愛知のCoCo壱番屋、岩手のびっくりドンキーなど、地方都市のローカルレストランから全国に広がったチェーン店は意外に多い。大分発祥のファミレスチェーン「ジョイフル」もそのひとつだろう。
さすが南国・九州というべきか、夏メニューと呼ぶには相当早い4月から「かき氷」が登場! 盛夏となり、ようやく食べられたのでレポートしたい。
・「かき氷みるく シャインマスカット」(大・税込548円、小・税込482円)
ラインナップは定番から新作まで全5種類。「シャインマスカット」は今年の新フレーバーだという。大サイズでもほぼワンコイン、税込548円はリーズナブル! いちご小サイズに至っては税込328円だ。
九州には住んだことがなく馴染みがなかったが、ジョイフルは「地域で一番安価で、一番身近なレストラン」を掲げているとか。
おおっ、シロップの増量オプションあり。これは貴重!
「いちご」を「いちごミルク」にできるオプションはよくあるけれど、ジョイフルのかき氷はもともと「みるく味」になっている。ダブルミルクを公式自ら歓迎するとは、ゴーラー心理をわかってらっしゃる。
外食でかき氷を食べるときの最大の不満は、「寒い」でも「高い」でもなく、「シロップ or 練乳足りない」だからな。
オーダーしたのは、まずは高級フルーツ・シャインマスカット味。大サイズは涼しげな平皿に、こんもりと小山を作って登場。周囲にふわっと香りが広がる。
初めてシャインマスカットの実物を食べたときは、ブドウ特有の渋みがまったくない華やかな甘さにびっくりした。種がないからヒョイヒョイ食べられるし、もはやブドウとは別の果物だ。それがどれくらい再現されているか……
氷はシャリフワ! 時間をかけてじっくり凍らせた「純氷」を使用し、軽い食感に仕上がっている。
風味はそのまんま芳醇なマスカット! 味に陽気も陰気もないかもしれないが、「派手」で「華やか」で「輝いている」陽キャ感がする。
最初のひと口のインパクトでいったら、これまで食べたかき氷の中で断トツかもしれない。気のせいか、生ブドウを食べたときの口の中がキュウッする感じまでよみがえってくる。
さらに「かき氷みるく」のネーミングのとおり、牛乳とクリームの特製「みるくシロップ」が同店の特徴。クリーミーな甘さがプラスされている。
追加で頼んだ「みるくシロップ」(税込108円)を上からかけると……
フワッフワの氷は、シロップがかかったところだけ沈んでいく。どんどん広がる穴に、内側までたっぷり染み込んだことがわかった。
まろやかで濃厚な味わいがいつまでも続き、水っぽくなることもなく最後まで楽しめた。とにかく印象は「甘くて濃い」! 食べ終える頃には渋茶が欲しくなるくらいだ。
・「かき氷みるく 山梨産白桃」(大・税込548円、小・税込482円)
もうひとつ心ひかれたのが、シャインマスカット同様に普段はなかなか手を出しにくい白桃。桃缶じゃない日本の桃は高級品なうえ、「山梨産」なんてパワーワードを書かれたら、否が応でも期待が高まる。同義語に「北海道産」があるな。
小サイズはガラスのボウルに盛られてやってきた。たしかに大サイズより一回り小さいが、食後のデザートには十分なサイズだ。
こちらも濃厚な甘さだが、シャインマスカットの後に食べると、いくぶん淡泊に感じられる。それくらいシャインマスカットは「キラキラした」味だった。
しばらく食べると桃の風味を味わえるようになってきた。桃&牛乳&クリームなのだから、美味しくないはずがない。
ミルクがトロリとからみ、半分溶けた頃合いが最高。ビジュアル的にも、キンキンに冷やした桃のジュレを食べているみたい。
際立った特徴があるというわけではないけれど、期待を裏切らない美味しいかき氷だ。
・コスパ抜群、ジョイフルのかき氷
どちらもコスパ抜群ながら、ひとひねりしたフレーバーを気軽に楽しめる「良作」であった。間違いのない安定の一品と呼べるだろう。別途バニラアイス・トッピング(税込108円)も可能。
ところで筆者はこの後、すべてがボンヤリと霞(かすみ)がかったような、フワフワの多幸感に包まれて午後を過ごした。冷たいものは甘さを感じにくく、ついつい食べ過ぎてしまう。まさかこれが噂に聞く血糖値スパイクというヤツか。罪深く甘美なる数時間であった……。