い~い湯だな♪ い~い湯だな♪ ここは北国♪ 登別の湯♪ ドリフの「いい湯だな(ビバノン・ロック)」でも歌われている登別温泉。私(中澤)は子供の頃から割と憧れていたが、なにせ北海道だし太平洋側の僻地だしで、40歳にして初来訪となった。ここが憧れの登別温泉……!
しかし、実際に歩いてみると、草津、白浜、別府ほど「街」として栄えてる感じはない。駅からも離れてるしな。2日もいると行くとこないなー。と、そんな時『クマ牧場』の看板が目に入ったため行ってみた。
・行き方
クマ牧場と聞いてあなたは「行きたい!」と思うだろうか? 私は全く思わなかった。クマだけってなんか見るところ少なそうだ。そんな私が、クマ牧場へ行ってみようと思ったのは、ひとえに暇だったからと言えるだろう。
温泉街のストリートから横道に入る感じで続いているクマ牧場への道。その道を入ると、長いコンクリートの階段が続いており、その先にロープウェイが見えた。
・料金
ロープウェイの駅ではクマ牧場の入園券を買うことができるようだ。ロープウェイ往復料金も含んで2650円。入園券発売時間は9時30分から15時50分までで、営業終了時間は16時30分な様子。まあ、11月の登別って16時30分くらいでもう暗いからな。むしろ、15時30分でも結構暗い。
というわけで、クマ牧場に行くなら1泊した昼前くらいがちょうど良い。つまりは今である。ちなみに、北海道の風物詩だというゴンドラ・トバ号は11月中旬から運行とのことだったが、私が行った段階ではまだ運行していなかった。残念。空を駆ける鮭トバも見てみたかった。
・最初にやられたポイント
さて置き、暇つぶし以上の意味はなかったクマ牧場だが、そんなゴンドラにおいて心が惹きつけられる出来事が。登別温泉自体が山の中にあるのだが、ゴンドラはさらにそこから山を登っていく。すなわち……
めちゃくちゃ景色が綺麗なのだ。
山のふもとの登別駅前からその先にある太平洋まで見通せる。雲の間から差す光が海をキラキラと輝かせ、平野に降る雪が大地を分ける壁のように見えた。雄大すぎる。
・フィニッシュブロウ
期待していなかっただけにこの景色にはやられた。目が覚めるとはこういうことかもしれない。だが、これはジャブに過ぎなかった。山頂のクマ牧場についてみるとロープウェイの出口では……
小熊がお出迎え。
なんだこの感情は。胸の奥から得たいの知れない感情が一瞬で膨らんで肺を満たす。気管までいっぱいになった想いが言葉となって口をついた。信じられないほど可愛いんですけどォォォオオオ!
小熊の可愛さは「きゃわわ」とかそんな軽さではなかった。例えるなら、ヘビー級の一撃。マイク・タイソンのフックのように私の意識を刈り取ったのであった。
もうそうなると、可愛いしかないのがクマ牧場。2匹揃ってる大人の熊とか普通に可愛い。こっちに背中向けてるクマのお尻すらも可愛い。五臓六腑に超可愛い。
・歴代ボス紹介
調子に乗って、普段ならスルーするであろうヒグマ博物館を隅々まで見ていると、廊下に歴代ボスの紹介パネルが貼られているのを発見した。紹介パネルには写真だけではなく、プロフィールのようなものまで書かれている。好きなものとか見分ける特徴とかが書かれているのだろうか? と思いきや……
初代ボス タロウ「気性が荒く、一匹オオカミとして余りにも争いが多かったために長続きしなかった」
──と、性格にまで踏み込んだ説明となっている。書いているのはスタッフさんかと思われるのだが、やはり毎日見ていると個性が分かってくるんだなあ。そう思いながら読んでいくと……
6代目ボス ゴンゾー「気はやさしくて力持ち、さらに頭が良いという牧場のボスとしては最高の人格と実力を持ち、6年もの長期に渡ってボスの座を守った」
──完全に「人格」と言い切っている。もはや目線が同列だ。スタッフたちのクマへの思い入れを感じずにはいられない。っていうか……
4代目ボス コボス「小柄ながら、陰険さによって政権をものにした」
ヤバイ奴いた。
・抗争感
陰険さによって政権をものにするって響きで抗争感がグッと増してくるな。ヤンキー漫画を読んでるような気分である。さらには……
10代目ボス イッペイ「いつも虎視眈々として、不意打ちの機会をねらい、後から陰険に争うという戦法で、ボスになったものの小競り合いが絶えず、牧場は戦国の世と化した」
スタッフ筆ノリすぎだろ。
『東京リベンジャーズ』みたいになっとるやないか。イッペイの写真もノリノリだな。めちゃくちゃオラついてる。
まさか、登別の山頂が戦国の世と化していようとは。なお、そんな混乱は11代目のモリオでピリオドが打たれている。なんでもモリオは「第2のゴンゾー」とささやかれていたそうだ。ささやいてるの誰やねん。
・クマ牧場サイコー
抗争の歴史も垣間見える歴代ボスの紹介。通路の壁という目立たない場所ではあるが、意外とクマ牧場の必見スポットかもしれない。
それにしても、クマ牧場には良い意味で裏切られた。景色も登別クマリベンジャーズも楽しめて2650円は安いように感じる。登別温泉街から散歩レベルで来れるのも気楽だ。登別温泉に行くことがあったら是非行ってみて欲しい。まあ、むしろ行かない人の方が少ないのかもしれないが。
・今回紹介した店舗の情報
店名 のぼりべつクマ牧場
住所 北海道登別市登別温泉町224番地
営業時間 9:30 ~ 16:30 (最終入園15:50)
定休日 無休
参考リンク:のぼりべつクマ牧場
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼凄い近くから餌がやれる
▼クッタラ湖が見える展望台も
▼アイヌコタンを再現した場所はまさに天空の村
すっごい景色だなー pic.twitter.com/oj9jsfWffj
— 中澤星児(ロケットニュース24) (@sorekara_jona) November 16, 2022