鯖が好きだ。しめ鯖や塩焼きなど、シンプルな料理でも芳醇な旨みがあって、栄養価も高い鯖を愛している。子供の頃はバッテラが好きだったから、思えば40年くらい鯖を追いかけている私(中澤)。実は、最強の鯖の塩焼きを求めてお高めの専門店にも足を運んだことがある。
その店はウマかったのだが1500円くらいしたので、ある程度ウマくて当たり前かと思い、結局記事にはしなかった。
だが、今回の鯖は違う。スーパーの弁当コーナーに645円で売っているのにもかかわらず、なんならその専門店よりウマかったのだ。
・弁当コーナーにて
その鯖と出会ったのはイトーヨーカドー。埼玉県さいたま市のショッピングモール・ステラタウンのフードコートで気分に合う飲食店を見つけられなかった私は、そのままイトーヨーカドーの惣菜や弁当が置かれたコーナーを眺めていた。
今の気分というのは魚。刺身は高いだろうから焼き魚かなあ。そんなにガッツリ食べなくていいから、手頃なものはないだろうか。と、そんなことを考えていた時、目の前に「さば塩焼き弁当(税込499円)」が現れた。これか?
・諦めかけたその時
いや、まだだ。鯖が、弁当の鯖すぎる。499円とは言え、もうちょっといけるのではないか? 我ながらスーパーの弁当に何を求めているのかという審議が残る判断であったが、その時はスルーした。女心と秋の空より移り変わりやすいのが昼飯を探すオッサン心なのである。鯖は諦めるか……
と思ったその時、もう1つ鯖を使った弁当があることに気づいた。こ、これは……
鯖がデカイ!
弁当一杯に広がる鯖のプレッシャーに645円だったが即買いしてしまった。その名も『最北端の酒蔵!国稀酒造 酒粕漬けさば弁当』である。
・衝撃の連続
調べたところ、国稀酒造(くにまれしゅぞう)は、北海道にある明治15年(西暦1882年)から続く酒造なのだそうな。142年……! 日本酒の多くが本州からの移入酒だった頃から当地での自家醸造を始めたとのことなので、ガチの老舗と言える。米所だし日本酒もウマそうだ。
それゆえか、脂の乗った鯖の甘みを引き出すような酒粕漬けはトロけるようである。見た目だけではなく味も良い。国稀酒造の歴史を読んだら、この鯖が埼玉で食べられることにもありがたみを感じる。さらには……
ご飯が炊き込みご飯になってやがる……!
おいおい、なんてことしやがるんだ……! どれだけ鯖好きを煽るつもりだイトーヨーカドーよ!! こんなことしたらお前……! もう優勝するしかないだろ!!
・心に響く鯖
全ての鯖好きを優勝させるこの弁当。いち鯖好きとして645円は安い気がした。コスパが良いとはこういうことなのかもしれない。
専門店は記事にしなかったけど、この鯖弁当はありえるで。スーパーの前の公園で覚えた小っちゃな感動。そこにはネット向けにアピールしまくった派手なものよりも心に響く味があった。鯖ってそういうとこあるよね。サバビア~ン。
参考リンク:国稀酒造
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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