間違えた~! 青海に行くはずは青梅に来ちまったよ! どうすんだコレ!? 青梅と青海は直線距離で約56キロもあるんだぞ。最短でも1時間40分くらいかかるじゃねえか! どうすんだコレ! 誰かなんとかしてくれ~~ッ!
……と間違えたフリして青梅に来ました。よく間違われるこの2カ所、きっとそれぞれに良さがあると思ったので、1日で両方訪問してみたら、どちらの良いところも体感できて、めちゃくちゃ楽しかった!
・青梅と青海
青梅と青海はよく間違えられる。でも、きっと一方的な間違われ方をしているはず。おそらくだが、青海に行こうとした人が青梅に行くことはあっても、その逆はあまりないのではないだろうか。
つまり、青梅のことがあまり知られていないと私は考えている。そこで、まずは間違われる側の青梅から訪ねることにした。
青梅と青海、名前は近いが2カ所を隔てる距離はあまりにも遠い。ぶっちゃけ1日で両方行くのはしんどい。私のような変わり者でなければ、1日に両方行くことを喜ぶ人は少ないだろう。
・昭和を感じる青梅
最寄駅の中野から中央線の青梅行きで1時間16分。立川からは乗り換えなしで青梅線へと接続する。
普段中央線を利用しているのだが、立川から先の青梅線に行くことはあまりない。したがって、青梅線内のルールのひとつ、開閉ボタンをほとんど使ったことがない。
自分で押さなければドアは開かない。また後ろに人がいるので、うっかり締めてしまわないように気をつけないといけない。開けるつもりで閉じたりしないように気をつけないとな……。
そういえば、中野で一緒に乗ったV系っぽいお兄さんが寝過ごして青梅まで一緒に来て、まだ寝てたけどあの人大丈夫だったかな……。
青梅駅に着きました。空が高くて空気が澄んでて気持ちがイイなあ。今日の日差しはキツイなあ。
改札口の方へ行くと、駅にちなんだ映画看板が飾られていた。青梅にはその昔、映画館が3館あり、腕のある看板師が住んでいたのだとか。ここに限らず、街でも映画看板を見ることができる。ノスタルジックでいいねえ。
ノスタルジックなのは映画看板だけではなく、駅舎からもその雰囲気が漂う。時代が令和になっても、古き良き昭和のあたたかみを感じる。
一応確認だが、ここは青梅で間違いないな、うん。
青梅は市をあげて昭和の街づくりを行っているそうだ。一説によると「昭和レトロ」は青梅発祥の言葉とも言われている。少し歩くと、街のあちらこちらに懐かしい風景が潜んでいる。
真っ赤な郵便ポスト、懐かしい! この形のものは、ずいぶん前から見なくなったものなあ。
バス停には映画「バスストップ」の看板が掲げられている。画になるなあ。
その向かいには「昭和レトロ商品博物館」。立派な建物だ、半分はカフェになっているみたい。
入場料は大人350円、小中学生は200円だそうです。ちょっと覗いて行こうかな。……と思ったら、今はお出かけ中のご様子。
「すぐ戻ります」とのことだったけど、なかなかお戻りになられないので、あとで来れたら寄ってみよう。どうしても行きたいところが2つほどあるもんで。
・マイコン博物館に感動!
その行きたかったところのひとつは、「一般財団法人 科学技術継承財団」が運営する「マイコン博物館」である。
こちらは事前予約制で休館日(水曜)以外、予約のない日は休館されているとのことだった。私は予約していなかったが、もしも可能なら入ってみたいと思い、ダメ元でインターホンを押してみたところ入館させて頂けることになった。繰り返すが本来は予約制なので、次回は必ず予約して訪問したいと思う。
なお、入館料は税込1000円。開館時間内であれば、1日利用も可能となっている。
ここの収蔵物は数も質もハンパではなかった。できれば現地で実物を目にして頂きたいので、詳細な説明は省くが、私が個人的に印象に残ったものを挙げると、まずNECの「9801M」だ。
私が中学生の頃、友人の父親がこれを所有しており、一緒にゲーム(「オホーツクに消ゆ」だったと思う)で遊んだ覚えがある。あの頃はマイコンやパソコンはゲーム機だと思ってたなあ。
機器を年代順に展示してあって、棚を追うごとにマイコン・パスコンが進化していく様が理解できる。展示物を追いかけていくと、コレを境に機器が劇的に進化したことがわかるのだ。Apple「iMac G3」である。
ディスプレイ一体型のデスクトップパソコンで、それまでの機器は良く言えば「レトロフューチャー」なデザインのゴツゴツしたものが多かった。このモデルの登場でその流れは断ち切られ、パソコンはもっと身近なものに変貌している。
半透明の筐体に鮮やかな色を施し、可愛らしくスタイリッシュ。展示物を追っているだけで「時代が変わった」とハッキリわかる。iMacは変えてしまったのだと。
マイコン・パソコン以外にゲーム機器も大量に置かれている。エポック社の家庭用ゲーム機「カセットビジョン」まであるじゃないの! しかもカセットは「きこりの与作」だと!! マジかよ、40年ぶりに見た!
LSIゲームの「パックマン」まであった! 懐かし過ぎて涙が出そう。誕生日だったかな、クリスマスだったかな~。親に買ってもらったんだよ。私のゲーム好きはここから始まったかもしれない。
もっとじっくり拝見したかったけど、このままだとここで1日終わってしまう。青海にも行かねばならんので、泣く泣く退館した。次こそちゃんと予約してじっくり来ます。
・丁寧な店主の青梅食堂
マイコンに興奮して腹が減ったので食事をしよう。「ラーメン・カレー・親子丼 青梅食堂」と書かれた向こう側に「ネパール・インド料理」と続いている。
和食屋さんかな? カレー屋さんかな? 面白そうなので入ってみよう。
ランチメニューを見ると完全にカレー屋さんだった。ただし、カレーと一緒に頼めるものに、ナン・ライス・うどんとある。うどんの選択肢は「和」だな。
「東京しゃもカレー」(税込1200円)をナンでお願いした。
バターチキンカレーのチキンを、あきる野市で畜産されている「東京しゃも」で仕上げたものだ。バターの風味が豊かでカシューナッツの香りが食欲をそそる。
優しい味に癒されたんだけど、それにも増して私を癒したのは店主である。とても丁寧に接客される方で、会計後に店を出ようとすると「暑いのでお気を付けてお帰りください」と深々とお辞儀をされた。暑さで少し疲れていたけど、味と接客で元気をもらいましたよ。
・夏への扉
マイコン博物館とともに、行きたかったもう1カ所は、こちらお店。窓からネコがのぞいている喫茶店。
お店の名前は「夏への扉」。勘の良い方なら察しがつくと思う。そう、ロバート・A・ハインラインのSF小説から名付けられているのだ。あの小説、すごく好きなんだよねえ。だからここには来なければと思ったわけですよ。
はじめて来たはずなのに、店の雰囲気に懐かしさを覚える。眼下に走る青梅線、窓の向こうの青い空、スピーカーからは女性ボーカルの優しい歌声。首に巻いたタオルで汗を拭い、アイスコーヒーをひと口すすると、喉元から胃袋にかけて冷たいものが流れ落ちていくのを感じる。
このお店に来たことがあったかな? いや、そんなはずはない。知らなかったから、飛びつくような思いでお店を訪ねたのだ。
だけど、何か知っているような心地よさがある。肌に馴染むというヤツだろうか。くるみのタルトの甘さにも覚えがある気がしてならないけど、それもまた自分にとって心地よい甘さであるがゆえなのかも。
きっと夕暮れ時には窓から良い景色が見えるはず。近所にこんなお店があったら、夕涼みがてら遊びに来て、暮行く茜色の空を眺めていたい。「また来ます」といって、私は店を後にした。
・青梅から青海へ
さて、ここから大移動。昭和レトロから臨海の副都心エリアへ。フジテレビをはじめとする巨大建造物が立ち並ぶ青海に行くぞ!
青梅から青梅線で立川に出て、乗り換えなしで中央線に接続。そのまま神田まで行って山手線に乗り換え、さらにゆりかもめに乗り換えて青海へ。
着きました……。
文字にすると1~2行だけど、1時間40分かかってるです、疲れた。
青梅は山、青海は海。山もいいけど海もいいねえ。停泊してる船がデケエエエ!
「PATH FINDER」って書かれたあの船はパナマ船籍かな? 写真じゃわかりにくいけど、船尾から顔をのぞかせているのはトラック? トレーラーかな? 船がデカすぎてトラックすら小さく見える。
海を臨むこの辺は「水の広場公園」という。
あじさいは花の盛りを過ぎたかなあ。今日みたいな日差しの強い日よりも、小雨でもパラついている方が、あじさいにはふさわしいんだろうなあ。とにかく暑すぎる……。
・シティサーキットを走る!
駅のすぐそばに面白そうなアクティビティ施設があった。ここはたしか「MEGAWEB」のあった場所。「Zepp Tokyo」や「東京カルチャーカルチャー」もこの辺にあったかな?
ここは都市型サーキット「シティサーキット東京ベイ」である。EV(電動)レーシングカートで走行することができる施設だ。
屋内と屋外にわかれており、屋内は子ども用(身長100~150センチ)、屋外は身長150センチ以上なら利用可能とのこと。料金は平日税込3500円で、7分間の走行を体験できる。
専用サイトで会員登録をして説明ビデオを見た後に走ることになる。走行時は手にモノを持つことができない。またポケットの中身も出しておかないと、落としたら大変なことになるので要注意。無料のロッカーがあるので、持ち物はすべて預けた方が良いだろう。
フルフェイスのヘルメットを着用するためのフェイスマスクを別途600円で購入する必要がある。眼鏡は着用したままヘルメットを装着できるのでご安心を。
実際に走っているところをお伝えしたかったのだが、私は1人で訪ねてしまったために、誰も写真を撮ってくれる人がいなかった。1人よりも友達や家族と来た方が楽しいぞ。
ちなみに私のタイムは1周平均53秒である。最初こそ、マシンやコースを把握するのに手間取ったが、最終的に10秒も時間を短縮できた。
こりゃ速いだろ、と思ったら3月のドライバーランキングトップ50は、32秒台! そんな速く走れるのかよ! 私の記録は150位以内ですらないじゃないか。遅すぎた……。
いずれリベンジ、今度は編集部のみんなと競ってみたい。
・ガンダム見ると、元気が出る
サーキットを後にしてフジテレビ。……は、今日はいいかな。以前27時間滞在したこともあるし、最近は編集長GO羽鳥が番組収録で頻繁に訪ねているので、今日はパス。
ダイバーシティ東京までやってきた。実物大ユニコーンガンダム立像は相変わらずデカいなあ。
デカいものを見ると、不思議と元気が出てくるのは気のせいだろうか? いや気のせいではないはずだ。実際、暑さでいくぶんボーッと歩いていた私が、ガンダムを見るやいなや「やっぱりでけえええ!」と興奮してしまっている。
おそらくデカければ何でも良いというわけではなく、きっとユニコーンガンダムだから興奮している気がする。カッコいいものな、うん。
・レインボーブリッジは夜
ダイバーシティでひと息つきたかったけど、激混み! フードコートは大混雑だったので、とても息をつける状況ではなかった。週末でも夏休みでもないのに、これだけ混んでいると夏休み本番はマジでヤバそう……。
なので、ジョイポリスの方にやってきた。ここなら眺めもいいし休めそう。
デックス東京ビーチのアイランド・ヴィンテージ・コーヒーで「バナナコナモカ」(税込840円)ってのを頼んだ。要するにフラペチーノみたいなものです。冷たくて甘いヤツなら何でもよかったんよね。
いや~、いい景色。昼のレインボーブリッジもいいね。このまま日暮れから夜まで眺めていた。もちろん夜景もいいに決まっているから。
でも、私の電池残量は限りなくゼロに近くなっている。夜景を待つだけの体力はすでに残っていない。とにかく青梅も青海も楽しめた。いや、それぞれまだまだ深堀をして楽しむことができるはずだ。
もしいつか青梅と青海を間違えてしまったら、「こっちじゃなかった!」と引き返さずに、そのまま楽しんでほしい。青梅も青海も、どっちもいいところだぞ~!
参考リンク:青梅市、マイコン博物館、シティサーキット東京ベイ、実物大ガンダム立像公式サイト
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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