは完全予約制)
定休日 日曜日
参考リンク:麺屋NOBUNAGA、TBS NEWS DIG
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
▼テリー伊藤さんのご実家、「丸武」も相変わらずの大混雑