日本各地に存在している郷土料理には、独自の名前がついている物も多い。

筆者の地元である新潟県の「のっぺ」とか「いごねり」も、他県の方からしたらどんな料理なのか想像がつきにくいんじゃないかな。

調べてみたところ、どうやら鳥取県にも そういった料理があるらしい。その名も「いただき」。

──な、何をいただくんだ? 何を使った料理なのか、見た目はどんな感じなのか。名前だけでは全く分からない。

ということで公開されていたレシピを参考に作ってみて、実際にいただきをいただいてみることにした。


・作ってみた

今回参考にしたのは、一般財団法人「日本食生活協会」が公開していたレシピ。

詳しい材料や作り方はこちらに掲載されているので、気になった方は是非見てみてほしい。


まずはお米を洗い、水を切る。


具材にする野菜を切って……


三角形の油揚げを熱湯に通して油抜きをし、一辺に切れ目を入れて袋状にする。


ちなみに筆者宅の最寄りのスーパーには三角形の油揚げが売られていなかったため、普通の油揚げの両端を三角にカットしたものを使わせてもらった。



具材の準備が整ったら、油揚げの中にお米と野菜を詰めて口を爪楊枝で止める。


続いて鍋の中に昆布煮干しを敷いて……


油揚げと調味料を入れ、落し蓋をして炊く。途中で竹串などを使って2、3回油揚げに穴をあける。

煮汁がなくなったら、あとはしばらく蒸らせば……


完成!!



・手間の分のおいしさ

これが「いただき」……!! 名前からは料理のジャンルすら予想ができなかったけど、ご飯ものだったんだ。


それではさっそくいただいてみよう。温かいうちに小皿に取り分け、口の中に入れてみると……


めちゃくちゃジューシー!!


お米にも油揚げにも煮汁がたっぷり染みこんでいて、噛むたびに出汁のよく効いた甘じょっぱい味がじゅわっと溢れてくる。

中に入っている野菜の食感や風味も相まって、五目ごはん入りの稲荷ずしを食べている感じだった。


お米はしっかりと炊き上がっていて、炊飯器で炊いた時と同じようなもちもちの柔らかい食感に仕上がっていたぞ。

調理中は具材を1つ1つ油揚げに包んだり、様子を見ながら時間をかけてじっくり炊いたりと少々大変だったけれど、その手間に見合うおいしさを堪能することができた。



・名前の由来が素敵だった

ちなみに調べてみたところ、「いただき」という名前の由来は、昔お米が貴重な食べ物だったことに由来しているようだ。

なにか特別な出来事があると、お米を使ったこの料理が各家庭で作られて近所に配られる風習があったという。

近所の方の「(貴重なものを)いただく」という気持ちが、そのまま名前の由来になったそうだ。

他にも鳥取県にある名峰「大山(だいせん)」の頂上に形が似ているからという説もあるらしい。

どちらにしても、鳥取の文化や風土が反映されていることがよく分かる由来だった。

日本には、まだまだ私の知らないおいしい食べ物があるんだな。食文化の奥深さを再確認できた料理だった。

参考リンク:一般財団法人 日本食生活協会
執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.