モノに溢れる現代社会、少しでも目立つためか変わり種の商品が増えている。
缶詰業界にもその波は訪れていて、だし巻き卵の缶詰や茶わん蒸しの缶詰など もはやなんでもアリって感じ。今さらどんな変わった缶詰を見ても驚かないつもりであった。
──しかし、先日盛岡冷麵の缶詰を発見した時は「えっ?」と思わず声が出た。
だって、麺だよ? 缶詰の特徴のひとつが長~い賞味期限。そんなに長期間スープに漬け込んだままじゃあ、麺がふやけてブヨブヨになっちゃうじゃない。一体どうやってこの課題を解決しているんだろうか??
・ビジネスホテルの自動販売機にて
その缶詰に出会ったのは、愛知県のとあるビジネスホテル。ロビーに置かれていた自動販売機を何気なく見たところ……
お酒やおつまみといった “夜のお供” に混ざって、盛岡冷麵の缶詰が並べられていたのである。
価格は580円。夕ご飯とするには少ないし、ネタで買うには地味に高い。それなら夜食? 夜中に小腹が空いた時に買う人がいるのかしら??
頭に大量の「?」を浮かべながらも、つい気になって購入してしまう自分がいた。
麺類の缶詰なんて初めて買ったよ。一体中身はどうなっているんだ~っ!?
・邪道? と思ったが…
ビジネスホテルでの宿泊中は近所のレストランで夕食をとったため、盛岡冷麺は帰宅後に開封することにした。
秋葉原でよく見かけるおでん缶を思い出すようなパッケージ。
ただしおでん缶のパッケージがプリントなのに対して、盛岡冷麺は紙製のラベルを貼りつけるスタイル。冷麺缶は滅多に見かけないレア商品な気がするし、生産量の問題かもしれないね。
「カシュッ」という小気味よい音とともに開封すると、ゴマがたっぷりと入った茶色いスープが姿を現した。
ひと口飲んでみると、牛出汁ベースでトロみがある。甘みが強くキムチっぽい味のピリ辛がアクセントとなり、酸味はほとんどない。
イメージとしては、焼肉のタレからニンニクを抜いて優しいアッサリ味にアレンジしたスープって感じだろうか。
具材は 缶の直径よりもかなり大きな焼き豚と、
うずら卵。
どちらも長期間スープに漬け込まれていただけあって、芯まで味がしみ込んで柔らかい。うんうん、文句なしに美味しいぞ!
そして、何よりも気になっていた麺がコチラ。
半透明の麺は、まったくブヨブヨふやけた感じがない。それどころか口に入れて噛んだ瞬間に「プリッ」と心地よい弾力があるではないか。
……こっ、これは! こんにゃく!?!?
自販機での購入時は隠れていて気付かなかったが、よく見るとパッケージにもちゃんと書いてあった。しかも増量中らしい。
余談だが 個人的な意見を言うと、小麦麺とコンニャク麺はまったくの別物。
ダイエット商品などで「コンニャク麺に置き換えてカロリーオフ」なんて言われると「いやいや、カロリーあっても小麦だろ!」と思ってしまうのだが……この盛岡冷麺のコンニャク麺にはまったく違和感を覚えなかった。
おそらく長期間の漬け込みによりコンニャク臭さが打ち消され、旨みの塊になっていたから。プリプリとした食感もスープとマッチしていて、コンニャク麺アンチとしても認めざるを得ない美味しさなのだ。
おまけに増量中というだけあって、缶の上から底まで麵たっぷり。
全部食べ切っても161キロカロリーなのだから、遠慮なくスープまで全部飲み切ってしまった。
邪道なんて思ってごめんなさい~っ!
今回は自動販売機でゲットした盛岡冷麺缶だが、岩手関連の物産展やアンテナショップなどで取り扱いがある模様。賞味期限も長いため、ちょっと変わり種の備蓄食品としてもオススメだぞ!
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
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