
先日、Amazonで興味深い商品を見つけた。防音イヤーマフというものだ。初めてその存在を知ったのだが、いわゆる耳当てと呼ばれる防寒のためのイヤーマフとは違って、防音性能に特化した商品らしい。騒音対策はもちろん、作業に集中したい時にもお勧めとのことである。
恥ずかしながら、筆者は集中力に乏しい。これを使えば、記事のクオリティがみるみる天を目指すかのように跳ね上がるかもしれない。あるいは道具に頼ろうが頼るまいが、書き手の力量が変わらなければ記事のクオリティは微動だにしないかもしれない。
後者の可能性からは意地でも目を背けつつ、筆者は防音イヤーマフを購入した。以降より、その初体験の所感を書いていきたい。
改めて紹介すると、このたび購入した商品の正式名称は「3M PELTOR X5A」という。アメリカに本拠を置く化学メーカー3Mが販売しており、同社が取り扱うイヤーマフの中でも、通気性を備えたツインヘッドバンドが特徴的な「Xシリーズ」に属する。
この「Xシリーズ」は「X1A」から始まり、数字が上がるごとに防音性能、重量、価格も上がっていく。そして本商品「X5A」は同シリーズの最上級モデルに位置し、価格も最上級らしくAmazonで6036円となっていた(2025年8月1日現在)。
安価に手に入る耳栓よりもかなり、いや遥かに高い。しかし、むろん長所はある。実際に試す前から判明している点としては、まずイヤーマフには耳栓特有の耳詰まり感が伴わない。加えて、耳栓のように先端を潰して耳に入れるといった装着の手間もかからない。
集中力に乏しいうえに面倒臭がりな筆者にとって、特に後者は実に喜ばしい。「X5A」によって余計に怠惰が加速するかもしれないが、その可能性からは是が非でも目を背けつつ、筆者は「試さなければ実感できない長所」の確認に取り掛かった。すなわち、防音性能である。
「NRR値」と呼ばれる、聴覚保護具が騒音をどの程度防ぐかを示す尺度においては、「X5A」は31dB(デシベル)という数値を誇っている。
環境省が公開している騒音データを元に大まかに計算すると、この性能をもってすれば、例えば「地下鉄の車内の音(約70dB)」が「図書館の館内の音(約40dB)」にまで、「ゲームセンター店内の音(約80dB)」が「美術館の館内の音(約50dB)」にまで低減されると想定できる。
果たして本当にそれほど強力な代物なのか。とはいえ、見たことがないレベルで厚底のイヤーカップからは、すさまじい防音オーラが漂っている。総重量は351グラム。ややヘビーなヘッドホンに似た重みを感じながら、筆者はそのイヤーマフを、期待みなぎる手で装着した。
耳がカップに覆われた瞬間、音が消えた。文字通り全ての音が──クーラーの稼働音も、窓から聞こえる車の走行音も、誇張抜きに、もともと存在していなかったかのように室内から消え失せた。
何と言うか、良い意味で呆然となった。「想像以上の防音性能だった」などと、そんな次元は優に飛び越えて、人生で数度しか経験したことのない「耳鳴りがするほどの無音」に予期せず包囲されたのである。これが最上級のイヤーマフかと、静寂が骨身に沁みた。
「明鏡止水」という、「澄みきって静かな心の状態」を指す故事成語があるが、それに近い境地かもしれない。かつてその言葉を残した中国の荘子も防音イヤーマフをしていたのではないかと、そんな妄想さえ無駄に湧き出てくる。
だんだん地に足のついていない語り口になってきたので、一つくらいは読者の方々と共有しうる物差しを紹介しておかねばなるまい。YouTubeに、当ロケットニュース編集部がアップしている、「ケンタッキーの食べ放題で誰が一番食べられないのか?」という動画がある。
スマホでこの動画を最大音量にして流すと酷くうるさいのだが、「X5A」越しならば中程度相当の音量にまで抑えられて聞こえる。もっと言うなら、中程度の音量で流した場合はほぼ聞こえなくなる。
あくまで体感の話ではある。だが少なくとも、そこらの生活音や環境音は確実にこのイヤーマフの相手ではなかろう。上で書いた地下鉄やゲームセンターの音に関する想定も、今となっては大きく外れてはいないと思える。
しかし、むろん短所もある。イヤーカップのクッション部分は柔らかいし、身に着けていて意外と重さも気にならないのだが、いかんせん性能を確保するための締め付けが強い。外箱に噛ませると軽くひしゃげる程度には強い。
そうして噛ませたまま2、3日放置したらやや緩まりはしたものの、それでも長時間の使用は厳しい。耳の周辺が痛くなってくる。就寝時に使うなどもってのほかだし、そもそも説明書きで禁止されているくらいだ。特に集中したい時にのみ着けるなどの工夫が必要だろう。
また、前述したようになかなか個性的な形状をしているので、仕事先や外出先での使用も個人的には厳しい。手持ちのヘッドホンと比べてみても、およそ1.5倍から2倍くらいの厚みがある。装着しているあいだ、頭部のシルエットがほぼほぼチェブラーシカになる。
付け加えるなら、「X5A」越しに至近距離にいる人と会話はできても、数メートル以上先からの呼びかけを拾えるかは怪しいので、そういう意味でも仕事先で着けるのは避けた方がいいかもしれない。最上級ゆえに生まれる悩ましさである。
と、ここまでイヤーマフ初体験、および「X5A」の使用感について語ってきたが、結論としては筆者は本商品に満足している。いくつか短所はあれど、強力な長所とトレードオフなのである。使いこなすことさえできれば、物理的にも精神的にも大いに助けとなってくれる代物だ。
もし当記事を読んで興味の湧いた方がいたら、ぜひ本商品を入手してみてほしい。万が一性能が物足りなければ、耳栓やイヤホンとの併用も可能である。逆に「それほど性能は必要ないので小型で安い方がいい」という方は、同じシリーズの「X1A」から試してみるとよいだろう。
たとえ筆者の記事のクオリティが上がらなくとも、皆さんの生活のクオリティが上がるなら嬉しい限りだ。その可能性を真っ直ぐ見据えつつ、筆を置くとしよう。
参考リンク:3M 商品ページ、Amazon、環境省「一般環境騒音について」、YouTube
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.
西本大紀








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