2024年4月の記事で、じゃんけんのかけ声についてお伝えした。
私(佐藤)の地元島根県の一部地域では、じゃんけんの時に「やっきっき」と言っていた。これが方言であるといまさら知った私は、当サイトでアンケートを実施した。おそらく他の地域にもマイナーなじゃんけんのかけ声が存在しているはず。そう考えたからだ。
すると全国各地から独自のかけ声が集まり、47都道府県のすべてが出揃ったので紹介したいと思う。
「やっきっき」もかなり個性的だとは思うが、それに負けない個性派かけ声がたくさんあった! 「じゃんけんぽん!」だけがじゃんけんじゃない!! 奥深い、じゃんけんのローカルかけ声の世界へ案内しよう!
・各地のかけ声を知るためにアンケートを実施
事の発端は、編集部にあった「都道府県別 全国方言辞典」だった。ある日、私はパラパラと島根県のページをめくっていた。おおむね聞き覚えのある方言ばかりで、驚くようなものはなかったのだが、「や」の項目で手が止まった。
「やっきっき……【出雲・隠岐】じゃんけん」
そう書かれていたのだ。薄々方言という認識はあったが、「島根の方言」と断定されると戸惑わずにはいられない。せめて西日本くらいの範囲で使われていると思っていたんだが……。
よその地域にもマイナーなローカルかけ声があるのではないか? そう思い、当サイトでアンケートを実施した。ちなみに現在もアンケートを募集中です。あなたが子どもの頃によく使っていた、もしくは地元で聞いたじゃんけんのかけ声を覚えていて、まだ回答いただいていない方は、ぜひともご協力頂きたく存じます。
話を戻して、アンケートを実施した結果、2500件を超える回答を得て、さらに各地のかけ声についてもたいへん多くのコメントを頂いた。皆さん、貴重な意見をありがとうございます! 個性的なかけ声がうちの地元だけじゃないとわかってホッとすると共に、あらためてじゃんけんの奥深さを知ることができました!
さて、すでに冒頭の画像で紹介している通り、47都道府県のほぼすべてに個性派かけ声が存在している。一部地域は回答数が少なかったが、それでも全国に独自のかけ声が存在しているといっても差し支えないだろう。
地域ごとに細かく紹介したいと思う。なお、基準の都道府県は、すべて回答者が子どもの頃に長く過ごした場所のことである。
かけ声を区別しやすいように、じゃんけんのかけ声そのものは「」でくくり、あとに続く()はあいこのかけ声だ。また地図上の黒文字のかけ声はアンケートの選択項目にあったものである。
ちなみに「じゃんけんぽい」は選択肢になかったが、じゃんけんぽん・じゃんけんほいと並んで、回答数が多かったので選択肢の仲間に加えることにした。
そしてピンク文字はアンケートに記載頂いたかけ声である。
目次
<< 東北地方 >>
■青森県
「じゃんけんぽん」、「きっきのき」、「お前も生きて、あと数年」、「お~えっき」
きっきのき(30代)「子供の頃に家族でじゃんけんをする際に父親が放った言葉です」
お~えっき(60代以上)「八戸市在住。こう言う人はほとんどいませんが、知る人ぞ知るという掛け声です」
■岩手県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「じゃんけんぽ」
じゃんけんぽ(40代)「『ん』がないだけですが、周りの友達もそれで育ってきたので『ん』まで発すると違和感あります」
■宮城県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「やっきっき」、「ちっけった」、「じゃんけんぽい」
■秋田県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「しゅんしゅのう~(う~、う~)」、「じゃんけんぽ」、「じゃんけんし~(あいこでぽん)」
■山形県
「じゃんけんぽん」、「ちっけった」、「グーパージャス」、「ちっけった(あいらっぴ)」、「じゃんけんき」、「まんだっつ」「きーきっきっき」
まんだっつ!(40代)「近所のおばあちゃんは『まんだっつ!』でした。由来は不明です」
きーきっきっき(未回答)「私の母は昭和10年生まれの山形県出身。姉が二人いたわけですが、幼い頃のジャンケンの掛け声は『きーきっきっき』だったそうだ」
■福島県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「ちっけった」、「グーパージャス」、「じゃんけんぽい」、「じっけっぴ(ぴっ)」、「じっけった」
<< 関東地方 >>
■茨城県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「ちっけった」、「グーパージャス」、「じゃんけんぽい」、「出さなきゃ負けよ、じゃんけんぽん」、「じっけっぴ(あいらっしょ)」、「じっけった」、「あいちょっち」
■栃木県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「ちっけった」、「ぐーちょーぱ」、「あいけんぐー、じゃんけんちっ(ちっちのち)」、「あいしょんき」、「じゃんけんき」、「じっけった」、「じっけった(あーあーだ)」、「じっけっと」
あいけんぐー、じゃんけんちっ(40代)「あいこの場合はちっちのち、ちっちのちと繰り返します」
じっけった(50代)「栃木県那須烏山市で生まれ育ちました。子どもの頃たまにこのように言ってました。先日、公園で小学生が同じように言ってジャンケンをしていたので受け継がれていると思います」
■群馬県
「じゃんけんぽん」、「ちっけった」、「グーパージャス」、「いんじゃんほい」、「ちっかっぽ」、「ちすかっぴ」、「じゃんけんぽい」、「じゃりけりぴ(あーっぴ)」、「グーチーパー」、「きっかっけ」、「おっちゃっち(ちっちっぽ)」、「ちっけった(はっけった)」
グーパージャス(40代)「あいこのたびに『ジャスッ!』を連呼」
■埼玉県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「ちっけった」、「グーパージャス」、「グーパージャス(アラジャス)」、「じゃんけんぽい」、「グーチョキパー」、「グーパー」、「グーチョー」、「やっかんきゅ」、「ちんげんどんがらがったじゃすかんぴーなっつかれーらいす」、「ちっけった(あ~らっぴ)」、「ちっけった(お~らっぴ)」、「あいけんぐー」、「じゃんけんまからか、すけらっち(すけらっち、ちっ)」、「じゃ~らっち(ちっちっ)」、「グッチョッパ」、「おっきゅって」、「あいけんち」、「ちっけっぴ」
■千葉県
「じゃんけんぽん」、「ちっけった」、「じゃんけんほい」、「グーパージャス」、「じゃんけんぽい」、「じっけった」、「ぐっちょっぱ」、「ちーれっぴ」、「ちっけっぴ」、「グーパーエス(アイオーエス)」
グーパーエス(40代)「あいこは、アイオーエス、その後のあいこはエスが続く」
■東京都
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「ちっけった」、「グーパージャス」、「じゃんけんぽい」、「ちっけっぴ」、「ちっけーの」、「ちけっぽっぴ」、「ちーれっぴ」、「ちーけっぽ」、「シンシャンション」、「じゃんけんぽっくりけっと馬のくそ(おいも)」、「じゃんけんじゃらけつほっかいどう(あいこでアメリカヨーロッパ)」、「じゃーらー ケツメド ほじくってホイ」、「じっけった」、「グーパージャン」、「グーチョキパー」、「じゃ~いけんでほい」
グーパージャス(50代)「東京都中野区でしたが、『グーパージャス』でした」
じゃんけんじゃらけつほっかいどう(60代以上)「特殊バージョン、一時的に流行った」
■神奈川県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「ちっけった」、「グーパージャス」、「グーチョキパーであーればいい」、「チッケッチンガラガッタガストンピー」、「じゃらけつほい」、「じゃんけんぽい」、「じっけった」、「ちっけっぴ」、「ぐっちっぱ」、「エッチスケッチワンタッチ」、「出さなきゃ負けだよ、最初はグー、じゃんけんぽん」、「じっけっぴ」、「ちいらっせ」、「じゃっけっぽ」、「ジャストンピーナツカレーライス」、「じっけんぴ(お~らっぴ)」、「じっけっぴ(ほ~らっぴ)」、「じすけっぴ(ほ~らっぴ)」、「じ~れっぴ」、「じ~れった(あいれった)」、「ぐっち~じゃん」、「グーパーじゃんけんじゃ~わっせ」
ちいらっせ(50代)「小学生の頃、自分ではないですがたまに同級生の男の子同士でこんな掛け声でジャンケンしてるのを聞いた事あります」
じっけっぴ(50代)「ちょっとヤンチャ系のこどもが使ってました」
<< 中部地方 >>
■新潟県
「じゃんけんぽん」、「ちっけった」、「じゃんけんほい」、「じゃーんけん じゃんけん じゃんけんぽん」、「よっおっえっ」、「ほーらいーほーらい、や」、「ホーライホーライホーライ、エス」、「はれ~ど~ちっ」、「チェロ子 キ●タマ なめた」、「ちぇろーえす(えす)」、「チェーロチェーロチェーロ、エス」、「ソーホーエス」、「じゃけっぽっぺ」、「じゃ~んけじゃんけんじゃんけんぽい」、「じっけった」、「ぎっちゃんえ~」
ちぇろーえす(50代)「新潟。新潟市。小学校まですんでた地域はこれが主流。『じゃんけんぽい』も理解はしているが、誰も使わなかった。ただ、中学で別の地域に移って以後、聞いたことがない」
■富山県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「じゃん、まの、けつ」、「じゃんけんち~( あいこでち~)」、「じゃんけんちっ(あいこでちっ)」、「じゃ~い~け~ん~でほ~い」、「やんまへっ」、「じゃんけんへ~ろ~、はっさんし」、「じゃんけんへーのはっさんし」、「じゃんけんち(あいこでち)」、「じゃいけんほい」
じゃん、まの、けつ(40代)「年配のおっちゃんに『じゃん! まの! けつ!』という掛け声をされたときがある
■石川県
「じゃんけんぽん」、「いんじゃんほい」、「じっけった」、「最初はグー、じっけった」、「じゃ~い~け~ん~でほ~い」
■福井県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「じゃんけんもってのヨーロッパ」、「じゃんけんもってほい(ほい)」、「じゃ~ん~け~ん~でほ~い(あ~らんま)」、「じゃ~いけんでほし(あ~ら~ほし)」
じゃんけんもってほい(60代以上)「あいこの時は続けて『ほい』です」
■山梨県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「じっけった」、「じっかんほい」
■長野県
「じゃんけんぽん」、「ちっけった」、「じゃんけんほい」、「いんじゃんほい」、「じゃんけんぽい(あいこでしょ、つけさんほい)」、「じゃんけんぽい(あいこでしょ、すけさんぽい)」、「じゃんけんぽい」、「じっけっぽ(あっけっぽ)」、「ぐっちっぱ」、「じゃんけんほいよ~じゃんけんほい」
ほ~りゃっほ(60代以上)「じゃんけんをする前提で合図としてこれを言いました。あいこも同じで勝負が付くまでこの掛け声を続けます」
■岐阜県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「いんじゃんほい」、「じゃんけんし」、「ほ~りゅっほ」、「じゃんけんぽい」、「じゃんけんええっと(まんだあまっと)」、「ぐっちっぱー」、「じゃんけんどんがらがってけつのあな、あな、あなにぬねのりまきへのかっぱ」、「じゃーんーけーんでほーい」、「ぐっとっぱ」、「ぐっぱ、ぐっぱ、ぐーっぱ」
■静岡県
「じゃんけんぽん」、「グーパージャス」、「ちっけった」、「じゃんけんほい」、「ちっけった」、「じっけった」、「あいけんぐー」、「あいけんぐー(ちーろっぺ)」、「ちっとっぺ」、「ちっとっせ」、「ちっけっとぅ」、「ちっらっちー」、「ちーらっせ」、「じゃんけんぽい」、「じゃ~あんけんのほいっ」、「じっけんた」、「じすとっぺ」
じゃ~あんけんのほいっ(40代)「沼津のじゃんけん。東京から沼津に転校したら、じゃんけんのテンポが違ってできなくて困りました」
■愛知県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「いんじゃんほい」、「ちっけった」、「いんちゃんほい」、「いんちゃんせ(せっせっ)」、「最初はぐちちのもんちっち」、「じんちゃんほい(あいこでほい)」、「じゃんけんぽい」、「じゃんけんでぽい」、「じゃんけんしょ」、「じっちゃっしょ」、「じっちゃっぐー」、「じっけった」、「いんちゃんし」
いんちゃんせ(50代)「40年前の名古屋の下町ではじゃんけんのことを『いんちゃん』掛け声は『いんちゃんせ』でした」
<< 近畿地方 >>
■三重県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「ちっけった」、「じゃ~い~け~ん~でほ~い」、「じゃんけんぽい」、「いんじゃんけん」、「じゃ~い~け~ん~でほ~い(しょ~ぶでしょ)」、「じっけった」、「いんじゃんち」、「いんじゃ~ちっちっち」
■滋賀県
「じゃんけんほい」、「じゃんけんぽん」、「いんじゃんほい」、「じゃ~い~け~ん~でほ~い」、「じゃんけんぽい」、「グーチョッパーでほい」
じゃ~い~け~ん~でほ~い(30代)「お笑い芸人ますだおかだの岡田さんもほぼ同じ掛け声でした」
■京都府
「じゃんけんほい」、「いんじゃんほい」、「じゃんけんぽん」、「いんじゃんでほい」、「じゃんけんぽい」、「じゃ~んけ~んでほ~い」、「じっけった」、「いんじゃんし~」、「じゃ~んけ~んじゃ~らけ~つ アイスクリームでヨーロッパ(しっしのしっ)」
いんじゃんし~(50代)「普通は『じゃんけんほい』ですが、カッコつけの子供の年代で『いんじゃんし~』と言っていました」
■大阪府
「いんじゃんほい」、「じゃんけんほい」、「じゃんけんぽん」、「ちっけった」、「じゃらけつおけつでいんじゃんほい」、「じゃいけんでほい」、「じゃいけんでほいぽんず」、「じゃ~い~け~ん~でほ~い」、「いぃ~ちゅうぅ~でほい」、「い~んじゃ~んでほっす~」、「じゃ~んけ~ん~で~ほっす~」、「いんじゃんじゃらけつケツむいてホイ」、「じっけった(あいこ)ヨーロッパ(あいこ)いも食うな」、「いんじゃんバケツでヨーロッパでほい」、「じゃ~ん~け~ん~で~ほ~い~の屁のか~っぱ~、負けて鼻くそ丸めていんじゃんほい」、じゃ~ん~け~ん~で~ほ~す~」、「い~んじゃ~んでほ~いの、サッポロビールの屁のかっぱ~の、東京タワーのぺっちゃんこ」
いんじゃんほい(50代)「後付で『いんじゃんじゃらけつケツむいてホイ!』てのもやったな」
じゃんけんぽん(50代)「同じ大阪府でも交野市は、じゃんけんの『あいこ』の掛け声が『あいこんです』」
■兵庫県
「じゃんけんほい」、「じゃんけんぽん」、「いんじゃんほい」、「グーパージャス」、「ちっけった」、「じゃいけんでほい」、「いんじゃんでほい」「どっこんでー(ほらでー)」、「でっちんげ」、「でっこんげ」、「でっこんぴ」、「でっちんほい」、「いんじゃんほす」、「じゃ~んけんでほ~い」、「じゃ~いけ~んでほ~い」、「い~んじゃ~んでほ~い(なってない~)」
い~んじゃ~んでほ~い(40代)「通常の『じゃんけんほい』や『いんじゃんほい』と違い、歌いながらするじゃんけんです」
しゅっけんほい(40代)「『じゃいけんほい』もよく聞きました。『しゅっけんほい』は男子がよく勢いよくやってました」
じゃっけんほい(50代)「播州地方のじゃんけんは『じゃっけんほい』で始まって、あいこの時は次に『おいしゅうわ、まめのこずい、いっしょのこ、よううれた』と続き、さらにあいこが続けば『おいしゅうわ』に戻る。せっかちなので、大抵は省略されて、『じゃっけんほい、わ、ずい、こ、た、わ…』となる」
どっこんでー(50代)「小学生の時、男子が使ってました。女子で使ってる子はいなかった。田舎の漁師町で漁師の子も多く、荒っぽい感じでした」
■奈良県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「いんじゃんほい」、「じゃ~い~け~ん~でほ~い」、「じゃ~い~け~ん~でぽ~い」、「い~んじゃ~んでほ~い」
■和歌山県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「じゃいけんほい」、「えっけんほい」、「えっきんほい」
<< 中国地方 >>
■鳥取県
「じゃんけんほい」、「じゃんけんぽん」、「やっきっき」、「じゃらけつマンドリル屁が出たぷ(あいこでぷ)」
じゃらけつマンドリル屁が出たぷ(60代以上)「小学生の頃に、この掛け声でじゃんけんしてました。あいこの時は「あいこでぷっ」って。ネット検索しても出て来ないけど…、 同じ掛け声でじゃんけんしてた人見つからないかなぁ」
■島根県
「じゃんけんぽん」、「やっきっき」、「じゃんけんほい」、「ちっけった」、「いんじゃんほい」、「やっきっき(あーらっき)」、「やっきのき●たまがはれつした」、「じゃんけんぽん(あいこでしょ、そのめでしょ、やっきっき)」、「じゃんけんでほい」、「最初はグー じっけった」、「ワンツッサイ」、「やっちっち」、「やすきすき」、「じゃんけんもってすっちゃらほい」、「じゃんけんぽい(あーらっぽい)」、「じゃんけんぽい」、「じゃんけんじゃらけつアイスクリーム」、「じゃのけのほっ(あーらっほ)」、「じっけった(あーらっしゃぃ)」、「じっけった(あーらった)」、「じっけった(あーらっじ)」、「きっきのき」、「いんじゃんせ」
やっきっき(40代)「佐藤記者と同学年の島根県人です。松江市です。あいこは『あ~らっき!』でした」
やっきっき(50代)「じゃんけんぽん!と、やっきっき!を同じぐらい聞いてきた島根県人です(笑)」
■岡山県
「じゃんけんほい」、「じゃんけんぽん」、「いんじゃんほい」、「ちっけった」、「りっちんた~」、「じゃいけんほい」、「り~しょ~た~(う~の~た~)」、「り~しょ~た~(い~の~た~)」、「り~まんた」、「り~しゃ~た~」、「じゃいけんぽい(じっけった)」、「じゃんけんせっ」、「じゃ~んけ~んでほ~い」、「じっけった」、「じっけった(あ~らっせ)」、「じっけった(あ~らった)」、「じっきゅうほい」
りーしゃーたー(60代以上)「あいこのときは『うーのーたー』、 あいこが続く際は『たー、たー、たー』」
■広島県
「じゃんけんほい」、「じゃんけんぽん」、「ちっけった」、「じゃんけんほい(あいこでしょ、じっしんけ、ヨーロッパ、しつこいね、じゃんけんほい)」、「じっけった」、「じゃんけんぽい」、「じゃんけんでほい」、「じゃんけんで、ほ~い」、「じゃんけんじゃがいもヨーロッパ」、「じゃんけんし」、「じっけっぴ」、「ぐっそんぱ」
じっけっぴ(40代)「広島県東部でこんなかけ声でした」
■山口県
「じゃんけんほい」、「じゃんけんぽん」、「いんじゃんほい」、「グーパージャス」、「じゃんけんしょい」、「じゃんけんもってすっちゃんほい」、「じゃんけんもってすっちゃんほい(あいこアメリカヨーロッパ、くるくるパーマのハゲあたま)」、「じゃんけんもってすっちゃんほい(あいこでアメリカヨーロッパ、パリーは7回大統領、りょうは漁師の魚釣り)」、「じゃんけんもってすっちゃんほい(あいこでアメリカヨーロッパ、パリは7階大都会 、インドの国は大屋城)」、「じゃんけんもって~すっちゃらほい」、「じゃすけすほす」
じゃんけんもって、すっちゃんほい(50代)「あいこの場合、以下に続きます。『あいこでアメリカヨーロッパ、パリは7階大都会、インドの国の大屋城』」
<< 四国地方 >>
■徳島県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「けんけでよ」、「うんこぽろりんちょのちょん」
■香川県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「じ~やん~ほい(あいこでほい)」
じゃんけんぽん(30代)「高松市街地ですが、支店経済の街ゆえ転勤族の子どもが非常に多く、こども時代は周囲にわりと色々な方言が混在していた印象です」
■愛媛県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「いんじゃんほい」、「じゃんけんぽい」、「じーやんポンがでてかみもってほい」、「いんじゃんえす」、「い~やんえす」
じーやんポンが出て紙持ってホイ(50代)「じーやん=爺さん、ポン=糞(愛媛の方言)、紙=トイレットペーパー。ローカルかもしれませんが普通に早口でリズミカルにやってました」
■高知県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」」、「じゃんけんほい(ぞぉ~ね)」、「ぐとぴとぱ~のそろいぞね」
ぐとぴとぱ~のそろいぞね(40代)「おぼろげな記憶ですが…『ぞね』は土佐弁です」
<< 九州地方 >>
■福岡県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「いんじゃんほい」、「グーパージャス」、「出さんと負~け、じゃんけんし」、「どっこいし(しっ)」、「じゃいけんどっこいし(しっ)」、「じゃんけんぽい」、「じゃ~んけ~んでほ~い」、「じゃんけんち」、「じゃんけんし、どっこいし」、「じゃんけんし」、「じゃんけん、ださんがまーけのもんくなし」、「じゃ~あいけんでし」
じゃんけんもってーし(40代)「じゃんけんし、じゃんけんしょ、とも。『じゃんけんもってし』の時は、『じゃーんーけーんもってぇし!』と長めに伸ばすのがポイントです」
どっこいし(50代)「35年前の福岡県北九州市小倉でのかけ声です」
■佐賀県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」
じゃんけんぽん(40代)「『最初はグー、最初は気合のグーだろがい!』、あまり聞きませんが、全国に分布があると信じています」
■長崎県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「出さんば負~けのいっちょんさん(さんさんさん)」、「じゃんけんち~よ」、「じょす、こい、し(しっしっ)」、「じゃすこいち」
じょす、こい、し(50代)「あいこの時は『し! し!』と繰り返す。御花畑さんと同じ長崎県ですが、私は長崎市南部の田舎の方です」
じゃいけんぽっくりこの馬のクソ(50代)「あいこは『馬のクソ』を繰り返すが、普通に『じゃんけんぽい』の時も有り、その際のあいこは同郷の御花畑さんと一緒で、『しょ』が続きましたね」
■熊本県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「じゃんけんし~」
■大分県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「じゃんけんし」
じゃんけんし(40代)「小学校によって結構違う感じでした中学になって知る違いが多かった」
■宮崎県
「じゃんけんぽん」、「いんじゃんほい」、「じゃんけんつす(あいこでつす、ジンジンつす、つす)(あいこでアメリカヨーロッパ、ジンジン時計は今何時?)」、「いんじゃんほい(軍艦(グー)沈没(チョキ)破裂(パー))」
じゃんけんつす(50代)「延岡市で子供の頃はもっぱらコレでしたね。つす! ロングバージョンは『あいこでアメリカヨーロッパ、ジンジン時計は今何時?』でした」
■鹿児島県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「いんじゃんほい」、「じゃいけんおし(あいこでおし)」、「じしけった」、「いんじゃんほい(あいこでしょい)」
いんじゃんほい(50代)「あいこのときは『あいこでしょい!』」
<< 北海道・沖縄 >>
■北海道
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「やっきっき」、「ちっけった」、「じゃんけんしょ(あいこでしょ)」、「せーのこりゃ(ほっほっほ)」、「えいよっせ(せっせっ)」、「あいけんぐー」
せーのこりゃ(30代)「あいこの場合はホッホッホ、ホッホッホはランダムなリズムでいつ出せばよいかわからない」
じゃんけんしょ(60代以上)「あいこは『あいこでしょ!』です」
■沖縄県
「じゃんけんぽん」、「じゃんけんほい」、「じゃ~んじゃ~んじゃんけんし~(し~)」、「最初はシーサー、じゃんけんぽん」、「最初はぐっちょん、ばっきんほい」、「ぽっくんちょり」、「じゅんけんし」
じゃんけんしー(40代)「今はじゃんけんぽんでやってますが、小さい頃は『じゃんけんしー』と言っていて、『最初はグー』のように、じゃんけんを始める前の掛け声的なやつで、『じゃーんじゃーんじゃんけんしー』と言っていました」
じゃ~んじゃ~んじゃんけんし~(40代)「記事を読んでいて、子供の頃の記憶がうっすら戻りました」
・特徴的なかけ声
どうですか、皆さん! めちゃくちゃあるでしょ? 「やっきっき」はたしかに個性的ではあるけど、それにも勝るものが山のようにある。
特徴的なものをいくつか挙げさせて頂こう。まず新潟の「チェーロ、チェーロ、チェーロ、エス」。これと同じようなものが新潟にはいくつか存在している。
それから兵庫の「どっこんで~」「でっちんげっ」。他の地域に類するもののない、独特なかけ声だ。50代からの回答が多かったので、もしかしたらその世代が子どもの頃に、流行り言葉のようなものがあったのかも。
そして山口の「じゃんけんもってすっちゃんほい」。「すっちゃんほい」は何を意味しているのだろうか? 他県に似たものがないので、山口で育まれたものかも。昔やテレビやラジオの影響だろうか? 「あいこでアメリカヨーロッパ」も、あまり他県では見られない。
参考までに、あいこのかけ声「あいこでアメリカヨーロッパ」はその昔、広く分布していたらしい。加古里子著「伝承遊び考 4 じゃんけん遊び考」でそのことに関する記述があるのだが、今回はじゃんけんそのもののかけ声のみにとどめる。あいこまでひも解くと、大変なことになりそうなので……。
・ドリフターズの影響について
地域のかけ声は実にさまざまではあるが、古くからその土地で継がれるかけ声を知る世代は、ある年齢層から上であることがわかる。
おおむね40代以上が地域で浸透していたかけ声を知っており、それ以下の世代は「じゃんけんぽん(じゃんけんほい・じゃんけんぽい)」に統一されている気がする。
これはおそらく、昭和を代表するコメディアン志村けんさんおよびドリフターズの影響ではないかと考える。というのも、今では当たり前に使われている「最初はグー」が、日本のじゃんけんを統一してしまったのではないだろうか?
じゃんけんの前段のかけ声「最初はグー」は、志村さんが初めてテレビで披露したものだ。TBS系の「8時だヨ! 全員集合」(1969~85年)の「じゃんけん決闘」において、仲本工事さんとじゃんけんで対決するというコーナーがあった。
じゃんけんのタイミングを合わせるための合図、それが「最初はグー」だったのである。
全員集合は今さらいうまでもなく、ドリフの名を世に知らしめた超人気番組。当時の子どもたちが夢中になったバラエティである。2人の真似をして「最初はグー」と叫んだ子どもたちが、今の40~50代だ。その世代以降は「最初はグー」が当たり前となっているわけだが、それ以前はなかったものだ。
したがって、日本のじゃんけん史を考えるときに、「ドリフ以前」と「ドリフ以後」を明確に分ける必要がある。ドリフは日本のじゃんけんを統一してしまったのだから。そう考えると、ドリフターズがいかに偉大であったか、改めて思い知らされる。
ちなみに今回の集計には、ドリフの影響を考慮して「最初はグー、じゃんけんぽん(じゃんけんほい・じゃんけんぽい)」を省かせて頂いた。先に述べた通りに、このかけ声は全国に分布しており、今のスタンダードだ。
・じゃんけんかけ声マップ
47都道府県、全国津々浦々から集まったじゃんけんのかけ声。あなたの地域のものもあっただろうか?
もしリストに含まれていなければ、本稿のアンケートにご回答頂き、そのかけ声を教えて頂きたい。今後も調査を継続して、全国のじゃんけんかけ声マップを制作したいと考えている。そして各地のかけ声の境目を地図上に記すのが私の夢である。
それからマイナーなかけ声の由来や語源、そしてどのような道筋でひとつのかけ声が各地に伝播していったかについても調べたい。また、今の子どもたちの間で、どれほどこれらのかけ声が残っているのかについても興味がある。
子どもの口伝(くでん)で爆発的に広まり、些細なきっかけで淘汰されてしまう。大胆で繊細なコミュニケーション言語。それがじゃんけんのかけ声である。その特殊性を今後も追求していく所存である。繰り返すが、引き続きアンケートのご協力をお願いします。
参考リンク:三省堂「都道府県別 全国方言辞典」、加古里子「伝承遊び考 4 じゃんけん遊び考」
執筆:ローカルじゃんけん研究家 佐藤英典
イラスト:Rocketnews24