私はうなぎ(うな重)が大好き。都内の有名店は、ほぼほぼ網羅。一番好きなのは西武池袋線・東長崎の「鰻家」で、家で食べるとしても必ず国産(特に鹿児島産が好き)をチョイスする。
いっぽう、スーパーで安く売られている中国産のうなぎは、もうかれこれ25年以上は食べていない。食べたくもない。はっきり言って、うまくないから。
……だがしかし!
ここ25年の間に、スーパーの中国産うなぎも進化したのではないか? お店で使っているところも、けっこうあると耳にするし。そこで、実際に食べてみたのだけれど……
う・ま・く・な・い!
本当に申し訳ないが、数々の名店のうな重を食べ歩き、“うなぎ偏差値” が高くなってしまった身としては、2024年の中国産うなぎも25年前とさほど変化はなく……。
でも思った。歳と経験を重ねた今ならば、このイマイチな中国産うなぎを美味しく食べられる調理法を編み出せる気がする、と。
ネットを調べれば山ほど方法が出てきそうだが、調理師免許を持つ私としては、意地でもそれらを見ずに、自分の力だけでなんとかしようと試みた。
そして試行錯誤の末、最も簡単かつ、「これならセーフなのでは?」と思う調理法を見出すことに成功。先に結論から書いてしまおう。
うなぎ好き調理師の私が研究の末に行き着いた「安い中国産うなぎをウマくする調理法」は、以下の通りである!
・お湯で洗う
↓
・皮を剥がす
↓
・油なしのフライパンで両面を焼く
↓
・付属のタレと山椒を付けて食す
……である。上記の方法は、むしろ「中国産うなぎ “でしか” できない調理法」であると私は思う。いわば中国産うなぎ専門の調理法だ。
ちなみに、私のホームグラウンドならぬ “ホームスーパー” で売られている国産or中国産うなぎの価格は、大きさにもよるが、こうである。(価格は税抜き)
国産A(大):2390円
国産B(大):2890円
国産C(半):1859円
国産D(半):1739円
中国産A(大):1690円
中国産B(半x2):998円
中国産C(半):499円
今回の実験で使ったのは、最も安い「中国産B」。果たして、どこまでのうなぎに変化させることができるのだろうか?
以下は、この方法に行き着くまでの理論ならびに、なぜ「中国産うなぎ “でしか” できない調理法」なのかの答え、そして詳しい手順を写真&動画付きで紹介していきたい。
・一番の問題は「皮」だと思った
まず私が試したのは、パックで売っている蒲焼を、チンしてそのまま食べて問題点を見出すことだった。
レンジで温め、まずは付属のタレと山椒も付けずに食べてみたところ……
なまぐせええええええ! そして脂っこい! さらに皮(下面)の食感が気持ち悪いいいい!
うなぎ高偏差値の私としては、とても食えたものではない。
ところが!
付属のタレと山椒をたっぷり付けて食してみたところ……
あれ? だいぶマシになったぞ……。付属タレ&山椒コンビの威力を垣間見た瞬間でもあった。
でも奥底にある生臭さや、厚い皮のブニブニとした食感は依然として気持ち悪い。あとは変に脂っこい。
そこで!
最初から付いているベタベタのタレ(?)を、お湯で洗い流すことにした。
実はこの方法、私は普段から食べている国産うなぎでもやっている必須の工程。
最初から付いているベタベタのタレ、国産だろうが中国産だろうが、どちらにしても美味しくないので洗い流すのが吉なのだ。
てな感じで表・裏、中国産うなぎを洗っていると、「国産うなぎではありえない現象」が発生したのである。なんと……
皮が……
いとも簡単に……
めくれるではないか!!!
皮がブニブニと無駄に厚すぎるがゆえ、めっちゃ簡単に皮剥きできてしまうのだ。
なお、この部位だけかと思い、他の部位でも試した。その結果、剥がしにくい部位もあるけど、指を差し込んだりしてコスリ落とせば、そう苦労なく完全に皮を落とすことが可能であることがわかった。
ということで、「皮あり」と「皮なし」の中国産うなぎが用意されることに。
まずはそれぞれ、少しの油を引いたフライパンで双方を焼いてみた。
ブニブニの皮を、カリカリになるまでジュウジュウと焼いたら食べられるようになるのでは? との予想からだ。その結果……
ダメ。全然ダメ。むしろ悪化。なんというか、逆に皮が悪目立ちしており、焼き鳥の「皮」みたいになっている。これを集めて串に刺して焼いたら、そういう「うなぎ皮串」ができそうなくらい。
しかも、その皮がまた脂っこい。香ばしいけど、本当に「鶏の皮」みたいな感じ。脂っこいのは、この皮こそが原因とみた。なので、焼き鳥の「皮串」が好きな人にはオススメできるけど、私は無理だ。
一方、「皮なしタレ山椒」は、めっちゃアリ。「皮あり」との差は歴然としており、ますます「皮不要論」を唱えたくなってくる。
しかし、「皮なし」でも、そうとうにアブラギッシュ。“脂が乗ってる” というより “脂が染み込んでいる” ような感覚を受けた。
いずれにしても、もうこの時点で、私は決意した。中国産うなぎにおいて「皮アリはダメだ」と。よって、すべての皮も剥がし、「皮なし中国産うなぎ」で引き続き実験を続けることにした。
・魚焼きグリル作戦
まずやってみたのは、魚焼きグリルを使っての焼き。もうなんか、うなぎと言うより「魚の切り身」を焼いているビジュアルである。また、かなり時間がかかるのがネック。
なお、そのまま食べるより、付属のタレ&山椒を付けた方が劇的にウマくなることが判明したので、最初からそうしてみたところ……
うまい。かなりうまい。
少し骨が多いかなと思うけど(これは焼きとは関係ないかもしれないが)、かなりうまい。これならセーフ。でも、やはり時間がかかるのが惜しい。
・バーナー作戦
つづいては、私の得意技「バーナー」を使った焼き入れ。
冷凍の国産うなぎを家で食べる時も、私はいつも「湯せん → 洗う → バーナー」という工程で美味しく食しているのだが、中国産うなぎでも同様のテクは通用するのか? 結果は──
いい。いいんだけど、そして香ばしくもあるんだけど、中がすこしヌルいのが気持ち悪い。チンすれば良いのかもだけど、ちょいめんどくさいし、そもそもバーナーがある家庭が多いとは思えないので却下とする。
・フライパン作戦
最後は、油も引かないフライパンで焼いてみることにした。なぜって、脂ギッシュなのだから、油を引く必要もないと思ったから。
特に剥がした皮面(裏面)には、まだまだ脂が残っているので、裏面から焦げ目が付くまで、じっくりと焼いていく。
そして表面も、香ばしさを演出するために、少し大袈裟に焦げ目がつくまで焼いてみた。
そして付属のタレ&山椒を付けて食べてみると……
……うん、合格! これなら合格!
もちろん完璧ではない。だが、皮剥がしによって「ブニブニ皮の気持ち悪さ」は皆無になり、油なしフライパンで焼くことにより「温め&脂落とし&香ばしさを演出」することにも成功。
あとは中国産うなぎ独特の食感(フワフワしてない)が気になるところで、もしかしたら、お酒を使って蒸したり何かすれば解決するのかもしれないが、面倒なのでやめておいた。
あまり工程を多くして、めんどくさくなったら、せっかく安く買える中国産うなぎを選ぶ意味がなくなってしまうから……ってのもある。
もしも興味のある人は、日本酒などを使って、くさみや、フワフワ感を出すことにチャレンジしても良いかと思う。私は面倒なのでやらないけれど。
・まとめ
それでは最後に、あらためて画像付きで、私の行き着いた「安い中国産うなぎを美味しく食べる調理法」をおさらいしてみたい。動画もあるので、よかったらどうぞ。
その1:お湯で洗う
↓
その2:皮を剥がす
↓
その3:油なしのフライパンで両面を焼く
↓
その4:付属のタレと山椒を付けて食す
\(^o^)/ ウマイ! \(^o^)/
いま、スーパーはうなぎだらけ。ちょっとの手間で劇的に変わるから、もしよかったら試してみてね。
それでは、よき中国産うなぎライフを。さらばじゃ。再見!
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24
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