ネパールの国民食「ダルバート」やネパール料理を紹介する本連載。
先日もお伝えしたように大久保・新大久保エリアはネパール料理店の出店ラッシュ。エスニック好き、取材する側の筆者としては大変にうれしく、以前にも増して足しげく大久保界隈に通っている。
というわけで、今回も同エリアにオープンばかりの注目店を紹介したい。
・超駅近にネパール料理店が爆誕
今回訪れたのは大久保駅南口から徒歩1分という超駅近のネパール料理店「ティリサラ(TRISARA)」。ネパールミルクティーが美味しい「チヤガル」とはご近所さんだ。
2024年11月6日にオープンしたての同店は、板張りの壁と赤を基調としたインテリアで統一され、お洒落なアジアンカフェのような雰囲気。店内のモニターにはネパールの流行曲(N-POPでいいのか?)のMVが映し出されている。
・「生ビール&デザートつき」スペシャルなセットも
店内の照明が暗いため、画像がややくすんでしまっていることをご了承いただきたいのだが、ダルバートはチキンカナセット(650円)、ベジタブルカナセット(700円)、マトンカナセット(800円)、ティリサラスペシャルセット(1200円)の4種類。
ティリサラスペシャルセットには何と生ビールとデザートまでついてくる。フルコースだ。
改めてダルバートとは、ダル(ひき割り豆のスープ)とバート(米飯)というワードの組み合わせ。これにカレーやスパイスで味や香りづけをした野菜などのおかず(タルカリ)やピクルスのような漬物(アチャール)がつく、ネパールの国民食だ。
ダルバート以外にも炒め物やネパールのインスタント麺「ワイワイ」を使用したワイワイフライ&卵(550円)やワイワイスープ&卵(550円)といったメニューもラインナップしている。
ティリサラスペシャルセットにいきたいところだが、この日の腹具合ではデザートまでたどり着ける気がしなかったため、マトンカナセットを注文することにした。
でも生ビールは飲みたかったので単品(550円)で注文。
・激レアな “ドライタイプ” のマトンカレー
数分後、運ばれてきたのは見るからにしっかりと仕事が施されていることがうかがえる料理の数々。800円でこれだけ充実しているとは驚きだ。
内容は左上からダルスープ、マトンカレー、トマトベースのピリ辛ソース、青菜炒め、野菜のおかず(ジャガイモ・カリフラワー)、アチャール(ピクルス)という質実剛健な面々。
ダルスープは複数種の豆を使用しており、豆の甘みを全面に感じる。スパイス感はそれほど強くないものの、ニンニクの香りはやや強め。ライスに間違いなく合うタイプのダルスープだ。
というわけでライスのダルスープをかけて「ネパール式ねこまんま」を堪能する。うん、美味しい。ライスがもりもり食べられる。
それにライスが熱々なのもうれしい。ネパール料理店に限らず、エスニック料理店ではライスがそこまで熱々じゃないことも結構あったりする。
特筆すべきはこのマトンカレー。汁気がほとんどないドライタイプなのだ。
これまで紹介してきたネパール料理店のマトンカレーといえば、このように汁気たっぷりのものばかりだった。ドライタイプのカレーとは初対面。初めまして。味はどうだろう。
マトンはブリブリの皮と骨つき。柔らかい部位と噛み応えのある部位があり、食感の変化が楽しい。
カレーはドライだからか濃厚でやや辛め。酒の肴的につまむのにもちょうどいいだろう。
・おかずにも酒肴にもなってくれるアチャール
トマトベースのピリ辛ソースも辛みは強め。こちらもダルスープと同じようにニンニクを感じる。
アチャール(ピクルス)には刻んだ青唐辛子がしっかり目にはいっている。マスタードに加えて唐辛子のシャープな辛さが心地良い。箸休めにもなるし、酒肴の役割も果たしてくれる。
ダルスープ、マトンカレー、おかずやソースをライスに重ねて食べ進めていく。
カレーとアチャールで思いのほかビールが進んでしまったのでお酒を追加。取材時点ではグランドメニューにネパールのお酒はなかったものの、店員さんに聞いてみたところククリラムがあるとのこと。
ネパールのサトウキビやカラメルを原料とした蒸留酒で、提供しているネパール料理店も少なくない。ソーダ割り(600円)でお願いしてみた。結構、濃い目にしてくれて大変にありがたい。
ライスやダルスープはおかわりOK。ダルスープを追加。
ライスの中央にくぼみを形成してダルスープをなみなみと注ぎ入れる。リッチなネパール式ねこまんまを食べ進めていく。
一気に完食。喉ごしドライなククリラムも飲み干してしっかり腹パン。大満足。
・今回訪問した店舗の情報
店名 ティリサラ(TRISARA)
住所 東京都新宿区百人町1-24-16 2F
営業時間 11:00〜22:30
定休日 無休
執筆:ダルバート研究家・田中ケッチャム
Photo:RocketNews24
▼店員さんに店名の「ティリサラ」の意味を尋ねたところ、「日本語で説明するのは難しい」とのこと。Google翻訳にネパール語で音声入力してもらったら「天国のパリトラーシャラ」と表示された。「パリトラーシャラ」っていったい何なんだ……
……と思って調べてみたところ、サンスクリット語で「3番目の天国にある庭」という意味らしい。確かにこれは日本語で説明するのは難しい。「天国」の部分はGoogle翻訳もしっかりと認識してくれたようだ。タイのプーケットにも同名の高級リゾートがあるそう。
▼路面店ではないのでやや入りづらいが、可愛らしい装飾が施された階段の先には美味しいネパール料理が待っている。店員さんも親切だ。
▼ネパール風蒸し餃子「モモ」のラインナップも豊富。ネパールの首都・カトマンズでは白ごまベースのスープにごま油をかけたエベレストモモが人気のようだ。