皆さん、ゴールデンウィークはしっかり休めましたか? 観光に出かけられた方は、「かえって疲れがたまった」なんてこともあるかもしれませんね。私は自宅でゴロゴロしているうちにお休みが終わっちゃいました(笑)。どうもこんにちは、佐藤です!
今日はリクエスト頂いた、東京・中央区のコミュニティバス「江戸バス」でのぶらり循環です。さて、どんな景色に出会えるのかな? それじゃあ、さっそく行ってみましょう。レッツゴー!
・江戸バス
このバスは2009年より、日立自動車交通が委託運行している循環型のコミュニティバスです。北順庵と南循環の2路線を運行しており、いずれも中央区役所を中心に北と南を走っています。今回はその南循環に乗って街をめぐります。
南循環は、中央区役所を発車すると築地場外市場を通って北上し、中央大橋から佃を経由して月島を抜け、晴海を経由して勝どき橋から再び築地・中央区役所へとかえって行きます。土・休日は東銀座方面がそのルートに加わります。
さて、中央区役所前に来ましたよ。バス停は役所のすぐそばのはずなんですが~……。
あ! もう来てた。しかも北循環も南循環もそろって待っていますね。しかもこの車両は、循環バス界のエース的存在、日野自動車の「ポンチョ」ですね。
時刻表を確認しておきましょう。朝7時から最終便の18時40分まで20分おきに走っています。わかりやすい! ちなみに運賃は大人が1回の乗車で100円。1日券は300円となっています。
それにしてもポンチョは良い車両ですよね。大きすぎず、小さすぎない。それでどことなく可愛らしいじゃないですか。私は好きですよ、ポンチョ!
ポンチョよ、今日もステキな出会いを演出しておくれ。それじゃあ、出発進行!
・築地の思い出
乗ったばかりですが、2つ目の停留所「築地本願寺」で降りました。バス停のある場所は厳密には「備前橋跡」と言われる場所ですね。元は川だった場所を埋め立てて公園にしたそうです。こういう川跡を緑化したり公園にしている場所、都内には多いんですよねえ。「緑道」といわれる場所は元が小川だったりします。
近くに備前岡山藩があったことが、備前橋の由来だそうですよ。
築地本願寺にやってきました。ここも都内でも屈指の観光スポット。外国人観光客が多いですね。
本堂は古代のインド洋式をモチーフにしているそうです。築地の顔として親しまれていますが、よくよく考えると、建物が日本的でないところが非常に興味深いです。でもなぜか築地らしくも感じる。不思議ですね……。
ここに立ち寄ったのには、個人的な理由がありまして~……。今からちょうど30年前、私が21歳の時に訪ねた、思い入れのあるお店があるんですよ。正確には “あった” んですよ。
そのお店は「太平山」と言います。おでんとお酒しかないお店で、当時ヒッチハイクで旅をしていた私は、フラリとそこに立ち寄ってしまったんですよね。そのことを日記にこう記しています。
「太平山に寄る。(食事をしたかったのに)おでんしかなくてしまったと思ったが、店のばーちゃんがいわゆるチャキチャキの江戸っ子で、とめどない弁論を……」
その時、お客さんは私しか居ませんでした。当時の私は挨拶もまともにできない小僧っ子だったんですけどね、女将さんはそんな私に、ご自身の経験やお考えを切々と説いてくださったんですよね。
きっと頼りない私を見て、励ましてくださったんじゃないかと思っています。そのお話ぶりは今でもしっかりと脳裏に焼き付いています。けど、残念ながらお店はもうありません。「もう1度来よう」と思っていたんですけど、私が上京した頃(30歳)にはもうなかったのかもしれませんね。
お店はこの辺だったと思うんだけどなあ……。「人情味溢れる築地で上手なお買物」、たしかにあの時、女将さんの人情を感じました。
ついでに思い出したんですけど、太平山に行ったあとに築地で野宿をする羽目になったんですよね。ヒッチハイクの旅でしたから、遠方を走るトラックに乗っけてもらおうと思って築地に来たけど、そんなにカンタンに乗せてもらえる訳もなく……。
どこかで野宿しようとしてたら、知らないおじさんに駐輪場の屋上なら大丈夫って教えてもらったんですよね。
「車がつかまらず築地泊。通りすがりのおっちゃんに良くしてもらった。駐輪場の屋上を教えてもらったし、ダンボールを取ってきてもらったし、コーヒーをもらった。カチドキ橋の景色は良かった。ダンボールは暖(温)かい」
デカいリュックとギターを抱えた見知らぬ小僧に、やさしくしてくれたおっちゃん。今の自分はそんな風に知らない若者にやさしくできている気がしません。あの時はありがとうございました。
その駐輪場、たしかこの辺だったと思うけど、それももうなくなってしまったのかも……。
なんかしんみりしちゃいましたね……。気持ちを切り替えて行きましょう! まだ今回の旅は始まったばかり、朝からしんみりしてんじゃねえよ! 俺!!
さて、お昼にはまだ早いのでコーヒーでも一杯頂くとしましょうか。ちょうど我が家の豆もなくなったので一緒に米本珈琲本店で買っちゃいましょう!
家用はモカを200g(税込1460円)、ここで飲むのはグァテマラ(税込640円)です。
ハンドドリップの淹れたてコーヒーは、澄み切っていて美味しいですね。海産物だけでなく、コーヒーでもお茶でも乾物でも、良いものがあるのが築地の良いところですね。
・隅田川を越えて
コーヒーでリラックスしたところで、次の停留所まで歩いて来ました。次は「あかつき公園」です。
停留所に置かれた丸椅子がカワイイですね。パンダちゃんを踏んづけるのが可哀そうなので、私は座れません。立ってバスを待ちましょう。
ふと見ると、ここがあかつき公園ですね。今どき珍しく、遊具が豊富で良い公園ですねえ。
こういう土管、初めて見るかも!? ドラえもんで出てくるような大きい土管、ジャイアンが座っている姿が想像できます。
子どもの頃、公園にこんな立派な土管があるところを見たことがなかったので、あれは架空の設定だと思っていました。ホントにあるんですね!
土管に感心していたら、バスが来ました。次の目的地は少し先なので、しばらく乗りっぱなしですよ。
中央大橋から隅田川を渡って、佃に入ります。画像が緑色がかって見えるのは、窓に張られたフィルムの影響なのでご容赦ください。
月島は今回スルーします。美味しそうなもんじゃのお店もいっぱいあるんですけどね。
続けて、朝潮橋から朝潮運河を渡って、晴海方面へ。
東の方を見ると……、飛行機! 羽田空港も近いですもんね。お~い! 飛行機~!! どこまで行くだ~~ッ!
晴海ふ頭公園まで来ました。夜景がキレイなことで有名な公園ですね。昼は昼で空が高く開放的で気持ち良さそうです。でも通過します……。
実はここまで結構長い時間乗ってるんですよね。江戸バスは停留所の数が多いうえに、乗り降りが頻繁なんです。他の路線なら、平日は通過する停留所も多いんですけど、この路線は利用が活発なんですね。
おそらく街の歴史が古く、聖路加国際病院や聖カタリナ病院がある関係で、高齢者の足として活用されているようです。
・穴場のマグロ丼とスイーツ
目的地の「豊海町」で降りました。たしかこの辺に美味しいマグロ丼の食べられるお店があったはずなんですけどね。
それらしきお店は~…………。
あった! 突然あった!! 水産業者の冷蔵施設が立ち並ぶエリアに急に飲食店が出現しました。「マグロ卸のフィッシャリーズテラス」、ここに来たかったんです。
ここは卸業者の運営する飲食店で、普段は海鮮丼メインのセルフのお店。週末の夜はカジュアルダイニングとして営業しているようです。
メニューを見ると、丼ものが中心ですね。魚だけでなく、ローストポークやローストビーフも提供しています。
券売機で食券を購入するとカウンターで番号を呼び出してくれる、フードコード形式で営業しています。券売機が1台しかなく、意外と外国人のお客さんも多いので、平日でもやや混雑しています。
手作りの店内はまるで海の家。目の前には朝潮運河が流れています。まさかこんなお店が中央区にあったとは……。
すぐそばに東京海洋大学の「汐路丸」が停泊しています。なかなかの迫力!
注文したマグロ丼、価格は税込1000円です、最近はインバウンド需要を狙って、観光スポットはどこも値上げをしていますよね。豊洲なんか6000円もする海鮮丼を出していますからね。それと比べればめっちゃ良心的!
マグロは肉厚で食い甲斐バツグン! 鮮度良好で味は申し分ありません。築地や豊洲に行くより良いかも!
丼もさることながら、意外だったのがフレンチトースト(税込900円)です。これがかなり本格的!
提供まで12分程度かかりますが、その分、味はしっかりしています。
トーストを卵液に漬け込み、スキレットでじっくり焼き上げ。丼屋さんのスイーツとは思えない美味しさです。上品なオシャレカフェで食べるクオリティですよ、コレは。ぜひ丼と一緒にスイーツもどうぞ。この日は品切れだったプリンも美味しいらしいですよ!
・勝どき橋
先ほど晴海ふ頭公園はスルーしましたけど、やっぱり間近で海を見たいですよね。だから、歩いていきましょう。豊海埠頭・豊海水産埠頭・月島ふ頭はすぐそこですから。
海際は立ち入り禁止の場所もあるので、訪ねる際はお気をつけください。ですが、海を見るには十分のロケーション。レインボーブリッジも端から端までよ~く見えます。
東京海洋大学の船がここにも! 「海鷹丸」というそうです。船っていいですよね、1度船旅を経験して以来、船の方が飛行機よりもワクワクするんですよね。海原をゆっくり航行する感覚は飛行機では味わえません。波に揺られる心地よさ!
勝どき橋に向かって歩く道すがら、こんな船も見かけましたよ。「小笠原村一般廃棄物運搬船」ですって。島で処理できないゴミを運んでいるんですかねえ。
勝どき橋まで歩いてきました。この橋、好きなんですよね。日本でも数少ない「跳開橋」として現存しています。今ではもう動くことはないんですけどね。
現在は塗装工事中で、その全貌を見ることができませんでした。残念……。
橋の運転室等は、国の重要文化財(建造物)に指定されています。
跳開時に使用されていたと思われる、道路信号はそのまま残っています。ずっと残しておいてほしいですね。
この橋の継ぎ目から、跳ね上がったんでしょうね。すごい迫力だったんだろうなあ。可能なら1度で良いから見てみたいものです。
・変わらず人情のある街として
再び築地場外に戻ってきました。時間は14時過ぎ。魚河岸の時間としては遅い方なのですが、相変わらず人が多いですね。すでにお店は片付けを始めています。
最後にもう1軒、「喫茶マコ」に寄って行きましょう。ここは海鮮雑煮の食べられるお店なんですが……。
「只今準備中」、遅かった! バス旅なのにチンタラ歩ていたら、閉まってしまいました。く~……、もっと私の足が長ければ……。
そんなこともあろうかと、もう1軒目星をつけていたお店があるんです。表の通りからは見えにくい「甘味喫茶胡蝶」。こちらに寄らせて頂きましょう。
今回の旅のシメに「クリーム白玉ぜんざい」(税込750円)を頂きますよ。ぜんざいの口直しに花型にあしらった酢漬け大根と梅がついています。ささやかな付け合わせですが、季節感があって良いですね。
今日は日差しが強く暑かったので、アイスクリームがとても美味しく感じられます。餡子の上品な甘さともっちりとした白玉の食感。心が和みますね。
食べ終えて、女将さんと少し世間話。築地市場跡が大きなスタジアムになると報じられていることについて、「どうなっちゃうんでしょうねえ」なんて仰っていました。豊洲への移転でも大きく街の様子が変わったのに、さらにスタジアムができるとなると、今までの築地の良いところが損なわれないか心配になります。
30年前に私が触れた「人情」、それがいつまでも残る街であってほしい。にぎわいだけではない、人のぬくもりがある場所、そんな築地のままで。勝手ながら、そう願っています。
さて、後半はほぼ歩きでした。もう少しバスに乗らないと、バス旅の意味がなくなってしまいますね(笑)。次はもう少しがんばります。
そんなわけで、都合3時間半の旅でした。築地だけでなく、佃・月島・晴海・豊海なども見ごたえのあるエリアです。ぜひ1度訪ねてください。それでは次の循環バスでお会いしましょう。ごきげんよう~!!
参考リンク:江戸バス、米本珈琲店、マグロ卸のフィッシャリーズテラス、築地胡蝶
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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