ミスドと言えばドーナツ。ドーナツと言えば、まあまあミスド、時々その他の企業。そういう認識で生きてきた。
新作が出る度に食べに行く常連にもかかわらず、ドーナツではないメニューに手を出したことが無いのだ。
ちょっとした軽食を出していることは把握しているが、店に行くとデブの本能でドーナツに走ってしまう。ほら、今日も無意識的にドーナツを買ってしまった。しかし何事も未経験のまま放置するのはよくない。
・ミスドの飯
ということで、ミスドの未知のゾーンへ。どんな料理があるのか見ると、今は冷麺のようなもの3品がウリらしい。ようし、せっかくなので全制覇してみよう。
ちなみにこれらは4月3日から登場していたもよう。全てオーダーして待つことしばし。届いたのがこれだ。
なるほど、そういうサイズ感か。ビジュアル的には一般的な定食屋等の1品料理を0.8倍くらいにした感じのボリュームだ。
少なすぎるということではなく、本当に軽い食事で小腹を満たすというようなスタンスを感じる。
元より店内の雰囲気も、私のようなおっさんがガッツリと全力で1食分腹いっぱいになるまで食うような場としてデザインされてない気がするしな。
軽く何かを口にしながら、緩やかな歓談の時間を過ごすことを前提としてそう。そして私を除く他の全ての客は、おおむねそういう感じ。
・甘辛
イートインエリアであまりの異質さに目立ってしまっている感が否めないが、落ち着いて1つずつ食べていこう。まずは「豚肉と根菜の甘辛涼風麺」だ。
レンコンなどの根菜がそれなりに入っている。ヘルシー感。
甘辛ということだが、辛みは驚くほど抑えられている。ほんのわずかに喉にピリッとくる程度。おそらくだが、意図的に辛さをおさえまくっているのではなかろうか。
辛いものに対する耐性がだいぶ低い客層を意識している気がする。子供なども含めて。そして味付けや見た目に漂う、まあまあなオサレ感。
・海鮮
続いては「瀬戸内レモン海鮮野菜涼風麺」を食べてみよう。見るからにあっさり&さっぱりで、ヘルシー感の強めなオーラを纏っている。
海鮮は、目視できる限りではエビとイカ。
「豚肉と根菜の甘辛涼風麺」の辛成分がだいぶ抑えられていたのに対し、こちらのレモン風味はしっかり効いている。酸味には寛容のようだ。
もちろん酸っぱすぎるというものではなく、他の風味に負けない程度の強さがあるということだ。非常に爽やかで、4月なのに夏のように暑いここ最近の日々によく合う。
・担々
最後は「胡麻豆乳坦々涼風麺」だ。
けっこう赤い。これはさすがに一般的な基準での辛さなのではないか……と思ったが、そうでもなかった。
「豚肉と根菜の甘辛涼風麺」よりは辛いように感じるが、どちらかというと豆乳のマイルド感が勝っている。非常に優しい辛さだ。
やはり「辛さ」というものの扱いに対し、だいぶ抑えめな調整を施しているように思えてならない。きっと顧客層に合わせた戦略だろう。
私は他の記事では……例えば松屋のごろチキに対し、特別その辛さに騒いだりしない。あの程度は注意喚起が必要なレベルではないという判断で、読者層の平均的な辛さへの耐性も、おおむねそれくらいだろうという認識があるからだ。
私の辛さに対する判断基準がそういう感じなので、ミスドのこの味付け具合は非常に新鮮に思えた。普段私が食事に利用する店だと、ミスドの「辛い商品」レベルの辛さはノーカン扱いな可能性すらある。
しかしそれが世の常識ではないことも把握している。私のように記事で色々とレビューしていると、辛かった記憶の全く無いものに対し「食べてみたら辛かった」みたいな反応を見ることがあるのだ。
その層は、大多数ではないと思うが、しかし総数で見ればけっこうなものになると思われる。
そしてミスドの味付けの基準は、そういう層にリーチしている気がする。なお、辛さの扱いの繊細さに驚いたがゆえにそこにばかり注視したが、トータルの美味さ的には間違いないものだ!
いやぁしかし、非常にマイルドで刺激の少ない味付けで、小腹を満たすか満たさないか程度のささやかなボリューム、そしてヘルシー感あるフード群。
普段私が好んで食べる、ゴリゴリな味付けに、限界突破したボリューム、そしてジャンク感あるフード群と比べると、もはや異世界。常連の店のスルーしていた側面が、こうも見知らぬ世界だとは思わなかった。やはり何事も試してみるべきだな。