私は今、JR東海の提供で三重県の二見に来ている。二見興玉神社で夜間に特別参拝できるという興味深いプランのPRのための取材だ。 実は今回の取材ではガチに二見興玉神社 …
▼2階建てということは、つまり1階部分にも竣工当初からの部屋が残っている。「御殿の間」の真下にある「寿の間」がそうだ。
興味深いのは、解説プレートにもある天井の構造。竿縁の配置が床の間に対し垂直になる床挿しというスタイルなのだ。なお畳は寺みたいな敷き方だが、床の間の前には横向きに配置して床挿しにはなっていない。
床挿しは縁起が悪いとよく聞くが、それが皇族のための明治の建築に採用されている。不思議だったのでいつからなぜ縁起が悪くなったのかをこの機に調べたが、学術的に信ぴょう性のある資料を発見できなかった。
むしろ床挿し天井の建物が、それなりにあると知った。奈良の慈光院や大阪の旧杉山家住宅、岩手の旧内田家住宅に残っている。個人的に、近世以降に明確な根拠なくタブーになった可能性を感じる。
▼「翁の間」正面の廊下には無双窓が仕込まれている。通常の無双窓はただ開閉できるだけだが、この無双窓は通常の開閉に加え、斜めにも開くことができるスペシャル仕様。案内して下さった奥野雅則会長に実演して頂いた。令和でもヌルヌル動く。
▼凄まじい数の外套掛けと、古き良き波打つ窓ガラス。
▼資料館に、恐らく明治44年10月26日のスタンプ入りと思しき参道の写真があった。社殿造営前の参道の様子が写っている。
▼二見浦記念碑。英照皇太后の来訪に歓喜した当時の地域住民らによって、鳥羽街道(京都のあれではない。三重の鳥羽街道)が整備されたことが分かる。賓日館ができて以降の発展もふまえると、皇太后が来なければ、二見周辺や神社は現在のようになっていなかったかもしれない。
▼おおむね本記事が仕上がった段階で、新たなプランが爆誕していた。なんと3月23日限定で、館長による案内を受けられるという。恐らく私が取材で受けたものと同じようなものだと思われる。分量的に記事に書いていない情報もあるので、興味深い体験となるだろう。詳細はこちらから。
▼宿泊した「岩戸館」。宿の方が非常に良くしてくれた。ここの人たちが「岩戸の塩」を作っている。
泊まったら小さいパックの塩を貰えた。にがりが絶妙にきいている。思いのほかマイルドな塩味とジワッとくるにがりフレーバーが美味い。よくある食卓塩と違い、けっこう思い切ってかけていい感じの塩味。
朝食。ボリュームがある。全部美味かった。
特に豆腐。「岩戸の塩」を作る過程で出るにがりで作ってるそう。上の写真の左端に写ってる白いのだ。薬味を入れて食べるスタイル。