東京・五反田にある「東京卸売りセンタービル」。略称「TOC」は建て替えが決定している。1970年の開館からすでに50年以上を経ており、新ビル建設に向けて解体されることが決まっているのだが、その解体時期は未定だ。
当初2023年春に予定されていた解体着工は、6カ月から1年程度順延され、現在も営業は続いている。機会があれば、閉館する前に1度屋上を訪ねてほしい。最高の場所だからだ。
・行けるうちに
私(佐藤)がTOCを初めて訪ねたのは、2020年のことだ。今は閉店してしまった喫茶店「リプトン」のクリームソーダを取材している。翌年に「ゆで太郎」の姉妹ブランド「上州もつ次郎」を訪ねており、このお店は現在(2023年8月)も営業を続けいる。
すでに多くの店が閉店していて、以前よりも寂しくなっている。行けるうちに行っとかないと後悔しそうだ。屋上は見晴らしが良いと聞いている。そういえば1度も屋上まで上がったことがなかった。
地上13階、地下3階。今でこそ珍しくない高さの建物ではあるが、誕生した当時は都内でも屈指の規模の大きさだったに違いない。エレベーターに乗り込んで、13階のもうひとつ上の「P1」を押す。そこが屋上階である。
屋上に出るとすぐにウッドデッキがあり、花壇には花が植えられている。閉館が決まっているとはいえ、手入れを行き届いているようだ。周囲の建物のほとんどが眼下にあり、夏らしい青空が広がっている。気持ちいいな。
ベンチに腰を下ろしてお弁当でも食べたい気分。だが、あいにく直射日光がきつくて、日向にいるのがツライ。屋上に出てきた人たちは皆、日陰に隠れて日差しをしのいでいる。景色は最高だけど、日差しは最高とは言い難いな……。
柵から向こうを覗くと、ずいぶん遠くまで見渡せるものだ。新宿の方まで見えることもあるのだとか。
屋上にはゴルフ練習場と神社があり、そのほかにベンチが数台。それから各所に灰皿が設置されている。
まだ都内に、こんなに解放的な喫煙所が存在していたとは。青空を見上げて吸う1本は格別。気兼ねなく吸える環境に感謝しかない。
たばこはさておき、こんなに広々とした屋上空間は都内でもそう多くない。いつまで利用できるかわからないけど、本当に心地よい場所なので、機会があれば訪ねて頂きたい。高い空を見上げると、なんだか気持ちまで晴れやかになるものだ。
・今回訪問した施設の情報
名称 TOCビル
住所 東京都品川区西五反田七丁目22番17号
参考リンク:TOC(PDF1、2)
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24