間違えた~ッ! 新宿に行くつもりが新宿に来ちゃったじゃないか! どうすんだコレ!? 新宿に行こうとして新宿に来たからいいのか? いや、よくない!
新宿(シンジュク:新宿区)に行くはずが、新宿(ニイジュク:葛飾区)に来たから、いいわけないだろ! 誰かなんとして~~ッ!
……と、間違えたフリをして、新宿(ニイジュク)にやって来た。今回はリクエスト間違い訪問である。しかも2人から「ニイジュクとシンジュクを間違えてください」と要望を受けたのである。そんなリクエストある? 間違えてくださいってナニ!?
とにかく両方と訪ねたところ、どちらの良いところも体感できて、めちゃくちゃ楽しかったぞ~!
・新宿はいっぱいある…
あらかじめお断りしておこう。本稿では新宿と新宿をわかりやすくするために、いずれもカタカナで「シンジュク」と「ニイジュク」と表記させて頂く。
ってなわけで、まずはニイジュクから訪ねてみよう。最寄駅のJR金町駅にやってきた。南口の向かいには京成電鉄の京成金町駅もある。
参考までに「新宿」という地名は、今回のシンジュクとニイジュクに限ったことではなく、関東だけでも埼玉・千葉・神奈川・茨城・群馬・栃木にもある。さらに範囲を広げると、静岡・愛知・富山・兵庫・山口にまであるそうだ。割と近い距離の間違えリクエストで助かった……。
さて、本当にこの地域にニイジュクという地名の場所はあるのか? 駅前の地図で確認してみよう。やはりこの界隈となると、柴又や亀有が有名だ。寅さんと両さんがいるからなあ。2人ともとてもシンボリックだしねえ。
金町から近いそうなのだが~……。
シンジュク!? いや、ニイジュクだ! 金町と亀有のちょうど間に位置する場所、それがニイジュクである。
では、ニイジュク探索に行ってみよう~!
・茶色い巨大な物体
最初に訪れたのは、東京理科大学の葛飾キャンパスである。この大学周辺の敷地がニイジュクの北端にあたる。
まず来たかったのは「葛飾にいじゅくみらい公園」だ。ここは理科大学を囲うような形で公園が造られている。
一応住所を確認しておこう。間近の電柱を見ると「ここは 新宿 6-3」とある。ニイジュクとわかっていても、シンジュクって読んじゃうよね。10年以上、編集部のあるシンジュクに通ってるから。
公園の敷地はとても広く、週末はにぎわっているはず。夏休みではあるけど、最近は日差しが強いので、子どもたちが遊んでいる姿はなかった。いつまで酷暑が続くのやら……。
うん? アレはなんだ? 茶色い物体が鎮座しているように見えるんだが。この距離であの大きさってことは相当デカいのでは?
やっぱデケエだろ。写真ではわかりにくいかもだけど、直径数メートルはありそうだぞ。
さらに近づくと、途方もないデカさだった! これは損紙を蒸して再生するための蒸釜だ。「地球釜」と呼ばれていて、三菱製紙株式会社の中川工場にあったものなのだとか。工場は2003年に移転し、86年の歴史に幕を閉じている。
本体の最大内径は4メートル27センチ。製紙産業の近代遺産、モニュメントとして記念に飾られているそうだ。
・理科大の学食
それにしても、腹が減った……。ってことで、理科大学の学食「葛飾食堂1階」を利用させて頂こう。
この食堂は一般の利用も可能だ。ただし混雑時は避けた方が良いだろう。幸い、夏休みということもあって、食堂はそれほど混み合っていない。一般の方の姿も見える。
そば・うどんは250円から、ラーメン・カレー350円。この日の定食の豚ロースかつおろしソースは530円となっていた。ただでさえ相場よりもお安い学食、近頃の物価高の影響でなおさら有難く感じる。私(佐藤)は豚の生姜焼き定食(ご飯・味噌汁付き 税込480円)を頼んだ。
私くらいのおっさんなら、この量でも十分足りるけど、学生さんには足りるのかな? 勝手に心配してしまう。願わくば、腹いっぱいメシが食えていると良いのだが。
経営は大変だろうけど、学生さんたちのためにできるだけ長く、安い料金を維持してほしいと願っている。
・交通公園
さて、次へ行こう。南の方に別の公園があるそうなので、そちらを目指して、JRの高架をくぐります。
トンネル好きなんだよねえ。たとえ距離が短くても、抜けた先の景色を見るのが楽しいんだよなあ。
トンネルを抜けて、坂を上がると中川沿いに出た。向こうに見えているのはスカイツリーだ。
思った以上に遠くに見えるなあ。ここからスカイツリーまでだいたい8キロある。押上からここまで結構距離があるんだなあ。
次に訪ねようと思ったのが、地図で見つけた「にいじゅくプレイパーク」だったんだけど、ここは子ども用の公園でした、菅笠被ったおじさんが遊ぶ場所ではありませんでしたので、次へ。
さらに足をのばすと「新宿交通公園」にたどり着いた。
この公園の歴史は古く、1969年に子どもが交通ルールやマナーを学ぶ場として完成したそうだ。1983年に改修工事が行われ、土日祝日にはミニSLが運行しており、有料で乗車も可能となっている。
ちなみに年5回の鉄道教室では、ミニSLの運転体験もできるそうである。遊びながら交通ルールを学ぶことのできる貴重な場所ではないだろうか。
・それを言っちゃ~…
私が個人的にどうしても行きたい場所があるので、ニイジュクから少し離れます。少しじゃなくて、結構歩いて柴又まで来ました。
柴又がどういう場所かわかっている。私も映画『男はつらいよ』を見て育ったから、よ~くわかっている。にも関わらず、上京して1度も柴又を訪ねたことがなかった。当然帝釈天も初めてのお参りだ。
あれだけ寅さんが「帝釈天で産湯をつかい、姓は車……」と言っていたのに、50歳にして初めて来たよ。
ふと、社務所の横を見ると「寅さんおみくじ」発見! これはやらねば! おみくじの上の貼り紙にこんなことが書いてあった。
「おみくじの運勢なんて信じない? それを言っちゃ、おしまいよ」
言いそう、寅さんがめっちゃ言いそうだ。「それを言っちゃ、おしめえよ」で脳内再生された。ってことで、運命を信じて引いてみたところ……。
大吉、来たーーー!!
これはおみくじの運勢を信じないと、それこそ寅さんに「おしめえよ」って言われちゃうよな。今日は自分の運を信じよう! ……ところが、私に待ち構えていたのは不運だった……。
交通公園から30分かけて歩いてきたので喉カラカラ。少し涼みたいので「門前とらや」に寄ることにした。このお店は、「男はつらいよ」シリーズの第1~4作目まで、撮影場所として使われいたそうだ。店奥の階段は実際に撮影に使われたものなのだとか。
ここでイチゴミルクのかき氷(税込600円)と瓶のコーラ(税込300円)を頂きましたよ。
最近のオシャレなかき氷もいいけど、こういうシンプルな昭和を感じるかき氷が1番しっくり来る。子どもの頃の夏休みの記憶がよみがえるよ。童心にかえるってヤツかなあ。
そういえば、このお店は草団子が有名だと後から気づいた。だってみんな食べてるんだもの。それ見たら欲しくなって、1本(170円)食べ歩きで頂いた。ほのかなよもぎの苦味と、自家製餡子の甘味がちょうど良い。熱いお茶が欲しくなってしまう。
・連れて~♪ に~げ~て~よ~♪
帝釈天に来たかったのはたしかだけど、本当に来たかったのはコッチ。江戸川の河原にやってきた。
ここにはコレがあるのです。
「矢切の渡し」である。
柴又と千葉を結ぶ、都内唯一の渡船場である。片道大人200円で利用可能なのだが……。
今日は休みだったーーー!! 大吉引いたのにツイてね~~!
でも、大丈夫! 渡しに乗るのも目的だったけど、真の狙いは、矢切の渡しで細川たかしさんの名曲『矢切の渡し』を唄いたかったでござる!
菅笠をかぶって矢切の渡しで「矢切の渡し」を歌うと、切なくなる pic.twitter.com/gAB2OobpVD
— 世界の佐藤 (@Foodqueensatou) August 5, 2024
菅笠かぶってこういう曲を唄うと風情が出るかなと思って(笑)。そのために、ここまで来ちゃったヨ!
・新宿歴史博物館
本来の主旨からかなりズレたことをやってしまったので、本筋へ戻ろう。ニイジュクを離れてシンジュクへと向かう。柴又駅から京成金町線に乗り、京成高砂駅で京成本線に乗り換え、東日本橋からさらに都営新宿線に乗り換えて曙橋駅へ出る。
シンジュクというと、私も慣れ知った街で、平日はほぼ毎日のように駅を周辺にいる。だが、どれだけ繁華な場所に行っても、それですべてを知っているわけではなかった。そこでシンジュクをより良く知るために「新宿歴史博物館」を訪ねることにした。
この施設は、シンジュクに関する資料の収集・保存、調査研究、展示公開をする目的で1989年に設立している。歴史をひも解く常設展示のほか、約4万1000冊の書籍を所蔵する閲覧室、そのほか講堂や庭園を有している。
こんなに立派な博物館が近くにあるなんて全然知らなかったよ。少々場所がわかりにくいのが惜しいところ。
もっとも古い展示品は旧石器時代にまでさかのぼり、江戸・昭和・戦中戦後から平成に至るまで広くシンジュクの歴史を網羅している。普段シンジュク周辺に出かける人も多いはず、そのついでに足を運んではいかがだろうか。観覧料一般300円で、より深く街の歴史を理解できるぞ。
・やっぱりツイてない
そこから少し歩いて、東京メトロ四谷3丁目駅の交差点に出た。ここにも立派な博物館がある。四谷消防署に併設しているのは、「消防博物館」だ。
が! 月曜は休館日だった! ガ~ン! 矢切の渡しも休みだったから、今日はやっぱりツイていないのかも……。ちなみにここは入場無料です。
私の不運はさらに続く。さらにこの近くの「四谷ひろば」にある「東京おもちゃ美術館」に行きたかったのに、閉館時間(16時)にたどり着いてしまった! あと5分早ければ……。
「やっぱり入れませんよね」とスタッフの方に聞くと、「最終入館は15時30分です。できれば2時間以上前にお越しいただいた方が、楽しめますよ」とのことだった。5分前でも遅すぎる……。ので、こちらをご利用の方は、ゆとりをもって訪ねることをおすすめする。
子どもから大人まで楽しめる施設になっているので、夏休みにお子さんと訪ねてみてはいかがだろうか。
・宇宙パワーをチャージ!
どうやら今日の私はツイていない。大吉が出たとはいえ、それっきりで運を使い果たしてしまったかも。
そこでここに来た! 知る人ぞ知るパワースポット、夢が叶う店「宇宙村」だ。
ご利益を得るために宇宙パワーシールを買って帰ろう。2枚1組の小型のシール(税込330円)を購入すると、こちらの御大景山八郎先生がパワーを注入してくださる。そして最後に記念撮影。
八郎先生、パワー頂きました! これで私も絶好調!!
シールは陰(青)と陽(赤)でワンセット、できれば貼るものの表と裏で1枚ずつが良いそうなのだが、貼れない場合は2枚一緒でも良いそうだ。
私はスマホにペタリ! ガトーフェスタハラダのシールの下に貼っておいた。これで運気爆上げ! のはず……。
・馴染の街
そういえば、コーヒー豆を買っとかなきゃ。ってことで「緑の豆 新宿御苑店」に来た。ここは生豆(焙煎していないコーヒー豆)を売ってるお店なんだよね。
最近地味に忙しくて、自分で焙煎しているゆとりがないので、今日は「コロンビア スプレモ」という豆を深めに焙煎(フレンチロースト)してもらいました。200グラムで税込1404円。
家にはまだ煎ってない豆があるので、時間を見つけて焙煎しとかないとな。
そして最後にひと息ついて帰りますぞ。3丁目の「珈琲貴族エジンバラ」。外部の方と打ち合わせがあると、私はこちらを利用させてもらっている。
このお店、以前は靖国通りにあった。1975年にオープンしてビルの解体に伴い、2014年に閉店。翌2015年にこの場所で営業を再開したのだ。それからもうすぐ10年、時が経つのは早い。
ココに寄ったのは、喫煙席を設けてくれているから。
コーヒー & シガレット(加熱式たばこだけど)を楽しめるお店がずいぶん少なくなった。お店によっては、狭い喫煙スペースが用意されている。吸えるだけマシだけど、本当はゆっくり席で吸いたい。そんな贅沢を叶えてくれる場所が、エジンバラだ。
「いつまでも」とまでは言わないけど、もうしばらくコーヒーとたばこを一緒に楽しませてほしい。
そんなわけでニイジュクとシンジュク、両方訪ねてそれぞれに良さがあるとわかった。ニイジュクの方はちょっと脱線してしまいましたが……。
ニイジュクは公園を、シンジュクは博物館めぐりを、それぞれ楽しんで頂きたい。どっちの新宿も楽しいぞ~! 両方訪ねてみてくれ~!!
参考リンク:葛飾区[1、2]、TUSダイニング、門前とらや、かつまるガイド、新宿区立新宿歴史博物館、東京消防庁、東京おもちゃ美術館、宇宙村、珈琲貴族エジンバラ
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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