首を痛めて寝込んだ友達の様子を見舞いに行ったら「カレー食べる?」と言われた。なんでも私が訪れる直前まで彼氏が来ていて、鍋いっぱいのカレーを作って帰ったのだそうな。なんてイイ彼氏なんだ!
鍋のフタを開けてカレーを見ると……明らかに大量のシイタケとエノキが浮いていた。私は一瞬たじろぐも、「そういう文化圏もあるのかな?」と思い直し、おそるおそる一口。すると……な、なんじゃこれ!?!? めちゃめちゃウマいやんけェェェエエエエエエ!!!!!
・なぜあの時
「うまい、うまい」と2杯食べ、友達の家を後にした数日後。私は激しい後悔に襲われた。なぜあの時、写真を撮っておかなかったのだろう? 写真があれば、あのカレーをこっそり再現できたかもしれないのに。あの友達の彼氏のカレーを、もう一度食べたい……!
私は迷惑を承知で「彼氏にレシピを聞いてほしい」と友達に懇願。結果、快く教えていただいた材料は以下のとおりである。イイ彼氏だよなぁ。
・ジャワカレー(辛口) 1箱
・じゃがいも 2個
・たまねぎ 1個
・にんじん 1本
・カボチャ 8分の1個
・とんかつ用ロース肉 2枚
・しいたけ 大6個以上
・えのき 1袋
・まいたけ 1パック
・バター 1かけ
なお、これはジャワカレー裏面に記載された「模範的な作り方」を完全に無視した分量。カレー作りって、分量を無視してからが本番みたいなとこあるよね!
特筆すべきは、カレーの具材としてあまりスタンダードとは言えない「しいたけ」と「えのき」。カボチャが入っていたとは意外だ。そして5月某日。私は自宅に友人を呼び出し、一緒に『あの日の彼氏のしいたけカレー』を再現してみることにしたぞ。
・が、悲報
ところが、ここで衝撃の事実が判明する。なんと友達の彼氏がカレーにしいたけを入れたのは、あの日が人生で初めてだったらしいのだ。
てっきり実家の秘伝レシピか何かだと思っていたのだが……『あの日の彼氏のしいたけカレー』は、友達の彼氏が長年に渡る自炊の果てに、つい最近「しいたけを入れればなんでもおいしくなる」という結論にたどり着いた末の産物なのだという。
そんなワケで、これから作ろうとしているカレーに正確なレシピは存在しない。友達が彼氏に聞いた「確かこう作った気がする」という話を元に再現するしかないのである。不安しかないが、頑張ってあの日の味を思い出してみよう。
まず豚肉は、とんかつ用を1cm幅に切る。
それをバターで炒め、薄切りたまねぎとコショウ(適量)も投入し炒める。
根菜類の切り方はこんな感じ。けっこう小さめにカットするのがポイント。
材料が浸かるくらいまで水を入れ、柔らかくなるまで煮る。規定の分量を考えると卒倒するほど水が少ない。
・しいたけ投入
ここでキノコ類を投入。しいたけ7mm幅、えのき4等分、まいたけは適当に。
友達の彼氏いわく「しいたけは大きめのやつを最低6個入れて」とのこと。ここは譲れないポイントらしい。
あふれる寸前のキノコに若干引いたが……
5分ほど煮込むと、ずいぶんかさが減った。キノコってこんなに水分が多かったのか。さらに煮込むと、尋常じゃない量のアクが出た。しかし友達は「彼氏はアクを取らない主義だ」と言う。目的はあくまで “あの日のカレーの再現” 。ならばアクは取るまい。
そこへジャワカレーを1箱全部投入し……
弱火で15分コトコト煮たらできあがり!
・結果は……?
「あの日」と比べると若干水分量が多い気がしたので、しばしフタを外して水分を飛ばす。そして完成形が……
コレ!!!
見た目の再現度は相当高い!!!!!!
さっそく「あの日の味」を知る私と友達、そしてたまたま居合わせた無関係の友達の3人で『再現しいたけカレー』を実食してみることに。
あの味を知る友達「かなり近い。でも、やはり水分が多い気がする。あと具材が半分溶けているので、煮込みすぎたかもしれない。」
私「たしかに水分が多い。だいぶいいセンいっているが、あの日のカレーを超えてはいない。でも研究を重ねれば、完全再現できる日も遠くなさそう」
無関係の友達「うまい、メッチャうまい」
……という結果になった。
ちなみにこのカレーを一晩寝かせたところ、今度は水分が減りすぎ、味の濃さが許容値を超えた感があった。なんとも奥が深いらしいことが判明した「友達の彼氏が作ったしいたけカレー」である。
まぁ読者にとってはあまり関係のない議論だが、とにかく1つだけ言えるのは「カレーにしいたけを入れるとメッチャおいしい」ってこと! これだけは確かなので、今度と言わずに今週末あたり、ぜひ試してみてね〜!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.