ロケットニュース24

【コラム】友達がひっそりと “ 推し ” と結婚していた話

2024年1月21日

好きなアイドルやミュージシャン、タレント、アニメキャラなど「推し」という存在がいる人は多いと思う。

いまや一億総推し活社会といっても過言ではなかろう。推しとは遠くから眺め、応援するもの、決して手の届かない存在……。

の、はずなのだが、なんと「推し」と結婚する人がいるのだ。というか、私の友人がいつのまにか推しと結婚していたのである!

特定を避けるためにフェイクを入れながら話をするが、私は友人たちとよく音楽やお笑い、カルチャー系のトークライブなどに通っていた。

推しと結婚した友人をAちゃんとする。ちなみに私が推していた人と、Aちゃんが推していたのは別人である。

Aちゃんの推しと私の推しが共演する機会なども多かったので、よく一緒にイベントなどに行っていたのだ。

「推し」と一言で言っても、タイプはいろいろ。ガチ恋寄りの「きゃー! かっこいい!」というのもあるけれど、見た目は度外視で才能や作品に惚れ込んで追いかける場合もある。

彼女は完全に後者のようだった。そもそも彼女の推しはイケメン売りの人ではなかったこともあり、「もし〇〇と付き合えたら」とか「〇〇さんって彼女とかいるのかな〜」みたいな話をすることもなかった。

むしろガチ恋寄りのファンを毛嫌いしているような空気もあった。



・結婚したらしいけど……

で、そんなある日、彼女の「推し」が結婚したらしいという話が入ってきたのである。

恋愛対象として見ているわけではなかったので「〇〇さん結婚したらしいね〜」「めでたいね〜」なんて、仲間内で軽く話題になった程度であったのだが……。


数ヶ月経ってから、Aちゃんの推しがYouTubeで自ら結婚について語る場面があり、事件はそこで起こった。

一緒にイベントに通っていたBちゃんから「〇〇さんが話してる奥さんの特徴、完全にAちゃんと一緒なんだけど」とLINEが入ったのである。

びっくりしてYouTubeを見てみたら、たしかに出身地から年齢、職業、趣味、似顔絵に至るまで、どう考えてもAちゃんと同一人物としか思えない内容だった。

しかも交際は3年以上におよび、同棲もしていたのだという。Aちゃんに彼氏がいる話すら聞いてなかった我々は、まったくもって寝耳に水である。



・匂わせ完全にゼロ

たしかにAちゃんは、推しの出るイベントに足繁く通っていた。推しが主役級のときはもちろん、ゲストで呼ばれるレベルとか、地方で行われるイベントにも行っていた。

何年も一緒にいたけれど、土日は推しの追っかけ活動に費やし、イベントが終わったら私達と食事していたので、彼氏がいるような気配も感じていなかった。

そもそも推しを男として見ているような発言も一切なかったし、スゴイのがいわゆる匂わせ発言のようなものも全くなかったことである。当然、結婚したって話も聞いていない。

芸能人などと付き合う女性のことを「プロ彼女」というけれど、ここまで隠し通せるなんて、プロ彼女中のプロ彼女じゃないか。



・まさかの結末

しかしまあ、何年も友達付き合いしていたのに、まさか推しのYouTubeから友人の結婚を知るとは思わなかった。

友人としては、めでたいので祝いたい気持ちと、今までのことを根掘り葉掘り聞きたい気持ちがある。

しかし、Aちゃんはどう考えても推しとの結婚を私達に隠しているわけで……。友人として、知らないふりをすればいいのか、何が正解なのかをBちゃんと悩んだ。


結果的にBちゃんが「〇〇さんと結婚したのってAちゃんだよね?」とLINEを送った。


さて、Aちゃんは一体なんと答えるのか……


私達はかたずを飲んでグループLINEの返信を待った。


「ついにバレたか〜! 実はそうなんだよね!」


と、明るく返事が来るものだと思っていた。そうであったほしかったが……


何時間経っても、何日経ってもAちゃんからの返信はなかった。


その後も、別の用件などでグループLINEに投稿することがあったのだが、Aちゃんからは既読すらつかなくなってしまった。

共通の友人たちとも話をしたが、みんなAちゃんからLINEの既読がつかなくなったと言っていた。

Aちゃんは結婚を機に、既知の友人たちとの付き合いを完全に断ったと考えられるのである。

推しと、いや、芸能人と結婚するというのはそういうことなのだろうか……。



・固い意思と決意

ちなみに、Aちゃんの推し……あらため旦那さんは、最初は無名だったけれど、今ではテレビに出るようになっている。

きっと、Aちゃんはいろんなことを考えて、交際していることも結婚したことも私達に言わず、友人たちとの付き合いを断ったのだと思う。

ひょっとしたら、いちいち説明するのが面倒だったり、気まずくなっただけかもしれない。だけどそれは全部憶測でしかない。

今では子供が生まれたとか、妻にこんなことを言われたと家庭のエピソードを推しが語るのを見て、Aちゃんの近況を知るという不思議な状態が続いている。


さて、Aちゃんはロケットニュースの読者だったから、いつかこれを読むことがあるんじゃないかと思う。

盛大に祝うつもりでいたんだけど、お祝いの言葉がかけられなかったので、この場を借りて祝辞を述べさせてもらう。

Aちゃん、本当に結婚おめでとう! ビックリしたけど、みんなおめでとうって言ってるよ! ずっと幸せでいてね!

でも、Aちゃんと馬鹿話ができないのはさみしいから、いつか気が変わったら連絡ちょうだいね!! 待ってるからね〜!


執筆:御花畑マリコ
Photo:いらすとや

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