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「ぱすたかん」に行っても、パスタ料理を食えない理由が実に興味深い

2023年11月24日

「パスタ」とはイタリア発祥の小麦粉料理のことを指す。「パスタ」と名のつくお店にいけば、スパゲッティをはじめとする麺を出すところがほとんどで、まれにシェル型のコンキリエ(コンキリオーニ)やラザニアを置いている店もある。

……と思っているのだが、都内を中心に店舗を展開している「ぱすたかん」に行っても、パスタは食えないのである。その理由が実に興味深いのだ。

・なぜ「ぱすた」なのか?

ぱすたかんを運営しているのは、東和フードサービス株式会社である。同社の展開するブランドでもっとも有名なのは「椿屋珈琲」だろう。そのほかレストランの「ダッキーダック」「イタリアンダイニングDONA」など115のお店(2023年10月現在)を手掛けている。

ブランドページを見ると、ぱすたかんは「鉄板ステーキ・お好み焼」という分類に入っており、店舗写真には「築地もんじゃ」の料理写真までのっている。


パスタ関係ないじゃん! と思われることだろう。私(佐藤)もそう思っていた。だが、お店の歴史を見ると、そう名付けられた理由がわかる。


ホットペッパーグルメに記載された、ブランド紹介文に次のようにある。

「1976年にぱすたかん第一号店がオープン。店名の由来はイタリア語の小麦粉の意味。(中略)現在ほどパスタという言葉が普及していなかったオープン当初に付けられ、お好み焼き・もんじゃ焼きは、パスタ同様に小麦粉が原料という理由から「ぱすたかん」という店名となりました


いまでは「パスタ = 麺」という言葉として浸透しているが、本格的にパスタが広まったのは、1980年代後半のバブル期以降。「イタ飯(イタリア料理)ブーム」の波に乗って、その言葉は一般的になった。

それ以前にパスタを店の名前に使う試みは、かなり斬新だったに違いない。時代を先取りしすぎてしまったのかも……。


・蒸し焼きお好み焼き

実際に吉祥寺のお店に行ってみると、名前こそ「ぱすた」とあるがイタリアンの印象はほぼない。看板から、そこはかとなく和食の雰囲気が漂っている。


店内には各テーブルに鉄板が設置してある。メニューにはお好み焼やもんじゃの類がズラリ。


すべてのページに目を通したけど、やっぱりパスタはない。いままで何度となく「パスタはないんですか?」と尋ねられたかもしれない。ひょっとすると、1号店開店から47年の間に改名を検討したこともあったかもね。


ちなみにこのお店は、焼き慣れない人のために、スタッフがお助け隊としてサポートしてくれるそうだ。スタッフはその実力から5つのランクに分けられている。


最高司令官は出現率が低いらしく「はぐれメタル級」と呼ばれている。この文面を考えた人は、それなりの年代の方のようだ。一方的に親近感を抱いてしまう。



さて、注文したのは昼限定の「豚モダン焼きランチ」である。サラダとドリンクがついて税込1300円だ。


近年はオシャレなもんじゃ焼きのお店が増え、それにともないお好み焼きのお店も増えた気がする。インバウンドで外国人観光客のウケもいいんだろうなあ。ここも昼時はほぼ満席で繁盛している。もんじゃもお好みも静かなブームに入っているのかも。


ここでは全席にフタが用意されており、作り方の説明にも裏表それぞれフタをして5分ずつ焼くとあった。蒸し焼きで仕上げるタイプなんだな。



ひっくり返す時に失敗して多少イビツになっちゃった……。まあいいか。自分の食べる分だしね。


今までいろいろなお店で食べてきたけど、蒸し焼きのお好みは初めて。ジュワー! と、生地が焼けつく派手な音はしないけど油断は禁物。なぜなら、蒸し焼きだから中が超アツい! 何気なく食べようとして危うく、舌をヤケドするところだったよ。


フタをすることで旨味をギュッと閉じ込められるので、見た目は地味でも味はイイ! 素材のウマさが損なわれていない気がするぞ。ということで、ぱすたかんでパスタは食えないけど、ウマいお好み焼きが食えるぞ。蒸し焼きお好みを楽しんでくれよな!

・今回訪問した店舗の情報

店名 ぱすたかん 吉祥寺店
住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-5 2F
時間 12:00~22:00 土日祝11:00~22:00
定休日 なし

参考リンク:ぱすたかん・こてがえし東和フードサービス株式会社ホットペッパーグルメ
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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